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段取り八分とかカイゼンとか
何かをやる際に、段取りをしっかりしておけば8割は終わったも同様(成功に近づく)という意味の、段取り八分仕事二分。個人での行動だったり強力なリーダーの下だと、まずは始めてみて走りながら考えても何とかなったりしますが、複数の人が関わるものだと、事前の準備がとても大切です。しかし言葉として知っていても、なかなかそうは動かないケースも見られます。
経験のあることだと、そこから引き出して何をしなければならないか挙げることは容易です。失敗した経験なども考えて、こうしておけばと修正を反映することもできます。ところが経験したことだと、あまり考えずにその通りに行くと思い込んで始めてしまいがちです。以前とは時期や関係者などが変わっているにも関わらず、同じだと思ってしまうのですね。以前の進め方を整理し、失敗点を考慮し、変わったことへのリスクに備えて、計画しておくと、いざという時に対応が容易なのですが。将来のリスクは発生しないと思い込み(そう信じたく)、今の備えを面倒がることも多いようです。今の労力を掛けない方向に行きがちな人を説得するのは難しいです。
段取りは、目標を決め、手順を整理し、5W1Hを明確にします。例外をすべて挙げるのは無理ですが、過去の経験から一定の例外予想も立てます。予想してなかったことに対応するために、例外判断を誰がするのかも決めておきます。イベントで大量のカレーライス(無料)を作るとしましょう。手順としては、レシピを決める、場所の確保や保健所の認可、費用の調達、器材や食材の調達、切ったり炒めたり煮たり配膳する役割分担、後片付け、などでしょう。漏れがないか確認し、いつどこで誰がどう対応するか決め、天候などのリスクも考慮し、司令塔(責任者)も決めておきます。段取りとはシミュレーションでもあります。当日になって保健所の許可が無いなんて慌てると大失敗ですからね。
今のやり方が完璧な人なんか居ません。常に改善要素はあります。でも、人は改善活動(カイゼン)を面倒に思いがちです。これを書いている自分だって、ついつい怠けがちです。今のやり方を変えるのは面倒なのです。だからカイゼンの必要を理解してもらうのは大変なのですね。大変ですが、組織としては少しでも品質を高め、効率を良くしないといけません。例えば保管場所を守らず毎回探す無駄な時間。例えば機械の使い方が我流で品質が安定しなかったり事故を起こすリスクが高かったり。ほんの少しの手間で改善できるのですが。
カイゼンは理論もありますが、基本は現場の工夫です。現場で感じている課題を一つずつ解決することです。上から押し付けられたら反発心が起こります。自分たちが安全に楽になるように、そして成果が品質に繋がり売り上げに繋がり自分たちの報酬に反映される流れができたら率先してやるようになります。また、そのプロセスが楽しくなればしめたものです。カイゼンに限らず何事も、やろうとすると最初の抵抗は大きいものです。それが回りだしたらスムーズに動きます。走り出しが大事なのですね。
段取り八分もカイゼンも、組織のリーダーが本気で取り組み、必要性をしつこく説いて、少しの活動から少しでも効果が出ることを実感させ、我慢強く進めるしかないのです。リーダーが疑問を持っていたら、いくらコンサルタントを呼んできても、研修に参加させても、動きません。民間企業や行政などの組織であれば上下関係があるので組織図上のリーダーが居ます。その人の本気度次第です。問題なのはフラットな(例えば会員が集まったような)組織です。明確な上下関係が無かったり、あっても名目上だったりすると、上意下達ができません。草の根運動で機運を高める長い取り組みが必要とされます。組織を動かすのは大変ですが、組織に属している人が幸せになるように。それが目指すところです。