冷蔵猫
冷蔵庫で猫を飼っている。
家に帰ってきたら、まずその冷え冷えとした猫を冷蔵庫から取り出して抱く。一日の疲れで炎上した心と体をひんやりと冷やしてくれる。
猫の毛は白くフワフワしていて、顔から下が軟体動物みたいにぐんにゃりとしている。私の体に合わせてぐにゃぐにゃと形状を変えてくれるので、とても抱き心地が良い。
今日の会議はもめそうだなと思うときは猫をまとって出社する。電車は毎朝混んでいるので、着ている服の材質にもよるのだが、冷蔵猫が当たって両隣の人たちの肩から腕にかけてが毛まみれになっている。彼らもひんやりすると良いなと思う。
デスクでパソコン仕事をしている時もおおぜいでの会議中でも、猫を膝の上に乗せてなでなでしている。会議で言い争いでもはじまろうなら、冷蔵猫はテトテトと歩み寄ってみんなをスリスリしてまわる。
冷蔵猫は鳴かない。せいぜい喉をゴロゴロと鳴らすくらいだ。
もし猫をコンロの上で飼っていたならば、心は炎上するのだろか。
今度、書きためしてみたい。