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陰性と陽性

23時、夜中に思いつくまま作ったアップルパイを味見と称して食べた。

罪悪感もすごいけど、美味しさもすごい。

つい数時間前に「寝る前に食べたらお腹がびっくりしちゃうからまた明日ね」と娘に声をかけたことを思い出しながらボソボソと咀嚼した。私のお腹もきっとびっくりしている。

食後、金曜日に抜糸を済ませた粉瘤の切除跡へのテープを貼り替える。首の後ろなのでやりにくい。

抜糸を「粉瘤ファイナルバトル」と称していたけど、本当のファイナルは年明けの「経過観察」の日に持ち越し。「粉瘤エピローグ」と手帳アプリに入力した。

何も知らなかったけど、取り出された膿は、県を跨いで検査に出されていたらしい。「粉瘤やっととったー!宝くじでも買おうかなー!」とのんきに笑っていたけど、抜糸の日に先生が「腫瘍は陰性でしたよ。よかったね。これが検査結果ね」と大仰な検査結果の紙をくれた。

何かしらの「陽性」だったルートもあったんだなとぼんやり紙を眺めた。少し前の自分だったら、心が揺さぶられてうわーとなってたかもしれないけど、「そっかそっか。なにかの陽性ってこともなくはなかったのか」と受け止められた。

もしものことと、今起きてることを区別できるようになってきたのだとしたら嬉しい。

ありきたりな表現だけど、人生にはいろんなルートがあるんだろうなと思う。いろんな意味を持った分岐点があって、時には分岐点少し前で踏み止まってセーフだったり、一歩踏み出した結果、細い綱の上を猛ダッシュ…みたいになったりするんだろうなとイメージしている。セーフの時は自分がセーフだったことに大抵気がついてないから、自分が恵まれてることがわからなかった。

いろんなこと書き残すノートに、検査結果の紙を貼り付けた。あとで見返した時に、笑えたらいいなと思う。粉瘤一つでとても浸ってしまってお恥ずかしい。  

歯磨きしてさっさと寝よう

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