「カラヴァッジョを読む 二点の通称《洗礼者聖ヨハネ》の主題をめぐって」を読んで
今年2月のイタリア旅行では、2週間ほど前の記事の通り、ウッフィッツィ美術館にてさまざまな名画を鑑賞してきました。
中でもミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオの《メデューサ》は、目の前に立つだけで石になってしまいそうなほどの恐ろしい迫力がありました。
今回は、木村太郎さん著「カラヴァッジョを読む 二点の通称《洗礼者聖ヨハネ》の主題をめぐって」という本をみなさんにご紹介します!
読んだきっかけ
今から3年前の3月、高校3年生だった私は、全く進路先が決まらないまま、大学受験のため1人東京に来ました。
しかし当日は、高校の卒業式の日でもありました。
試験は午前中のうちに終了。友達との別れを惜しむことのできない自分にとって、せっかく訪れた東京を1人楽しむほかはありませんでした。
そして向かったのが上野。
小学校の修学旅行で東京に来た際に、初めて国立西洋美術館を訪れてから、この日が2回目でした。
カラヴァッジョなんて画家は、世界史でもほとんど聞いたことがなく、(よく分からないな…)と思いながら入館したのを覚えています。
常設展を観てから退館するまで、3時間近く館内にいたと思います。その数時間で、私はすっかりカラヴァッジョの絵に心を奪われてしまいました。美術には明るくない私でも、彼の描く絵の魅力が伝わってきました。
そんなわけで、あの日以来カラヴァッジョという画家には興味があり、昨日、偶然にも大学図書館でこの本を見つけました。
(後日入試結果が届き、有難いことにそこに通い始めてから今年度で4年生になります。)
洗礼者聖ヨハネ
まずは、洗礼者聖ヨハネとは誰だ?という無宗教×無知ならではの初歩的な疑問。
Wikipediaによると、イタリア語ではGiovanni Battista、フランス語だとJean le Baptiste と呼ばれているそうです。
洗礼者の中でもこのヨハネさんは非常に有名で、他の洗礼者と区別するために特別に名前がついています。
バッティスタ、バティスト、と聞いて思い出すのは、ドラマや映画で知られる海堂尊さん原作の小説「チーム・バチスタの栄光」でしょうか。
バチスタ手術とは心臓の手術のことで、その名前はブラジルの心臓外科医ランダス・バティスタ氏が考案したことに由来しています。
ギリシャ語の「baptizō」(浸す)の名詞形が語源であり、バチスタには「洗礼者」という意味があることを今日初めて知りました。
「絵画を読む」ということ
↑カラヴァッジョ、《イサクの犠牲》。
先日書いた記事に、レンブラントの《イサクの犠牲》を載せましたが、この題材のストーリーは知らなかったのでとても勉強になりました。
この話についてざっくり説明すると、イサクを殺そうとしているのは彼の父・アブラハムで、彼はあるとき神から「息子を私の生贄にしなさい」と告げられます。神に忠誠を誓うため、彼がそのお告げ通り息子を殺そうとすると、天使が現れ、間一髪のところで息子を助ける、といったお話です。さらに詳しい内容はこの本に載っています。
ではなぜ《洗礼者聖ヨハネ》と呼ばれるこの作品を説明するために《イサクの犠牲》について詳しく書かれているのか。実は、本書ではこれが表紙の絵にとても深く関係しているので、気になる方はぜひ読んでみてください(^^)
ただし、激安価格というわけではないので、個人的には図書館で借りて読むことをおすすめします(^。^)
また、今回はアマゾンさんではなく、宮下規久朗さんという日本の有名な美術史家の書評のリンクを下に貼ります。表紙の絵に対する著者の解釈が今すぐ知りたい方は、要チェックです。
いかがでしたか??
今年の夏から年明けにかけて、カラヴァッジョの作品が札幌、名古屋、大阪を巡るらしいので、ぜひ彼の絵を直接目で見て感じてもらえたら嬉しいです♪
それでは、またお会いしましょう*°