【男声向け】いわゆるナンパってやつ【フリー台本】
とあるカフェは貴女のお気に入りの場所。
今日も友人との待ち合わせでひとり、時間を潰していたら──。
男声向けの音声作品台本のシリーズ(完結済み)。
別サイトからのサルベージです。
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【Track-1】いわゆるナンパってやつ
こんにちは、お姉さん。
ああ、怪しい者じゃあ……って言うと怪しいですよね。
うーん……、じゃあ、怪しい者です!
お姉さんが可愛いから、仲良くなりたくて声掛けちゃいました!
……、笑ってくれた? えへへ。
仲良くなりたくて声を掛けたのは本当なんだけど、お姉さん今時間ある?
えー、ないの? 残念。
……もしかしてだけど、誰かと待ち合わせ中?
彼氏じゃないんだったらさ、その人が来るまでの間だけでいいから、俺とお喋りしよう?
俺、お姉さんとお知り合いになりたいなぁ。
……ほんと!?
やったね、すごく嬉しい。
お相手は何時に来るの?
……おっけ、任せてよ。
お姉さんのこと、その間に口説き落としてあげるからね。
なーんちゃって。
実は俺、お姉さんのことは前から知ってたんだ。
……いや、確かに怪しい者ではあるけど、ストーカーとかじゃないから!
それはないから、本当に!
お姉さん、よくここのお店使ってくれてるよね。
俺、ここで働いててさ。
だから、前から綺麗な人がいるなあってお姉さんのこと見てたんだ。
今日は仕事じゃないんだけど、用事があったから面倒くさーいって言いながら来たわけ。
そしたら、お姉さんいるんだもん!
そりゃあ「もうこんなチャンス来ないかも!」って声も掛けちゃうと思わない?
店員としてじゃなくて、ただの俺として、お姉さんと仲良くなりたかったの。
……これね、俺の名前と、連絡先。
まあ、もちろん連絡しなくてもいいから。
いきなり押し付けられてもビックリだろうし。
だけど、俺、多分ずっと待ってるから。
連絡してくれたら、嬉しいな。
……あ、名前? これ読めないよね~。
キラキラネームとまではいかないけど、まあ読んでもらえることは少ないかな。
じゃあねえ、連絡くれたら、読み方教えてあげる。
あ、そこまでは興味ない?
うーん手厳しい!
……やっぱりお喋りできてよかった。
口説き落とすとか言ったけど、俺の方がもっと好きになっちゃった。
お姉さんやり手だねえ?
……あ、タイムアップかな?
えー、残念だなー……。
まあ仕方ないね。
大人しく退散しまーす。
……俺、本気で連絡待ってるから。
ここにも、また来てくれると嬉しい。
それじゃあ、また、ね?
【Track-2】いわゆるお誘いってやつ
いらっしゃいま……
あ、お姉さん! おはよーございます!
……へへ、名前で呼ばれるの、なんか照れる。
まさか本当に連絡くれるとは思ってなかったから、あの時ビックリしてたんだよ?
でも、本気で待ってたから、すごく嬉しかった。
あ、今週から入ったこれ、俺はもう飲んだけど、かなりオススメ! どう?
……はーい、ありがとうございまーす!
カップに猫ちゃん描いといてあげる、ふふ。
今日はこれからお仕事なんだ?
the キャリアウーマンって感じでカッコイイね。
……となると、平日はお仕事で土日休みってこと?
ふぅん……。
ねぇ、お姉さん。
俺ね、来週の土曜日ひましてるんだけど。
よかったら、俺とデートしちゃわない?
最近ずっとCM流れてる映画さ、観に行こうよ。
ね、ね、どう?
……そこで「考えとく」なのがお姉さんって感じする。
もう、好きだなあ。
はい、お待たせしました。
……ええ、なに、何か変なことした?
え! いやいや、ちゃんと猫ちゃんだよ!
別に下手じゃないでしょー!
そんなに笑わなくても……ふふ。
そうやって笑ってくれるなら、まあいっか。
お仕事、頑張ってね。
お誘いのお返事、待ってるから。
【Track-3】いわゆる初デートってやつ
お姉さん! こっちこっち!
はあ、おはよーございます。
とりあえず会えてよかったぁ。
土曜日とはいえ、まさかこんなに人が多いとは……。
とりあえず映画の時間もあるし、向かおっか。
いつもの俺と雰囲気が違う?
あー、えーと、そんなことないんじゃない?
…………あのー、その、実は、……緊張してて。
だ、だって!
これって、お姉さんとの初デートでしょ!?
こっちは緊張して夜も眠れなかったんだよ?
そもそも俺、ナンパとかできるような性格じゃなくて。
だけど、どうしても、お姉さんに近づきたくて……。
なんていうのかな、そういうタイプの人を装って声掛けてみたんだけど。
……お姉さんは、そういう人が好みなの?
だから連絡くれた?
今の俺みたいなのは、好きじゃない……?
はい?
ムリして頑張ってるのバレバレだった……?
頑張ってるから連絡してみたぁ……?
…………、はああぁ……。
なんだよそれぇ……めっちゃかっこ悪いじゃん俺……。
お姉さんに弄(もてあそ)ばれてる、くすん。
……ふん。いいし、別に。
覚悟しててよね。
お姉さん、絶対本気にさせてみせるから。
え、名前? お姉さんの?
いや、うん、教えてもらったけど……。
お、お姉さんはお姉さんでしょ!
そんな、ねえ?
名前で呼べないこともないけどさ、お姉さんでもいいでしょ?
…………そうですー! どうせ俺はヘタレですー!
くっそ、本当に!
覚悟しててよね!
ああ、着いた着いた。
チケット先に買ってあるから、中入っちゃお。
ちなみにポップコーンとか買う派の人?
俺は買っちゃう派の人なんだけど。
……ふふ、映画、楽しみだね?
【Track-4】いわゆるヤキモチってやつ
あ…………、いらっしゃいませ。
今日のご注文は?
……、はい。かしこまりました。
……そんなことないでしょ。
いつもと変わらない俺だよ?
…………。
んあーーー嘘ですごめんなさい。
もう、ほんと、自分で自分が許せない……。
こんな八つ当たりみたいなことして、子供かよ……。
お姉さん、ごめんね。
不愉快だったよね。
その、ちょっと、思うところがあって。
いや、俺が勝手に落ち込んでるだけで、お姉さんは本当に何も悪くないんだけど。
…………あの、あのさ……
この間、偶然お姉さんのこと見かけて、声かけようとしたんだけど……。
その時、お姉さんの隣に男の人がいて。
ビシッとスーツがキマってる、男から見てもかっこいいって思えるような、そんな人が、お姉さんと仲良さげに歩いてて。
すごく、お似合いだって、…………。
俺は、お姉さんと何度かデートしてるけど、でも彼氏じゃない。
だから、こんな風に思うこと自体おかしいと思うのに、でも……、俺のお姉さんなのにって。
自分勝手だって、分かってるのに、止められなくて。
……あんな態度、とっちゃいました。
ほーんと! ガキみたいですよね!
こういうところもあの男とは違うんでしょうね!
あ、はい、これ。お待たせしました!
出来れば愛想尽かさずにまた来てほしいかなー。
うん、そろそろ時間じゃない?
ほら、行かないと。
…………、やめてよ。
そんな、優しいこと言って、俺をどうしたいの……?
俺……、もっと好きになっちゃうよ。
これ以上はもう、苦しいよ……。
……お姉さん、今日はお仕事何時に終わりそうなの?
……そっか。そしたら、仕事後にちょっと時間もらえないかな。
残業になっても、待ってるからさ。お願い。
…………うん、ありがとうございます。
そしたら、ほら! 本当に時間でしょ?
夜に会えるの楽しみにしてる。
行ってらっしゃい!
…………覚悟、決めなきゃ。
【Track-5】いわゆる告白ってやつ
────さん。
ふふ、お仕事お疲れ様。
俺だって、お姉さんのこと名前で呼ぶこともあるよ?
驚いてくれた?
これでもうヘタレも卒業かなあ、ふふ。
……うん、そう。
大事な話をしたくて、待ってました。
俺は、貴女のことが好きです。
どうか俺と、お付き合いしてくれませんか?
俺の気持ちはいつだって貴女に届くよう声に出してきました。
最初は、声を掛けて言葉が返ってくるだけで、本当に嬉しかったんです。
でも、俺は欲深いから、それだけじゃ足りなくなっちゃいました。
もっと一緒にいたい。
手を繋ぎたい。
キスをしたい。
……俺のものにしたい。
最近は、苦しいんです。
貴女への気持ちが胸を圧迫して、もう息もできないんです。
だから、ここで決着をつけようって。
白黒ハッキリさせましょうって。
どうか俺の気持ちに答えをください。
イエスかノーか、……お姉さんの気持ちを聞かせて?
ほ、本当に……?
本当に、いいの?
…………ッ!!!
お、おれ!
俺、お姉さんのこと、絶対大事にする!
絶対、幸せにする!
だから……これから、よろしくお願いします!
はあぁ……なんか幸せすぎて、夢でもみてるのかな……。
一気に全部が緩みきった感覚がする……。
……正直ね、ダメだと思ってたんだ。
いつも俺ばっかりが好き好きって言ってて、お姉さんからそういうこと聞けたことってなかったし。
だから、お姉さんにとって俺は都合のいい男なのかなーって、思ってたりした。
ねえ、俺、お姉さんに俺のこと好きって言ってほしいな。
ちゃんと言葉がほしい。
これは夢じゃないって、俺に教えて?
……うん、うん、俺も好き。
お姉さんのことが、好き。
はあ~! すごい、現実なんだ……!!
……あれ? お姉さん、顔赤くない?
もしかして、照れてる?
ふへへ、珍しいとこ見ちゃったな。
これからは、もっともーっとそういう顔が見たいnんむぅ……!?
…………どうだったって、……。
不意打ちすぎて全然分からなかった!!
え、お姉さんもういっかい!
……えー! なんで!
そんな殺生な……!
これからも俺はお姉さんに弄ばれる運命なんだ……。
……すっごく幸せだから、別にいいけど!!
あはは!
【Track-0】いわゆる幸せってやつ
こんばんは、お姉さん。
くく、どう?
久しぶりにお姉さん呼びされた感想は?
……「懐かしかった」って、そのまんまじゃん。
まったく、そういうところ全然変わらないよねえ。
まあ、好きなんだけど。
……うん、お待たせ。
待っててくれてありがとね。
ん、いやあ、ね。
初めて声掛けた時のことを思い出したからさ。
ノスタルジーのお裾分けってね。
……ふふ。
「お姉さんが可愛いから、仲良くなりたくて声掛けちゃいました!」
お姉さん、今時間ある? なんてね。
……お。
「えー、ないの? 残念。
もしかしてだけど、誰かと待ち合わせ中?
彼氏じゃないんだったらさ、その人が来るまでの間だけでいいから、俺とお喋りしよう?」
……くふふ、今回は彼氏が来るから断られちゃうんだ。
でもそんなお姉さんの彼氏は俺だもんねー!
はー、幸せかよ……。
しかもさ、その感じだとあの日のことちゃんと覚えててくれてるんでしょ?
はあ、そういうところが本当に可愛いというか愛おしいというか……。
んー? うん、そうだよ。
もうね、溺愛だよね。
お付き合いし始めてかなり経つけど、あれから嫌になるどころか、もっともっと好きになっちゃうからさあ。
俺、お姉さんのこと離してあげられないもん。
それに、あの時言ったでしょ、幸せにするって。
俺の中では、もうそういうつもりになっているってことで。
……お、照れてる。可愛い。
それで俺がこう言うとムッとするのも含めて、可愛い。
あっはは、だって仕方ないじゃん可愛いんだからさ!
はあ、まあでもね。
そういうつもりでいるけど、それはまだ先でいいかなーって。
だって、そっちの幸せもいいけど、今は今で楽しいから。
すっごく幸せだから、もうしばらくは、このままでいよう?