森林の木をうまく使う方法
現在、森林をうまく利用できているかというとそううまくはいっていない。でも、ウッドショックで外材は入ってこない。そういう意味では、大きなチャンスである。一時的な需要であれば森林組合も対応した後、外材が再び値下がることを嫌って供給を太くしないが、ポストウクライナを考えると、世界の図式が大きく変わってしまって、木材は国内供給にせざるを得ないと考えるのが自然な考え方だ。せっかくある森林資源を住宅に使い、自給的に使うのが良いと思う。
日本の森林を使って、木材を生産し、その時に出る残材をエネルギーにする。こうやって経済を小さく回すと、域内の資本がキャッシュアウトしなくなる。タイトルの画像は授業でいつも使う絵で、地域内での循環を表している。この絵は地方の経済を考える上で非常に重要なので、テストでこの絵を描いてもらうが、テスト内の配点はとても高い。
日本はかねてより、アメリカ、中国についで、内需中心の国である。GDPの中で貿易への依存度は15~17%とかなり低い。その中での地域内循環を盛んにすることは悪いことはない。でも、この考え方はなかなか理解されにくい。日本は高度経済成長時代に人口が増え、それに合わせて、地方から太平洋ベルトに人口を送り込み、産業発展した。その後、バブルがはじけて、低成長の時代を迎えるが、なかなかこの高度経済成長時代での成功体験から逃れられない。地方創生といっても補助金のばらまきで終わってしまってる。そういう中で、環境省の脱炭素ロードマップは注目すべきプロジェクトだ。脱炭素の先行地域に参加する自治体にとって、一つのモデルが提示されることで、次を呼び込めると考えるものだ。
一般的な流通ではなく、森林と家を作る設計事務所をD Xを使って、水上から水下まで結びつけるのが良いと思う。加えて、高齢化が進む中、効率的にアセンブリできる仕組みも必要だ。ドイツの内陸部やスイスなどが進めているが、建物の大型パネル化なども一つの方法であると考える。日本はプレカットという優秀な仕組みがあるが、現場で作るのを減らして、プレファブリケーションの割合を増やすべきだと思う。
この方法は、家の高付加価値化と言える。単体の金額が増え、買いにくくなることを問題視するむきもあるが、そのやり方をして、安かろう悪かろうという家を続けた結果として、不動産への投資が積み上がっていない現状を考えるとそろそろ考え方を変え、社会のストックの蓄積をするという方向に方針転換しなくてはいけないのだと思う。