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テレビから流れてくる停電に対するコメントなどに感じる違和感

今回の停電で日本のエネルギーの脆弱性が明らかになったが、大臣のコメントやテレビの解説者のコメントに対して違和感があるので、ここに書いておきたい。

萩生田経産大臣は地震での事故ともう一つ、天気が悪く太陽光発電がうまく発電できなかった旨の発言をしたが、大きな問題はそこではなく、系統の整備の問題である。系統の整備は今後再生可能エネルギーを入れていくために必要なのであるが、今までの日本の政策は、既存の電力会社、その体制をできるだけ維持する方に働いているので、それこそが問題であるのに、そこに対しての指摘が行われていない。

もう一つ、「太陽光発電の脆弱性を回避するには、蓄電池が整備されることが必要だ。」というコメントが盛んに行われるが、これも誤解である。日本は産業界が考えている未来像を鵜呑みにする傾向があるが、高価な蓄電池が普及している事例は少なく、他の様々な携帯でエネルギーを貯蔵している。例えば、お湯にしてタンクに貯めて、それを暖房や給湯に使うということが一般的だ。ただ、日本の民間では不動産的な事情から、デベロッパーが共同住宅を売り切り、手離れを早くしたいという事情があり、共同住宅の熱需要は個別の湯沸かし器を持つというエネルギー的には無駄の多いシステムになっている。なので地域熱供給などへの移行は行われていない。だが、一戸建ての家では太陽光発電の電気をもとにヒートポンプ(一般的にはエコキュート)でお湯をわかし、それを蓄電池的にエネルギーを貯める方法が実用化されつつある。それはとても日本的だ。

でも、もっと大事なのはここでいつも言っていることだが、いかにエネルギーの需要を減らすことが大事だ。長野の事例でも見たが、これからエネルギーの需要は少なくとも半分以下にしていかなくてはならない。その肝は建物の断熱なのであるが、経済産業省の管轄する企業的な視点からは、なかなかそういう考えに至らない。国民の暮らしの器という点では国交省が管轄なので、これをさらに進める必要がある。特に既存の建物に対して、どうするかが問われている。そして、半分のエネルギーを再生可能エネルギーで作るという姿勢が大事だ。その点で、系統や連絡線の改善は急務だし、集中型の既存のシステムを分散型、ネットワーク型に移行していく必要がある。また、メガソーラーではなく、より分散型の建物の屋根の太陽光発電に対して、もっと注力すべきである。

太陽光発電は技術革新というより、価格が安くなってもっと気楽なものになりつつある。等級6、7の高断熱住宅であれば、5kWの太陽光発電でその家のエネルギーはほとんど賄うことができる。そういう建物の普及が停電のリスクを下げるのである。

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