非化石エネルギーで60%
エネルギー基本計画では2030年において、非化石燃料で60%を目指している。内訳は原子力20-22%。再生可能エネルギーが36-38%となっている。意外とすごい数字である。日本の再生可能エネルギーの量は現在18%程度であり。単純に3倍増。別に住宅、業務分野だけで変えていくだけではなくても良いのだが、現在ある汎用的な技術でこれができるので住宅、業務だけでできる前提で考えたい。
小水力やバイオマスなどもカウントして良いが、メインの再生可能エネルギーは太陽光発電になるだろう。長野の例でも2.5倍程度の増になっている。実はこれも結構高い目標だと思う。ご存知の通り、日本は土地が少ないので、もうそう簡単にはメガソーラーは作れないだろうとなると、住宅の屋根などが大きな可能性となっている。
ところが、これがえらく評判が悪い。「耐用年数がわからない」「雨漏りの原因になる」「屋根に穴を開けるなんて」などやらない人の理屈も尤もにように思える。果たしてそうだろうか。また、FITのことをあまり理解しないで話している人が多い。あと、よく言われるのが廃棄物。どうすれば良いのかと聞かれる。こういうステレオタイプの問答はよく考えた方がいい。耐用年数に関して言えば、直流電流を交流に変えるパワーコンディショナーは15年~20年ごとに変える必要があるが、パネルはそこまで変える必要はない。雨漏りは瑕疵担保保険の対象なので調べるとわかるが、太陽光が起因となる雨漏れの事故はほとんどないという。廃棄物は金属のアングルとガラスとフィルムに分けて処理すればいい。
これは一体どういうことか。単純にいうと高断熱高気密を普及するときと同じロジックである。家の価格が高くなってしまうようなことは極力したくないという工務店や設計事務所の言い訳のように思える。
一方、実際に太陽光発電を積んだ人の話はあまり聞こえてこない。実際にはちゃんともとを取って、災害の時にも電気を起こしている。また、自動車にも繋いでいる人から話を聞くと、ガソリンより遥に安いし、悪いことは何もないという。そうだと思う。世界中で普及しつつある電池なのだ。中国製のパネルに抵抗があるという人もいる。ちょっと待って。日本の貿易の2大大国はアメリカと中国である。太陽光発電だけ中国製だからというのは無理がある。ドイツにも太陽光発電の会社があったが、全部潰れた。その前に日本も一時期、世界7位だった嘘のような時代があるが、それは当の昔に破綻している。そういうことを言っている場合ではないのである。
ロシアが起こしたウクライナ戦争の結果、世界的なエネルギーの需給関係はおそらくより難しくなっていくだろう。昨年のあり方検討会のロードマップでは2030年の新築の60%に太陽光発電を乗せることになっているが、聞いた印象はどうだろうか。すごく多いと言う印象だろうか。私は全然足らないと思っている。エネルギー基本計画の想定した原子力発電の再稼働もそううまくはいかないだろう。そもそも、50個以上あった原発も半分近くまで減っている。全部、再稼働してギリギリの線だろう。避難者がまだいる状況で再稼働が地元民から許されるのだろうか。
そうやって考えると日本はどうやって、エネルギーを自給していくのあろうか。住宅は住宅、産業は産業でぜひ、一人一人が考えてみて欲しい。