魔王はクロノとは異なる出口ゲートから古代に出た。(メンバー全員タイムリープ。カエル無双、ラヴォス頭をごっちん。)

 元々は原始時代の不思議山の谷にあたるゲートで、その座標から魔王は出現した。
 その場所はゲートが生み出す特殊な磁場の影響で山そのものが空に浮いていた。古代人はその山を嘆きの山と名付け、犯罪者を幽閉する場所として利用していた。

 魔王にとって見覚えのある場所だった。最初に嘆きの山に来たのは子供の頃、犯罪者は裁かれた先でどうなるのか気になり、こっそり空を飛んで見に行った。当時は山頂にいる人造魔人兵ギガガイアに驚き直ぐに逃げ帰った。それ以来、40年ぶりにこの地を踏んだ。

 当時のジャキは魔神機実験の詳細は知らなかった。覚えているのは賢者ボッシュが幽閉されたという話題で王宮が騒がしかった事。国全体から黒の風(死の気配)を感じ、ラヴォスの異常なエネルギー気配に不安になり、ラヴォスの間にいるサラの元へ向かいゲートに呑み込まれた。それくらいしか魔神機やラヴォスの事は知らなかった。ラヴォスがゲートを生み出した元凶なのだと魔王は今になって知った。

魔王は空を飛び、天空都市へと向かった。この時代での魔王は住所不定無職であり、このまま王宮に入るのはセキュリティ上難しかった。

魔王は街中を徘徊し、身元を売ってくれる業者を探した。古代のカネは持っていないので武力で身分証を確保し、王宮へと向かった。未来予知ができる特殊能力者キャラを演じプレゼンした。数分先の未来が見えるとか、都合の良い未来予知ができる訳じゃなく、ラヴォスの影響に関する未来だけが見えるといった偏った能力者を演じた。

 ボッシュが幽閉される未来を言い当てた事で、ジールに目通りされた魔王は、なぜボッシュが幽閉される事になったのかを関係者に詳しい話を聞いた。ボッシュはラヴォスが暴走すると言い出し、魔神機を破壊する武器を造っていたという。ラヴォスの危険性をボッシュは強く訴えていて、つまり魔神機の実験を止め、ラヴォスを目覚めさせなければ、全ての問題が解決されるのだと魔王は思った。

魔神機を止めるにはどすれば良いのか。未来からきたジャキだと名乗り、信じて貰えれば止める事はできるかもしれない。魔力の気配色は40年の間に変わったが、ジャキに近い気配色として残っていた。ジールを説得できる可能性はある。名乗り出よう。そう決断した瞬間、魔王の存在は消えかけた。

歴史を変える事は、今ここにいる魔王の存在が成立しないという意味だった。この時代のジャキがラヴォスゲートに入るシナリオが成立しないと、魔王はこの時代に干渉できないという意味だった。

魔王はラヴォスの目覚めを阻止する事ができなかった。ラヴォスを倒す以外には方法ないなのだろう。だが黒い風は国中全体に漂っていた。恐らく戦っても勝てはしない。中世の世界でみた三角ピラミッドは天空都市がラヴォスに落とされた姿なのかもしれない。勝てないにせよ、サラを連れて安全な場所に逃げる事はできる筈だ。そう信じる魔王だった。


この時代、人造魔族の実験の過程で世界中から実験材料となる生物を集めていた。

テレパシーが使える希少な生物が発見されたが、王家はその存在を知らされてはおらず、ダルトンは極秘に研究し、テレパシー能力が得られる脳の配列を突き止めた。合わせて他人の思考を盗聴できる魔道具も開発した。

クロノ達は入国管理局を経由してジール王国に入った。

現代人特有のファッションをしていて好奇な目にさらされる。一方でカエルやロボは特に目立たなかった。魔学的に生み出された精霊(グランとリオン)の様に、人工的に生物を生み出せる文明においては、逆に派手すぎる格好の方が目立たない。

クロノ達に観光を楽しむ暇はなく、現代から連れてきたボッシュの要望で王宮へと向かった。ラヴォスよって崩壊する世界を救いたかったボッシュ。王宮へはボッシュのコネ、ボッシュの顔パスで入っていたが、この時代のボッシュは嘆きの山で幽閉されていた。王宮はざわつき、脱走したボッシュを捕らえようと衛兵が動き出した。2人のボッシュの存在が歴史を大きく変える可能性があり、ボッシュもクロノ達も消滅しかけた。透明人間の様になり、王宮から逃げるのには成功した。ボッシュはラヴォスの目覚めを阻止できない前提の元、ラヴォスを倒す計画をした。古代の戦争で使われた魔導兵器を海底神殿に下ろすべく、関係者であるダルトンに交渉を求めた。ダルトンに未来から来たことを告げた。

思考盗聴でクロノ達から未来の情報を引き出したダルトンはラヴォスを倒す事に協力的だった。しかしラヴォスエネルギーも必要であり、ボッシュの言い分は聞く振りをして、魔導兵器の出力は弄られ、弱いものへと変更された。天空都市が滅ぶとしてもまた造ればいい。ダルトンはその様に考えていた。

魔導兵器はラヴォスを取り囲む様に置かれ、ジールに気付かれない様、透明化魔法の処理が施されていた。魔導兵器は三人連携技のミックスデルタの様な攻撃が出る仕組みになっていて、囲んだ外側には破壊の影響はない。起動するには機械のスイッチを起動する数だけ同時に押さなければいけない。


ラヴォスが目覚め、三賢者がラヴォスゲートに飲み込まれると

クロノ、マール、ルッカ、ロボ、カエル、エイラ、ボッシュ、7人で一斉に起動した。

国が消滅する程のエネルギーをラヴォスにぶつけたつもりだったが、ラヴォスは磁場を歪ませ機械もろとも内側に巻き込み破壊した。

クロノ達もラヴォスに巻き込まれそうになる。ボッシュが念力でクロノ達をラヴォスから離した。

離れた位置が悪く、目からのビームでロボが消滅した。腰をぬかしたエイラもビームで消滅した。

エイラの死で原始から古代の間に生まれなくなる子孫【6500万年÷出産年齢20=325万人】

がいたとして、その325万の魂が生まれたかった願いがマールのペンダントに作用し、10秒だけ、クロノ達メンバーはタイムリープし、ラヴォスから避難する隙が生まれた。

カエルはその十秒の間にラヴォスの目に攻め混んだ。時速200kmのカエル。10秒あれば、550m動けた。全長1kmのラヴォスだが、ラヴォスの後ろにいれば10秒では届かなかったかもしれない。偶然、ラヴォスの目に届いた。グランドリオンは魔岩窟の様な硬い岩も両断できた。ラヴォスの目に突き刺さる剣。カエルは何度も突き刺した。目から放たれるビームはカエルに当たらなかった。視線に合わない様に器用に避けられたのはルッカに稽古をつけて貰っていたからだった。銃の射上にいない限り、銃は無力である。その言葉を覚えていたカエルはラヴォスを倒した。

クロノ達は古代人を助けてしまった。歴史が大きく変わり、クロノ達が生まれない世界に変わり、クロノ達は消滅する。古代人からクロノ達が存在した記憶は消える。しかし、クロノ達の存在が消える事で生まれる筈だった未来人が10万人いた。その無念の魂がペンダントに反応し10分だけクロノ達が消えずに存在する事が許された。

カエルはラヴォスの中に入った。

奥の気配に危険を感じ、飛びかかった。衝撃波で近付く事ができない。魔王がおもろにやって来て、アイスガ、ファイガを使い、一人反作用ボムをした。爆発の衝撃で空間が一瞬だけ真空状態になり、電気の通りが良くなった。魔王はサンダガを浴びせて痺れさせた。この瞬間、衝撃波が来ない。カエルは深く飛び込み、乱れ斬った。

剥がれ落ちたラヴォスの中から人型ラヴォスが出てくる。いくらグランドリオンが強いといっても、このラヴォスにはカエル一人では決して勝てないだろう

ラヴォスはテレパシーを使える魔族の遺伝子を取り込んでいた。

クロノ達の記憶を読み込み、恐竜人のアザーラに未来予知の遺伝子があると知った。その遺伝子は地中に残っていないが、探せばアザーラの祖先の化石から遺伝子を採取できるかもしれない。でも、そんな面倒な事をするよりも…

もはや戦い等どうでも良かった。未来予知が欲しすぎたラヴォスは嬉しさのあまりにジャンプし、殻に頭をぶつけた。相当痛かった。ラヴォスは気を沈めると、時空転移技を使い、アザーラのいる世界へと向かった。