黒ずくめの男達に人質にとられるクロノ
現代に戻るとゲート前には非常線が張られ、ガルディア軍、及び大量の野次馬とマスコミがいた。
人々の間では次元の歪みに消えたのはガルディア王の一人娘、マールディアという事が判明し、沸いていた。
テレビのインタビューがクロノ達をまちうけていた。
次元の穴についての説明をする記者会見の場が用意されていた。その会見に合わせて前もって政府から必要書類に目を通す様に指示がなされた。
書類にはゲートの先について、万が一タイムスリップや異世界へと通じていた場合は世間には秘密にする事等が書かれていた。また会見が終わり次第、調査委員会の聴取を受ける事を同意した等の旨も書かれていた。クロノ達は同意のサインをした覚えはないのに筆跡を真似られたサインがなされていた。
ルッカは過去に行く前、ゲートの先について、GPSや携帯の電波の届かない地域であるとマスコミに公表していた。
GPSが入らない地域は地球上には存在しなかった。この件に関してルッカは計器の故障だと説明し、ゲート先の撮影映像を公表できない件に関しては、被写体のプライバシーの問題で発表できないと説明した。
ゲートが繋がった先はインターネットの設備のない田舎、エルニド諸島だと説明した。
クロノ達は調査委員会のヒアリングには、【過去の世界】【または良く似ている別の世界】だと答えた。マールのペンダントが事故の原因であること。クロノ達が見てきた魔族やカエルの説明を調査担当者は興味深く聞いていた。
念の為にと、千年祭に置かれたテレポート装置は撤去された。数時間に及ぶ聴取が終わると、クロノ達は自宅へと送迎された。
既に朝になっていた。
自宅にいたジナは縛られ、黒ずくめの男たちに監禁されていた。クロノも捕まり監禁された。
ルッカのスマホにクロノが捕まった映像が届く。黒ずく目の男たちは、ゲートの先を教えるのなら、命だけは助けてやるという。
犯人達はゲートホルダーを要求した。
ルッカは故障したときのリスク回避の為、ゲートホルダーを複数作っていた。だが、その全ては政府に預けてしまった。
犯人はゲートホルダーを作る様指示をした。正午までに(3時間以内)にクロノの自宅までゲートホルダーを届ける様に命令をした。
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マールは家出した件を叱られると思っていた。これまで王族として公務はしっかりやってきたものの、その意義が判らなかった。街で見かける人々、普通だが当たり前の様に友情や恋人関係育む人たちが羨ましくて、つい家出してしまった事を父に説明した。
反省は伝わる以上に伝わった。妻を失くしての一人娘。目にいれても痛くないマール。むしろ反省しているのは父親だった。マールに友達が出来た事を喜び、挨拶の電話をかけた。
クロノの自宅は魔族が押し入っていて電話に出られない。
ジナは「きっと取材の依頼電話よ。今日の昼にクロノに取材の予定が入っていたの。キャンセルするから出させて」と黒ずくめに言った。
ジナは電話を取った。
「もしもし、マールの父親でございます。」
突然の陛下からの電話に驚いたジナだった。聞き耳をたてていた黒ずくめも同じく驚いた。
ジナは少々無鉄砲なところがあった。王様ならば絶大な権力があるはず、たとえ自分が人質になっていたとしても、「助けてーー!」と叫べば、助けられる気がした。
実際に権力があるのかは不明だ。天皇と同じで政治には関われないのかもしれない。とにかく黒ずくめは予定外の事態にあたふたした。
今さら人質を殴ったところで遅い気がする。見せしめに息子のクロノを殺したところで罪が重くなるだろう。王様が通報するだろうから一刻も早く逃げないといけない。場所を移動して人質交渉を再開する計画もあったが、手間がかかりそうなのでその計画は無しとしていた。。黒ずくめは逃げ出し、クロノとジナは助かった。
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警察に事情聴取されているクロノとジナ。庭にヘリコプターが着陸し、中からガルディア王とその娘がでてきた。心配になり駆けつけてきたそう。
出会いと生還を記念し、皆でパーティーしようぜと邸宅に招待される。ルッカ、タバン、LaLa、クロノはジナ、ヘリコプターで邸宅まで向かった。
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400年前に魔族は人に姿を変えられる魔法を開発していた。その魔法を使い、大臣に成り済ましたヤクラは死んだ。しかし当時ヤクラの配下として関わった者の中にコウモリ魔族がいた。コウモリ魔族は人に化ける魔術を代々受け継いでいた。クロノ達が千年祭ゲートから入った際に、コウモリ魔族の子孫も共に入った。。コウモリ魔族は小さくてクロノ達はその存在に気付かなかったが、重大な歴史の変化が起きていた。
400年前の世界でコウモリは人に化ける魔術を西側魔族に売り渡した。ヤクラの王家転覆計画は失敗に終わったが、その反省点が活かされた戦略情報を西側魔族は得た。。
それによりイギリスは魔族の植民地にされ、次々とヨーロッパは魔族の支配下に置かれた。400年の間に全世界のほとんど魔族が統治する世界となっていた。
魔族の政策は巧妙にできていた。食糧となる人間の人口を効率良く増やす為、人間にとって暮らしやすい世界を作ろうとした。魔族が存在していては人々は不安になり人口は増えないので、人々から魔族の記憶を消す事にし、それと平行して、人に成り済ます魔術が使えない下等種族は不要とし、滅ぼした。
人間界の権力を得た魔族にとって、同族を奇襲し滅ぼすのは容易い事だった。
魔族は芸能人やアイドル、王族や政治家には成り済まさなかった。人に慕われる存在に成りきるのは難しく、世の安定に関わる者は生かしておいて人口増現象に寄与させる方が得だと考えた。
王族であるマールとその友人は、世の安定に必要と判断され、ルッカを脅迫した黒ずくめの様な者は、不要として判断される。
監視カメラ社会であり、逃げた黒ずくめは直ぐに特定され、魔族の餌にされるだろう。
独り暮らしや身寄りのない者は、捜索されにくく、餌にされやすい。
年間の行方不明者届けは日本だけでも8万件ある。人口全体でいえば0.1%もない。1000人の友達がいて、一人居なくなった程度では誰も気にもとめない。魔族による人間植民地計画は完璧だった。
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関連note
https://note.com/msyaan/n/nb17357f56d8c
完璧な魔族社会だった。
しかし、この完璧さを壊したい魔族、ヤクラ13世がいた。祖先のヤクラな計画は失敗したが、子孫のヤクラは先祖の失敗を生かして、あえて大臣になっていた。
政治家にはなってはいけない魔族の掟。それ破ってまでヤクラがしたい事とは、人の支配だった。目の前で誰かをひれ伏させたい。
ヤクラ配下の魔族は邸宅の従者の殆どに成り済ましていた。元の従者らは監禁された状態だった。
ヤクラ配下の魔族は邸宅の料理に睡眠薬をに混ぜた。クロノ達は眠くなり客室で寝た。縛られ、容姿をコピーされて、監禁された。 マールやルッカ、タバン、LaLa、ジナ、王も容姿をコピーされ、監禁された。プライベートな情報を聞き出される。
ヤクラの目的はマールやルッカになって、回りからチヤホヤされたり、王になって散財すること。
人間の暮らしやすい世の中を作るのが魔界のルールだが、そのルールに反したとしてバレなければ問題はなかった。
ちょっとルッカになったり、ちょっと王様の財布を使ってもバレはしない。
人質をとっておけば逃げられない。人間が仕事やらなきゃいけない時だけ、監禁を解いてあげる。「人質が殺されたくなかったら仕事し続けろ」と言えば、コントロールできるとヤクラは思っていた。
この問題の大きなポイントは周囲の人間が、不振な点に気付き始める頃。魔界の執行者が違反魔族に制裁を与えにやってくる事だった。
ヤクラは処分され、クロノ達は執行者の魔術により、魔族に関する記憶が消される。
クロノ達は安全にタイムトラベルした部分だけの記憶が残り、ゲートに対して前向きな気持ちなる。
ルッカはゲート探索機械を開発し、新たなゲートを見つけて、未来へと飛んだ。
未来ではラヴォスに破壊されている映像を端末で見るが、端末から人間と魔族の歴史が学べた。魔族の記憶は失っていたので「魔族とは何ぞや?」と疑問しながら、ロボと出会い最果てに。
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クロノ達は最初にゲートに入った者としてマスコミに注目されていた。マスコミだけでなく、魔族にも監視されていた。
未来のゲートに入るクロノ達は一部始終盗撮されていてSNSに動きが流された。コウモリ魔族もこっそり未来についてきて、小型のカメラで未来2300年を撮影していた。
ラヴォスの脅威は王国歴1000年、西暦2021年から始まった。現代の世界には30日の猶予しかなかった。
未来のコンピューターから得られた情報は、【未来から得られた情報を現代に持ち帰り、国連と力を合わせてラヴォスを迎撃しようとしたが力及ばず、世界は崩壊した。】という情報だった。
クロノ達がしようと思った事が先取りされて未来のデータベースに残っていた。別のやり方で世界を救う方法を考えるしかなかった。考えているとデータベースの画面が変化した。
【ラヴォスに勝てないので簡易的なシェルターを作った。人々は多く生き残るがラヴォスがウイルスを撒き散らして、人々はより絶滅の道を辿る。】
ルッカはこの情報を過去に持ち帰るべきか悩んだ。悩んだあげく、中世時代か原始時代に現代人タイムスリップさせて人々を逃がすという案を思い付いた。
また画面が変わった。【原始時代では30日後にラヴォスが飛来して二ヶ月後に氷点下マイナス60度の氷河期になる。陸上の生物が絶滅する勢いだが、突然変異し、古代人は魔法を使いこなして生きているが、ラヴォスが再び目覚めて破壊する】
しかし【中世では全てが上手くいく。】という情報が得られた。だが、直ぐに画面は変わり、【中世の人口が100億になって、再びラヴォスが目ざめる前に中世に行く人々で人口が増えまくる。あっという間に資源が消費し尽くされパンクする】