シンガポールの街を知る:ホランドビレッジ
欧米人好みの飲食店が並んでいるだけの小さなエリア。それが、2019年に初めてホランドビレッジを訪れた私の第一印象だった。
ここ数年の間に、ホランドビレッジは街並みが変わってきている。2023年12月にオープンしたショッピングモール、One Holland Villageと共に、完全なる好みで選んだポイントを紹介したい。
ホランドビレッジとは
元々は、イギリス軍の兵士とその家族のために建てられた住宅の集まりだったホランドビレッジ。その名前は、初期の居住者でイギリス人建築家のヒュー・ホランドに由来している。
1960年代に軍の住宅を増やすため、チップビーガーデン地区)が建設された。現在は住戸をシンガポール政府が所有し、個人に賃貸されている模様。
2011年には、MRTホランドビレッジ駅が開業。2016年にショッピングモール「Raffles Holland V Mall」、2019年に「Holland Piazza」オープンと、開発が続いていた。
ワインバー、ベジタリアンレストラン等、シンガポールのさまざまな「ライフスタイルトレンド」の発祥地といわれているホランドビレッジ。それでも、私は「わざわざ出掛けに行く場所ではないな」という思いが強かった。下戸で朝型なので、そもそも夜遅くまで出歩く習慣がなかったことも関係しているだろう。
そんな私も、日中の散歩は好んで行う。上記の記事から「かつてのホランドビレッジはどこに…」と憂いを込めた声が聞こえてきたところで、ホランドビレッジの散策を敢行した。
早速、図書館に行ってみた
まずは、気になる図書館として挙げていたHDB図書館に、早速足を運んでみた。HV Little Libraryののどかな雰囲気は、洗練された「カンポン」の雰囲気を体現しているようだ。
日本語の漫画も1冊発見した。気になる方はご自分の目でお確かめあれ。
レトロモール:ホランドロード・ショッピングセンター
ホランドロード沿いにある半月の形をしたショッピングモール。開業は1971年2月、当時から、ターゲットはシンガポール人でなく近隣の外国人居住者であった。
2階より上には土産物屋、家具屋、ネイルサロン、ビューティーサロンが営業している。客引きはなく全体的に静かな雰囲気。トイレは良く言えば「レトロ」。
Paris Mikiが入っているのは知らなかった。シンガポールで最西端の店舗ではなかろうか。
ニューモール:ワン・ホランドビレッジ
2023年12月にオープンした低層のショッピングモール。ホランドロードから少し奥まった場所にあり、建物自体も奥に長い。
MRTブオナ・ヴィスタ駅からは約900m。歩けなくはないが、ほとんどは最寄りのMRTホランドビレッジ駅から徒歩、あるいはバスで訪れるだろう。
このモールで気になったのは、静かな存在感を放つTsujiri Premiumだ。京都が源流で北九州市に本拠を持つ「辻利茶舗」から、抹茶デザート店「辻利」のフランチャイズ権を取得したAmeiz Holdingsが展開している店舗のよう。
Tsujiriのシンガポール1号店自体は、ショッピングモール「100AM」で2012年11月にオープンしている。
お気づきだろうか、日系企業の活躍に
散歩途中にふと頭上を眺めると、どこかで見たことがあるロゴが視界に入った。
2011 年、シンガポールに子会社を設立した「積水ハウス」が、有名な不動産開発業者であるFar East Organization、Sino Group(信和集団)と提携し、ホランドビレッジの変容に関わっている模様。
無料のツアーで、ホランドビレッジを深く知る
シンガポールは改築や再開発のペースが尋常でなく速く、愛着のあった場所が跡形もなく消え去ることが多い。
価値がありながらも見過ごされがちなコミュニティの文化、ヘリテージ(遺産)、伝統を保存し、住民(シンガポール国民)が生活の日常的な側面や地域の歴史を称え、コミュニティに根づいた経験を促すためのMy Communityという活動が近年知られている。創設者の2人は、2009年頃に活動を開始したようで、当初はクイーンズタウンで地域のガイド付きツアーを企画したり、コミュニティの課題についてブログを書いたりしていた。
気になる方は、ホランドビレッジの歴史を紹介する無料ガイドツアーMy Holland Village Heritage Tour(英語)に参加してみてはいかがだろうか。観光地とは一味違うホランドビレッジの姿に、五感で触れることができるだろう。
参考: