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日本映画祭と、シンガポールの穴場映画館

 あと1週間弱で、The Japanese Film Festival(JFF、日本映画祭)が始まる!
 黒澤明監督の「夢」「天国と地獄」「生きる」「乱」「羅生門」「七人の侍」が上映されることはもちろんエキサイティングだが、森田芳光監督レトロスペクティブ特集というチョイスも何ともいえない。しかも、

という非常に豪華なラインナップ。

 JFFの会場はおなじみShaw Theatres LidoThe Projector(Golden Mile Tower)The Projector(Cineleisure)…そしてAsian Film Archive (Oldham Theatre)。フォートカニングパークとFunanモールの傍にひっそりと佇む穴場映画館Asian Film Archiveでは、最近濱口竜介監督の「ハッピーアワー」が上映されたばかり(館内はほぼ満員だった)。チケットが安く自由席、しかも広告なしで即本編上映という、公益団体ならではのスタイルで運営されている。

 Asian Film Archive(AFA)は、シンガポールとアジア映画の豊かな映画遺産を保存し、映画に関する学術研究を奨励し、この芸術形式に対する幅広い批評的評価を広めることを目的として、2005年1月に非営利団体として設立されました。
 AFAは、アジア映画コミュニティの中心となることを目指しており、上映会や教育および文化プログラムを通じて文化、学問、産業に貢献し、新しい知的、教育的、創造的な空間を開拓し、この芸術形式に対する幅広い批評的評価を促進しています。
 AFAは、重要なドキュメンタリー遺産のリストであるユネスコ「世界の記憶」アジア太平洋(UNESCO Memory of the World Asia-Pacific Register)に登録されたシンガポール初の映画コレクション 「AFA Cathay-Keris Malay Classics」を所蔵しています。リー・コン・チアン参考図書館(Lee Kong Chian Reference Library)で、コレクションが視聴できます。
 AFAは、シンガポールを拠点とする公益団体です。独創性、持続性、影響力、およびベストプラクティスが認められ、2007年に全国ボランティアおよび慈善活動賞(National Volunteers and Philanthropy Awards)で新非営利イニシアチブ賞(New Non-Profit Initiative Award)を受賞しました。2014年 1 月、AFA は国立図書館庁(NLB、National Library Board)の所管になりました。
 AFA は、国際映画アーカイブ連盟(FIAF)の関連団体であり、東南アジア太平洋視聴覚アーカイブ協会(SEAPAVAA)および動画アーカイブ協会(AMIA)の組織会員です。(…)

Asian Film Archive「About Us」より

東京でいえば国立映画アーカイブのような立ち位置なのだろうか。
 ちなみに、Cathay-Keris Malay Classicsコレクションの中には、以下の作品が含まれているよう。

 (…)Notable films in the collection include the Cathay-Keris Malay Classics Collection: Hang Jebat by Hussain Haniff (1961), Mat Bond by Mat Sentul and M. Amin (1967) and Sumpah Pontianak by B.N. Rao (1958); Evolution of a Filipino Family by Lav Diaz (2004); Blink of an Eye by Mike de Leon (1981); Manila in the Claws of Neon by Lino Brocka (1975); The Arsonist by U-Wei Haji Saari (1995); The Big Durian by Amir Muhammad (2003); Da Huang Pictures Collection and the Woo Ming JinCollection that document the works of the Malaysian New Wave filmmakers. (…)

Wikipedia「Asian Film Archive」より

 1950〜1960年代にかけてはマレー語映画が大成功し、シンガポール映画の黄金期と呼ばれた時代。その後映画産業が衰退した時期もあったが、商業的にも文化的にも快進撃を続けている昨今のシンガポール映画界。日本映画の機微は、シンガポール人の目にはどのように映るのだろうか。日本映画ならではの間、えげつなさ、曖昧さ、コンテクスト。そして字幕に頼らなくて良い快適さを求めて、日本映画祭を目一杯楽しみたい。

参考:
・明石書店「シンガポールを知るための65章」【第5版】第19章『映画』より
Asian Film Archive

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