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【米国株KPI】SNS・広告ビジネス(Q4'20)

決算では売上高、EPS、ガイダンスの3点の確認が基本です。無事決算をクリアしても、なぜか株価が下がり続けているような状況では誰もが不安になります。そのような時に自分なりの確信があれば握力はグッと強まるはずですが、初心者の多くは独力で決算書を読むことができず、この段階で躓いてしまっているかと思います。

決算書を読み解くにはそれなりの知識と経験とセンスが必要ですが、ごくシンプルにKPIの推移を確認するだけであれば初心者でも比較的簡単に取り組むことができます。これにより、もう一歩だけビジネスに踏み込んだ分析ができます。

こんな人に読んで欲しい

- 決算の基本は知っているけどもう少し自分なりの分析ができるようになりたい
- 会計知識はないけど決算結果の確認ができるようになりたい
- 広告ビジネスに投資したい

広告ビジネスのKPI

広告ビジネスの基本は下記の公式です。

売上 = アクティブユーザー数(DAU) × 1ユーザーあたりの売上(ARPU)

これが意味するのは、売上を伸ばすためにはユーザー数を増やすか、1ユーザー当たりの売上を増やすしかないということです。もちろん、企業業績には他にも様々な要因がありますが究極的にはこの2つがKPIになります。とてもシンプルですよね。

10-K(四半期報告書)は見ただけでアレルギー反応を起こす方もいるかと思いますが、DAUとARPUの数値を確認するためには企業HPに掲載されている決算報告用のプレゼン資料を用います。この資料はやや恣意的な表現がなされている可能性はあるものの、企業のメッセージがダイレクトに掲載されており大変わかりやすいものになっています。

例としてFacebookのQ4'20の結果を確認します。
資料を開くと真っ先にDAU(Daily Active Users)とMAU(Monthly Active Users)の推移が掲載されています。

そして、ARPU(Average Revenue per User)が続きます。

このように、Key Result はプレゼン資料のトップに掲載されます。各社とも概ね同じように資料構成です。他社の資料を探す際は「ティッカーシンボル + earnings」あたりでググると出てきます。
それにしてもFacebookの資料は淡々と必要な情報のみが掲載されおり読みやすいですね。Snapもシンプルで大変好感が持てます。

各社比較

今回の比較対象は下記4社です。

- Facebook(FB)
- Twitter(TWTR)
- Pinterest(PINS)
- Snap(SNAP)

広告売上高

資料に広告売上高が明記されていない場合は、売上高をそのまま広告売上高として前年同期比の推移を出しました。各社とも売上高の大半が広告なので大きな誤差はないはずです。

Q4'20のPINSの伸びは素晴らしいですね。SNAPもイイ感じです。FBは他ほどではないものの企業規模を考えると驚異的と言えます。TWTRはQ2'20の落ち込みが大きく、その後も伸び悩んでいるように見えます。

では、売上高を構成するKPIを確認していきます。

デイリーアクティブユーザー数(DAU)

DAUの前年同期比の推移を確認します。

やはりPINSの伸びが素晴らしいですね。売上高で低迷したTWTRは意外にも第2位です。
ちなみに、TWTRはmDAUという指標でアクティブユーザー数を公表しています。これはマネタイズ可能なアクティブユーザー数とのことで他社とは異なる指標値です。このように、決算書のような統一されたルールがないので数値の絶対評価はできないケースが多いです。あくまでもその企業の過去業績との比較が評価基準になります。

1ユーザーあたり売上高(ARPU)

SNAPが大変優秀です。PINS、FB、TWTRと続きます。
DAUがダントツだったPINSですが、ARPUでも良い結果です。これが売上高の高成長につながっていることがわかります。

また、「TWTRはマネタイズが下手」と言われる所以がDAUとARPUのグラフから理解できると思います。

FBは現時点でのDAU成長率は低いものの、ARPUに安定感があります。これはFBが短文や画像といった情報だけでなく、より多くの顧客情報にアプローチできるサービスを手掛けているためと考えられます。これがFB最大の強みと言えます。

Q4'20時点での総合力ではPINS。今後の見どころはTWTR?

ここまでの結果をみる限り、Q4'20時点での総合力ではPINSでほぼ間違いないでしょう。次いでSNAPかと思います。
個人的にはTWTRに注目しています。Twitterは2020末以降、次々と新たな施策を打ち出しており、今後の動向が気になります。

一般的にDAU→ARPUの順に上昇すると言われています。これらの施策によりDAUが向上できれば次はマネタイズ(ARPU)です。現在は売上のおよそ90%が広告売上ですが、売上比率にも変化が見れれるかもしれません。

クリエイターエコノミーの時代、SNSにも大きな変化が見られるはずです。
今後は売上比率にも着目していくべきかと考えています。

参考書籍

当記事はシバタナオキさんの書籍を参考とさせていただきました。
2冊とも自信を持ってオススメできます!


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