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個別株長期投資でS&P500に勝てるのか-Pythonでポートフォリオ最適化-

シャープレシオとは、ざっくりいうとリスクに対するリターンの高さを示す指標です。シャープレシオを最大化することにより、合理的な投資ができることになります。本記事では、適切なポートフォリオを構築することで個別株での長期投資の可能性を考えてみます。

ポートフォリオ最適化のやり方

(プログラミングに興味のない方は読み飛ばしてください)
PythonのPyPortfolioOptというライブラリで簡単に実践できます。プログラミングスキルがなくても利用できるサービスはいくらでもありそうですが、今回は勉強も兼ねてPyPortfolioOptでポートフォリオ最適化を実践してみます。といっても、20行程度で作成できる簡単なコードです。

お題のポートフォリオ

単純にリターンを求めるのであればグロース株投資でしょう。グロース株投資ではよりモメンタムの強い銘柄に乗り換えていく必要があります。さらに、若い企業が多いので本記事の趣旨にはマッチしません。
歴史ある企業かつ、それなりの銘柄数で組まれているポートフォリオ・・・
アレしかないということで、最も有名な米国株ポートフォリオを題材にしました。
下記の銘柄群でS&P500に挑みます。

対象銘柄
WMT,KO,MO,PM,PG,JNJ,VZ,IBM,MCD,XOM
ベンチマーク
S&P500(VOO)

値動き比較

10年間の株価比較です。ちょっとわかりにくいですが、VOOを上回っているのはMCDとJNJです。

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ポートフォリオ最適化実践

では実践してみます。

期間
2011/2/12 - 2021/2/12
リスクフリーレート
0.15
結果
WMT:23.3% MO:6.1% JNJ:40.4% MCD:30.1%
残り全部:0.0%

・・・秘密の4種です。
成績は下記の通りです。期待リターンはほぼ互角、シャープレシオは勝っています。これならS&P500と戦えます。

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それにしても違和感ありますよね。
感覚的にはアルトリアなんてあり得ないです。これはアルトリアのかつての絶好調期が加味されているためであり、現時点での実態とかけ離れています。現代の健康意識の高まりを考えるとアルトリアがここから大きく盛り返すとは想像できません。
そこでイメージしやすい過去3年に絞って再検証してみます。

期間
2018/2/12 - 2021/2/12
リスクフリーレート
0.15
結果
WMT:24.1% PG:72.7% MCD:3.2%
残り全部:0.0%

秘密の3種になってしまいましたが、感覚的にはこれでバッチリです。
成績は下記の通りです。このポートフォリオならS&P500に完勝です。

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個別株の長期投資は難しい

自分自身としては米国株投資歴は10年もなく当時の状況はわかりませんが、きっと成長が約束されていた10銘柄だったのでしょう。しかし実際に長期に渡り市場平均を上回ったのはほんの数銘柄だけ。当時からすると考えられない状況ではないでしょうか。

「長期投資家」を自称して個別株をガチホすることに意味はありません。銘柄選定が間違っていたら損切りすればよいだけですが、これでは長期投資の最大のメリットである税金の繰延効果が得られません。

長期投資を前提とするならばインデックス投資一択でしょう。
時価総額加重平均ETFであれば、銘柄入れ替えも成長企業へのリバランスも自動的なのに税金繰延効果も得られます。

なんてことのない結論でしたが、結構楽しめた検証でした。

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