声掛けのプロを目の当たりにした話
はじめに
私事ですが、先日第一子が誕生しました。有難いことに出産にも立ち会うことができ、我が子誕生の瞬間を見届けることができました。
出産時はそれどころではなかったので気づけなかったのですが、ふりかえると「無事に出産を終える」というひとつのゴール、目標に対する助産師さんたちの声掛けのアプローチがとても素晴らしかったことに気づきました。
このアプローチは私自身も仕事の中で活かせそうだと思ったので、こちらの記事にそれについて書いていこうと思います。
大変な状況でも少しずつ前に進むための声掛け
私が出産した訳では当然無いので、出産の大変さ、痛さに対して100%理解することはできません。しかし、その場に立ち会って男からすると想像を絶する、いや、想像することができない痛みとの戦いだったのだと思います。
そんな大変な状況であろうとも我が子を産むために妻は一生懸命がんばってくれました。本当に感謝しかありません。
そしてその前に進む頑張りを後押ししてくれたのが間違いなく、助産師さんたちの素晴らしい声掛けによるサポートでした。
どんなところが素晴らしいと感じたのか以下にまとめます。
その時々の状況に対して共感する
陣痛が始まり出産を終えるまでには痛みの感じ方が変わっていきます。助産師さんはこれまでの経験から、その時々の状況に合わせた痛みについて共感をしてくれていると感じました。
「今このあたりが痛いでしょ?」「痛み強くなってきたよね」「きついよね、分かるよ」などといった共感です。「痛いけど我慢しなさい」のようなメッセージは一度も使われていません。ただでさえがんばって痛みと戦っているのに、もっとがんばりなさいというような声掛けは決して行いません。
この状況を仕事に置き換えるのも変な話ですが、仕事で相談を受けるとき、本人ががんばっているけど辛い苦しい状況が打破されないケースの話をよく聞きます。この時の私をふりかえると、よく「我慢の時期だ」とか「耐える時だ」とかそういうメッセージを送っている気がしました。その苦しい状況に私自身が直面していないにも関わらず、その当事者である本人に「我慢しなさい」「耐えなさい」というメッセージは今思うととても失礼だなと反省しました。
少なくとも自分自身も同じような経験をしたことがあるはずなので、まずはその苦しみに共感してあげることが最初のステップとして必要なんだなと思い知りました。
苦しい状況でも前に進んでいることを伝えてあげる
前述の続きになるのですが、ただ共感してあげただけでは何も前に進みません。痛みや苦しみがあるというのは前に進んでいるという証拠なのです。
助産師さんたちは状況に合わせた共感のあとに必ずといっていいほど、ゴールに対して着実に前へ進んでいることを教えてくれます。
個人的に印象的だったのは、いよいよ子どもが産まれるという最終段階のとき、「いいよいいよ、今髪の毛1本見えてきたよ」という声掛けです。
たかが髪の毛1本、されど髪の毛1本です。髪の毛1本でも見える状況になっただけでも、我が子ともう少しで対面できることをとても実感することができました。
仕事でも同じで、辛い苦しい状況に直面しているのは同じく前に進んでいる証です。何もしなければ何も進めなければそのような状況に直面しない訳です。
その上でより具体的に何が前に進んでいるのかを伝えてあげられると、その本人も前に進んでいることをより実感でき、苦しい状況でも前を向こうと思ってもらいやすくなるのだと思います。
頑張ってる本人を褒めてあげる
助産師さんたちはとにかく頑張っている妻を褒める機会が多く、褒めるのが上手だと感じました。本当に何気ないところでも褒めてそれを伝えているのが印象的でした。
痛くて苦しい中一生懸命頑張っていることを最大限に褒めてあげることが大事なんだなと思いました。仮にそんな状況下で叱られることでもあれば簡単に心が折れてしまい、やめてしまいたくなったかもしれません。
仕事でも同じです。特別なことをした時だけ褒めるのではなく、常日頃目標に向かって頑張っていることに対しても、きちんと褒めてあげるのがとても大事だと思います。それだけで本人はその頑張りが認められていると感じるはずですし、もっとがんばろうという気持ちも生まれてくるはずです。
最後に
出産と自らの仕事を無理矢理紐づけてしまったかもしれませんが、今回お世話になった助産師さんたちの声掛けは本当に勉強になることばかりでした。
アドバイスやフィードバック、ティーチング、コーチングなど私の仕事にはたくさんの声を掛けるシチュエーションがありますが、そういう状況でその声を掛ける相手が少しでもより前を向ける声掛けをしていきたいと思えた素晴らしい出来事でした。