代代代 5月5日名古屋ワンマン
(開場前)
今日のワンマンの会場は大須観音のすぐ近くにある。2018年の6月にも代代代がこの近くの別のライヴハウスのイベントに出ていて、大須観音本堂前の階段でメンバーが記念撮影している写真がある。当時、名古屋では集客に苦戦していて、この日のイベントのフロアもかなりさびしいものだった。このときからメンバーは半分入れ替わって、スタッフも変わってしまった。
(開場)
エレクトリックレディランドのステージは横に広く、フロアは階段状になっているのでとても見やすいともっぱらの評判。
ワンマンだけあって、普段見かけない人がたくさん。なんとなく、梅田シャングリラでの1stワンマンのことを思い出す。
1.清潔(SE)
日中はずっと雨の中をうろうろしていたせいか、席につくと少しうとうとしてしまった。開始時間がきた。場内が暗転してSEが始まり、慌てて立ち上がる。
すぐに音響のすごさが分かる。代代代の曲、特にインスト曲は会場や音響毎に違った表情を見せて、聴くたびに新しい発見がある。
メンバーが一人ずつ、静かにステージに入ってくる。
2.文字化CATION
緊迫感のある「清潔」から一転、「文字化」の明るいイントロが始まって、ステージのメンバーも笑顔で歌い始める。一曲目から意表を突いてくる。
3.やめさせろとめさせろ
このパートは「この路線」で行く気なんだな。この曲はメンバーがとにかく楽しそうに踊って、こちらも笑顔になる。
4.ガールズトークインチャイナ
最初から盛り上がる曲を続けて後半は大丈夫なのかと余計な心配をしてしまう。「名古屋、跳ぶよ!」のいずちゃんのかけ声でみんなでぴょんぴょん跳ぶ。
5.そッ友、ズっ閉じ
2017年発表のEP『戎戎戎』収録曲。古い曲が続く。りおりの落ちサビの後、なむちゃんの「生きてける!」でみんな一緒に親指を立てた拳を突き上げるという決まりがある。
6.スティーヴンモノリス
ここで「第一部」はクライマックスを迎えたことが分かる(説明は難しいのですが、「スティーヴン」は"そういう"曲なので)。
ここまでSEを除いて新アルバム曲がない。第一部は「回顧」パートなのかもしれないけど、「旧曲」達もまた、新しい、最強のチームによって生まれ変わって、以前と違った表情を見せてくれたパートだった。
7.Interlude D
去年のライヴでInterlude Aが登場したときは驚いたけど、それがB、C…、と続いてさらに驚かされた。どれもとてもかっこいい。このように、オリジナルの間奏曲を何種類も持っているというのはとても贅沢だし、やっぱり変わったグループだなと思う。
8.EHM
いきなり新アルバム曲で第2部が始まる。イントロので5人が一斉にバッと顔を上げるところがカッコ良くて好きな見せ場。ロカビリー風なダンスもかっこいい。
9.ピラニア
いよいよ、新アルバム曲を本気でぶつけてきた。ウッドブロックという楽器だろうか、硬い木をリズミカルに叩くような音に血がたぎる。(特に宮衣さんの)ダンスが艶めかしい。
10.死神
最近の代代代は、どれだけ爆音でもボーカルが埋もれない。それぞれの歌唱の個性がダイレクトに伝わってくる。素人の僕が言うのも畏れ多いけど、今回の名古屋は、代代代チームの音響の到達点の1つなのではと思う。「死神」もより一層ドラマチックだ。
ヒメカノンのダンスは本当に表現力が豊か。彼女が「時よ止まれ」と歌って手のひらを前にかざすところで、カノン推しは本当に時が止まって欲しいと思ったのでは。
11.融解
湧くどころかリズムにノることさえ難しいのに人気の高い「融解」。ミニマルな構成から徐々に高まって、なむちゃんのソロで絶頂に達するまでの展開が素晴らしい。タイコが連打されるアウトロの深い余韻。
12.OH HAPPY DIE
落ちサビのソロを歌う出雲なるの声が、透明感がありながら力強い。あらためて魅力的な歌声だと思う。
間奏の激しいダンスは、「そういえばForever」の"メスゴリラ"ダンスと並ぶ、さわぷの見せ場の一つだと思う。
13.Interlude E
どのバージョンもかっこいいInterlude。Interludeだけを集めて音源化してほしい。
14.クラウスイハ
細い線条の白い光が幾筋も伸びて、その中に立つメンバーが神々しい。壮大な「イハ」にふさわしい照明。
全員が手を上げて会場が一つになる。
15.細胞
メンバーのロボットダンスのようなカクカクした動きがユーモラス。
去年の渋谷「セルゲーム」のアンコールで披露された「細胞」が思い出される。
16.歪んだ歪み、歪んだ歪み
この「歪み」や「融解」のような、分かりやすく湧ける曲とは正反対の曲をライヴの見せ場にしてしまうのが今の代代代なんだ。
間奏で挿入される、恐竜の断末魔の叫びのような轟音のノイズ。まるで、天井全体から音が降ってくるようだ。
17.不安
音の切れ目で静止して取るポーズが全部かっこいい。ステージの5人が見たことのないような表情を次々に見せて、この日一番驚かされた。
18.不明(退場SE)
全員静止した姿勢から、拍手の中、1人ずつ退場してゆく。最後まで残ったヒメカノンも退場。
(アンコール)
梅田クワトロのワンマンでは、本編が終わったことに観客が気づかなくてアンコールが起こらないまま、メンバーが再登場するという珍事が起こったけれど、今回はそういうことはなく、拍手は自然とアンコールの手拍子に変わった。
馴染み深い「神ング」に乗って走り出てくるメンバー。いつもの代代代だ。
19.神ングスーン
「神がすぐそこ!」で後ろに振り向き、虚空を指差すメンバーのシルエット。初めてこの曲をライヴで聴いたときは衝撃だったな。
20.ZZアリン
最後に、いつもの激しい代代代。「コロナ前」だったら、大声でMIXを打って、推しメンの名をコールして、もみくちゃになっていた曲。今日は静かにしている分、音楽の激しさも際立ってくる。最後のカウベル連打に合わせて客席もクラップする。
(MC)
全ての曲が終わった後、今日初めてのMCが始まる。音楽の余韻がまだ醒めず、少し呆然としている客席とは対照的な、ほんわかとしたメンバーのしゃべりもまた、代代代らし い。
(特典会)
ヒメカノンのチェキ列が特に長く、階段まで並んでいた。6月20日まで、あと何回ライヴができるんだろう。
(閉場)
ステージのパフォーマンス、構成、音響、照明が、1つの頂点に達していて、この1年の代代代の集大成といえるようなライヴだった。
ただの一ファンの僕が言うのも畏れ多いけれど、アルバム「∅」以降の代代代の、これが完成形かもしれない。そして、この完成形が、2週間後に控えたバンドセットでどのように破壊され、新しい代代代が生み出されるのか、今からワクワクしている。