折り合いの栞【緑のざわめき】
ネタバレなしの感想↓
異母三姉妹の行動を通して様々な気持ちを慮るたびに、わたしの心の中にあった小さな感情とリンクしていくようで、没入感のある映画だったよ〜
わたしも無意識に折り合いをつけていたんだとハッとさせられる場面もありつつ、この感情を大切にしてもいいのかなと思えた
劇中の自然がすこし脅威に思えたり、拠り所に思えたり、三姉妹を繋ぐものに思えたり。観る人や登場人物によって変わる所もおもしろかった!
わたしは色んなことが森の密度で隠されてる感じがしてそこが不気味であり田舎の閉鎖的な空間に思えたな〜
ネタバレ含みます⚠️↓
卵巣がんで仕事を辞めて東京から福岡に戻ってきた響子が就活で「うちは育休とかそういう待遇ないので」ってハラスメントを受けてたり
「お茶汲みだけでもいいんで 綺麗な女性は得だから」「いいよな 逃げ道があって」って言われたり
「卵巣摘出してもいいなって思った」「なんで女に産まれたんやろ」って言ってたり、森道で痴漢を受けた経験を誰にも話したくなかったり
響子の卑下に共感する人多いんじゃないかな〜
卵巣 全摘出して福岡戻ってきて 就活始めてみたら「育休ないので」って当てつけみたいに言われるのキツイよ😭 なんですか!? 誰しもが出来る環境で、出産 子育てを望んでるって思ってんのか〜
響子のことを福岡から佐賀に向かってまでストーカーする菜穂子(異母姉妹)は響子の元彼の宗太郎に近づいて寝るんだよね〜〜 ミラーリングすご⁉️と思いました
杏奈は地元のお祭りでお母さんが襲われてできた子供なんだけど この襲った男の人っていうのが響子、菜穂子の父親なの、自然の雄大さに隠された壮絶な環境、状況がすごくゾワッとする
マッチングアプリをヤリモクでやってる宗太郎(響子と菜穂子と菜穂子の友達とヤッてる)と
異母三兄弟の父親が重なって「時を経て繰り返した…」と思った 憎めない宗太郎のキャラも相まって見過ごしたくなるんだけど ここを重ねて見ると見過ごしてはいけないような。軽率な行動って怖いですから。
映画としてはノイズとか自然の音、雑音をカットしてないイメージ
響子がハラスメントされてる時はノイズがかかってて 見てる側も悶々とする
普通あんまり聞こえない車の振動の音
最後の海のシーンは海の音がめっちゃ大きい!
より没入感のある映画だった
題名のざわめきって心のざわめきもそうだけど
自然の中にいる時のうるささもそうかなって思った
杏奈の彼氏が森道で痴漢にあってる時の声が途切れてはいってるのも苦し〜…気持ち悪い…
このシーンで響子の痴漢の経験も思い出しながら思ったのは、
声が途切れてるっていうところが 響子の記憶が途切れ途切れなのを意味してるのかなって、
響子の「それがお父さんなんじゃないかって後ろを向こうとするんだけどそこで夢が終わるの」っていうセリフとか。
母を卵巣がんで亡くして 頼りにしてた芙美子も交通事故で亡くなって 父親もどこに行ったか分からない響子が「寂しかよ」って泣くの切実だ〜
やっぱり血縁関係が複雑なこの三姉妹ってずっと拠り所を探して人生に折り合いを付けるための旅してるんだなって
スーツの響子が座ってる椅子が3席だったり
杏奈が空に葉っぱをかざすシーンだったり
白いワンピースを来た響子が森を歩いてるシーンだったり 伏線が散らばってるのもおもしろかった
杏奈が施設にいたころに栞をよく作ってたっていうセリフがあって、その栞を色違いで響子と菜穂子が持ってたり、宗太郎のバイト先が本屋だったり杏奈が家に帰りたくなくてよく行くところは図書館だし
葉脈とか、ファミリーツリー(家系図)とか、緑だけじゃなく 本もこの映画のキーだったからなんか意味があるのかな
この映画のキーワードでもある「折り合い」が「栞」となんか関係があるんじゃないかと思って頭をグルグルさせてる… 栞って、ある意味妥協点を忘れないためなのかもって
菜穂子の少し不安定な性格が響子のパキッとした性格と対比して引き立て合ってて劇中の輪郭がくっきりするというか、いい関係だった。
菜穂子が響子がいる家に侵入して会話するシーン、
響子が菜穂子のこと突き放すようなセリフがあって
この対比が綺麗に描かれてたな〜