日本一遅いJFL 2020新戦力まとめ〜その4(奈良、松江、いわき、高知)
怒涛の4日更新も最終日となりました。
書いているうちに、「このくらいのペースで改行すべきかな」「この書き方いいな」とか、「表はこういうソートした方が見やすいかも」など、発見することもあった4日間でした。なんでも継続して描かないと鈍りますね。ギターも久々に引いたら指が痛くなりました。薬指を切りました。
早く毎試合のレビューが書ける日常に戻りたいですね。遠征にも行きたいです。
GWはスペインでアスレチック・ビルバオの試合を観戦予定だったのですが、この状態なので泣く泣く飛行機をキャンセル。奈良遠征が実現できそうな見通しです。それにしてもチケットは返金されるのか?レアル・マドリード戦でチケットが高騰していたのでなんとか返して欲しいところ。
さて話が脱線しました。最終日は昨シーズンの14、15位と昇格組2チームです。
これまでのレビューは、レビューの一番最後のリンクを参照ください。
奈良クラブ(昨シーズン:14位)
奈良もJFL6年目。昨シーズンはロゴの刷新に加えて、社長に中川政七氏、GMに林舞輝氏を招聘。Jリーグ参入に向けて大きな助走をつけて開幕したものの、1試合平均1点未満という深刻な得点力不足に悩まされ序盤戦から全く調子が上向かず。シーズン32失点という守備陣の踏ん張りで残留争いに本格的に巻き込まれることはありませんでしたが、シーズンのほとんどが2桁順位に沈む苦しいシーズンとなりました。
シーズンオフには観客水増しの発覚、社長の交代など、ネガティブなニュースが連続。ユニフォームスポンサーの撤退もあり、チームには逆風が吹いている印象です。信頼は時間をかけて取り戻していくしかありません。一足飛びではなく、地に足をつけて進んだ先に、Jリーグ参入も見えてくるのではないでしょうか。
さて、今オフはベテラン選手の刷新が顕著でした。成績面を考えると大きく選手が入れ替わるのも致し方ないでしょう。有薗真吾・金久保彩・村瀬勇太と多くの試合に帯同した30代選手が契約満了。一昨年のレギュラーだった前田晃一・曽我部慶太は出場機会が減少し引退、退団。レンタル加入の藤井貴之・遠藤敬佑・金弘淵は揃って2得点と攻撃力の劇的な改善には寄与できず。藤井は今季怪我もありましたが、推進力があり非常に好きな選手だっただけに引退は残念です。遠藤は奈良OBの岡山一成が監督を務めるV市原へ。地元チームでもありますね。
加入選手はJFL、地域リーグから実績ある選手が中心となりました。武蔵野からはセンターバックで全試合出場した寺島はるひ、JFLベストイレブンを獲得した水谷侑暉が揃って加入。武蔵野から奈良への流れは昔から多いですよね。どんなコネクションなんでしょうか。古くは伊澤篤に小野祐輔、藤吉皆二郎も武蔵野出身。
ホンダロックでルーキーながらレギュラーを獲得した田宮碧人も獲得。金久保が抜けた右SBでのプレーに期待。さらにJ2でも長くプレーした金聖基を栃木シティFCから獲得。地域リーグでも有力チームが増えているからか、個人昇格する選手もちらほら見るようになりましたね。現有勢力を含めて、守備陣は盤石です。
最多得点者が島田拓海の4得点だった攻撃陣はテコ入れ必至。昨シーズン2桁得点をマークした水谷はスピードのあるドリブルが特徴でサイド起用も可能。190cm、92kgとJFLでは異次元の体躯を持つ長島グローリーは北陸大学でリーグ得点王。大爆発の予感がします。仙台に在籍するジャーメイン良の弟、アレクサンダー正は流経大FCでの出場が中心だった選手。ポテンシャル重視の獲得でしょうか。
また海外チームから獲得した2選手にも注目。いわきFCからエストニアリーグ1部を経て加入した早坂翔に、ラトビア出身で世代別経験のある長身GKクリスタプス・ゾンメルス。なかなか情報がない2選手なだけに、どんなプレーをするのかも楽しみです。エストニア、フィンランドから行くと物価が安く感じてラトビアから行くと高く感じる不思議な国。
松江シティFC(昨シーズン:15位)
JFL初年度は最初から最後まで苦しんだ松江。第1節HondaFC戦を引き分けで乗り切るも、2節以降は14位以下から浮上することができず。FC今治の昇格で降格枠が1つ減ったことが幸いし、最終節の流経大ドラゴンズとの直接対決を制して辛くも残留。シーズン得点数は全チームワーストの26点、失点数はワースト2位の51点。1試合の平均得点が1点以下、平均失点が2点以上では厳しいシーズンとなるのも仕方ありません。来シーズンからは、ミスターガイナーレ実信憲明が監督を務めます。
シーズンオフは15選手が退団。赤尾兄弟に船川航司朗・出口稔規が引退したほか、退団選手の大半が地域リーグ時代を知る選手とあって別れは寂しいところ。どのチームでもカテゴリが上がるにつれて選手も入れ替わるのは仕方ないことでもありますが・・・。一番の痛手はチームの得点王、宮内寛斗の流出でしょう。チーム全得点の30%以上となる9得点をあげたエースの退団は深刻です。加えて、得点力不足に悩んだFW陣は3人が退団。DFながらFW起用も多かった多木理音も退団。一方で、夏に補強した加藤秀典・下村尚文・馬場悠が揃って残留したのは朗報です。
補強選手は9名。大半がJリーグからの移籍選手とあり、即戦力補強での底上げを図る方針が分かります。ただし、得点源となりそうな選手が少ないのは不安要素。FWは新規加入の北原大奨に加え、昨年4得点の中井栞吏、2得点の西村光司、怪我でシーズンの大半を棒に振った酒井達磨の4名とかなり未知数。唯一のFW補強となった北原には大きな期待がかかります。YS横浜、秋田でスピードスターとして期待されるもブレイクには至らず。この選手の活躍がチームの成績にも直結するでしょう。町田、藤枝などでもプレーしたボランチの垣根拓也、盛岡でレギュラー格として複数年プレーしていた菅本岳は戦力として計算できそう。福島から加入した川中健太はSVホルンで数シーズンプレーした選手。加入、退団とも中国地方での選手の移籍が多い印象ですね。岡山、山口あたりからの選手レンタルも今後増えるのでしょうか。
同じく失点の多かった守備陣では、流経大から地元出身の園山栄樹が加入。流経大ドラゴンズでは右SBのほか、中盤やSHでもプレー。松江との最終戦ではドラゴンズで降格の憂き目に遭いましたが、個人昇格の形でJFLでの経験をチームに還元したいところ。
いわきFC(地域CL:優勝)
「日本のフィジカルスタンダードを変える」、「サッカーを通じていわきを東北一の街にする」を標榜するいわきFC。2017年には天皇杯でJ1札幌を撃破して話題となりました。昨年は東北リーグでは得失点差+100というとんでもない成績を残し、地域CL決勝でも2勝1分で優勝。ほぼ足踏みする事なくJFLに駆け上りました。JFL初参戦となりますが、初年度から旋風を巻き起こせるでしょうか。
退団選手は13人。J1横浜FCへジャンプアップ移籍した熊川翔、青森山田高の優勝メンバーバスケス・バイロンはチリへレンタル移籍。またポテンシャルの高さからか、複数選手がJFLチームに”昇格”。12得点を記録した赤星魁麻は高知、附木雄也はFC大阪、富士大学時代に盛岡でJ3の出場経験もある鈴木一朗は奈良へそれぞれ移籍。吉田篤志、宮澤弘、五十嵐陸らは地域リーグの有力チームへ。
一方の加入選手も実力者揃い。ソニー仙台から実績ある選手を獲得した他は、大卒選手を中心の補強となりました。JFLで実績十分の点取り屋の鈴木翔大はシントトロイデン所属鈴木優磨の実兄。身体を張れる熱いプレーの田中龍志郎もいわきに合いそう。いわきは日高大、坂田大樹と流経大出身者が多いですね。新入団でも黒澤丈・山口大輝が加入。山口は昨年の流経大で最多となる9得点を記録。黒澤は流経大ドラゴンズの主力CB。新卒ながらJFLを経験しているのは心強い。
国士舘大から加入の谷村海那は関東2部リーグで9アシスト。仙台大の岩渕弘人は10試合で22得点という驚異的な得点力をマーク。出場したリーグ戦全試合で得点をマークし、いわきとの天皇杯でも途中出場で決勝点。途中出場で結果を残せる選手ほど相手にとって怖いものはありません。JFLでも得点を量産できるでしょうか。
懸念があるとすれば、24人と選手数を絞っている点でしょうか。過密日程となった場合や怪我人が増えてきた際が少し心配です。
高知ユナイテッドSC(地域CL:準優勝)
四国5チーム目のJリーグ参入を目指す高知ユナイテッド。チーム発足後、四国リーグでは圧倒的な成績を残しながらも地域決勝予選Lで涙を飲んできましたが、初の決勝進出を果たすと一気にJFL昇格となりました。一方で、昇格後に財政難で大谷武文監督を放出する報道も。地方チームの運営の難しさを感じます。全国リーグでは移動だけでも相当経費がかかるんですよね。高知からだとどのアウェイもかなりの距離になりますし。
退団は8選手も、半数は試合出場が僅かだった選手。現有戦力を中心にJFL初年度を戦います。主力選手では朴利基がFC大阪に移籍。6ゴールを記録した村上魁も退団と攻撃陣は補強が急務。
加入選手は10選手。地域CLの対戦相手でもあったいわきからは快速FW赤星魁麻を、おこしやす京都からは青木捷をそれぞれ獲得。JFLと遜色ないチームの主力とあって、主力としての働きを期待。GKは和歌山から加入の池上尚孝を含めた3人体制で望みます。大卒新人は3選手が加入。上武大学の10番、栗原純弥は北関東大学サッカーリーグで8ゴールと、攻撃MFの位置で活躍できるでしょうか。各チームの主力として活躍したIPUの姫田耕大、京都先端科学大の大橋優正にも初年度からの活躍が求められます。
全体的に見て、全国リーグでの経験がある選手が非常に少ない点は気がかり。全国リーグで年間を通じて試合に帯同していたことがある選手は横竹翔や平田拳一郎、山下宏輝、松本翔あたりのみでしょうか。リーグ戦のみで比較しても地域リーグの2倍近い試合数がある上に、地域リーグに比べて移動距離も長く大変です。さらにホームゲームでも高知市から150km離れた宿毛市での開催も数試合組まれています。昨年JFL初年度を戦った松江も相当苦戦し、夏に補強を敢行していました。財政難が報じられている高知の場合は積極的な追加補強がも難しい可能性もあり、状況によっては厳しい1年となるかもしれません。讃岐から加入の濱口草太やレンタル加入の坪井清志郎、陳祥煜ら、若い選手の成長も鍵でしょう。
この企画、来年以降も恒例になるのかしら。