JFL移籍情報まとめ2021〜その3(松江、武蔵野、ホンダロック、奈良)
おまっとさん!移籍情報まとめの第3回です。今回は昨年のJFL 10位〜13位のチームを紹介します。なお、その2ではいくつか記載不備がありました(修正済)。丁寧に情報を頂いた方々には、この場を借りて感謝いたします。
15選手以上が加入した奈良や武蔵野に対して、ほとんど入れ替えがないホンダロックのように、チームによって補強の方法も違いますね。そういった部分も含めてJFLの面白さの一つだとおもいます。また、この4チームはユニフォームに特徴があるので、おまけで載せてみました。
1位から9位のチームについては、下記の記事をご覧ください。
注:データは2/28現在のものです。随時更新予定ですが、一部未反映の場合がございます。出場試合のデータは各リーグの公式の試合結果や各種データサイト等から引用しておりますが、大学・地域リーグ等については試合結果を手計算している場合もございます。
また、データの不備・間違いが判明した場合にはコメントいただきたくよろしくお願いいたします。
松江シティFC(昨シーズン:10位)
15位で辛くも残留したJFL初年度を経て迎えた2年目の昨シーズン。幸先よく開幕戦に勝利すると、6試合で4勝と波に乗り前半戦は上位争いを演じました。その後の3連敗で順位は後退しましたが、最終順位は1年目の15位から10位に浮上。Jチームから獲得した垣根拓也、川中健太、井上亮太らがスタメンに定着したほか、全試合に出場して9点をマークした酒井達磨がJFLでチーム初となる得点王とベストイレブンを受賞。手ごたえのあったシーズンではないでしょうか。
しかし、シーズンオフが始まると、昨年末に酒井の三重への移籍が発表。争奪戦になる予感はありましたが、チーム総得点の半分を叩き出した選手の流出は大きな痛手。また酒井だけでなく、今オフはFW登録の選手が全員退団。川中(今シーズンはFW登録に変更)や馬場といったMF登録の選手を前線で起用するケースも多かったとはいえ、サイドでも起用されていた西村光司、途中出場がメインだった北原大奨はコンスタントに出場機会を得ており、攻撃陣のメンバーは大きく変わることになりそうです。全体では8選手が退団。15選手が退団した昨シーズンオフと比較すると、幾分は落ち着いた感じがします。
新加入選手は9選手。うちFW陣には3選手が加入しました。奈良から加入した遊馬将也はJ3秋田で通算59試合7得点をマークした経歴を持つ選手。昨年の奈良では出場機会に恵まれなかっただけに、新天地での巻き返しを誓いたい。東京国際大から加入した伊能玲生は180cmの長身選手で酒井の抜けた前線での活躍に期待です。瀬戸内高出身で安部裕葵と同級生のようですね。
MFでは鳥取から加入した中盤の山本蓮が23歳ながらJ3で44試合に出場。ボランチやインサイドハーフには垣根や田平といった実力者がいますが、Jでの経験を生かしてポジション争いに割って入りたいところ。地域リーグを経て2年ぶりのJFL復帰となった加倉広海は三重・浅間ではFWとしてもプレー。浅間出身の選手もこれで3人目と、繋がりを感じます。
DFでは鹿屋体育大のキャプテン、宮内真輝が加入しました。アビスパ福岡U-18時代には冨安健洋と同級生。当時はFWで、大学時代もコンスタントに得点を挙げている選手。下村や馬場がいる最終ラインですが、やや中堅が多いDF陣だけにレギュラー陣に食い込んでくると面白い存在です。いわきの奥田、V大分の餅山、ロックの田中大和ら、大学時代のチームメイトとの対戦も楽しみです。
今年の松江はユニフォームがかっこいい!松江城があしらわれています。
東京武蔵野ユナイテッドFC(昨シーズン:11位)
一昨年は4位と大躍進を果たすも、観客動員数でJリーグ入りが達成できなかった武蔵野。主力選手の退団も相次いだ昨シーズンは開幕前にJリーグへの参入断念を表明。成績も急降下し、12位まで順位を落とす結果となりました。さらにコロナウイルス感染者発生による試合日程の変更、天皇杯との並行もあり守備陣を中心に怪我人が続出し、中盤が本職の金田やFWの中川が最終ラインに入るほどの状況に。二人とも本職顔負けのプレーを見せてくれましたが、本来のポジションで躍動するところを見たかっただけに複雑な思いでした。
さらにシーズンオフにも大きな動きがありました。東京武蔵野シティと東京ユナイテッドの共同運営が発表され、サポーター周辺は大きく動揺しました。武蔵野の選手の多くが東京ユナイテッドへ移籍することになったら……とも思いましたが、退団しなかった選手は全員残留となり一安心。池上監督も留任し、一新したチームで巻き返しを測ります。
今シーズンは4選手が引退、6選手が退団となりました。主力では長年に渡ってチームを支えてきた岩田啓佑、サポーターから人気の高かった望月湧斗がそれぞれ引退。昨年のチームMVPとも言える活躍を見せた差波優人とチーム得点王の後藤準弥がそれぞれJFLチームへと移籍した他、右サイドのレギュラーだった小口大貴は地域リーグへ移籍となりました。表には出ていませんが、池田直樹もシーズン途中に三重に移籍し、Jリーグを目指す選手を中心に流出が止まらない状況です。
一方の加入選手は18名。入団選手の方が多く、半数以上となる11名が東京ユナイテッドの選手の移籍という形となりました。選手数が39人のとんでもない大所帯となったため、もしかするとシーズン中のレンタル移籍等があるかもしれません。
ポジション別に見ていくと、GKでは昨年のユナイテッドの守護神古島圭人と鹿島・札幌で長くプレーした大ベテランの杉山哲が加入。杉山はGKコーチも兼任。若いチームの中でベテランとして、またコーチとしてチームに様々なことを還元してくれるでしょう。
選手層の薄かったDFには香西克哉と椿健太郎が加入。関東リーグベストイレブンの経験も持つ香西は小学校の先生も務める選手とのこと。初挑戦となる全国リーグでどんなプレーを見せてくれるでしょうか。椿は元いわきFC所属で、古巣との対決も楽しみです。今オフただ一人Jチームからの移籍となった西山雄介は横河武蔵野ユースの出身選手。ユース選手権にも出場経験のある選手が、古巣に帰ってきました。最終ラインだけでなく前線起用もこなせるユーティリティ性も併せ持つだけでなく非常にポジティブな性格もチームにいい影響を与えてくれそうです。新卒では法政大から加入した鳥居俊は珍しい理工学部(経営システム)出身の選手で、同じ理系卒として個人的に応援したい選手の一人です。駒沢大から加入の小幡祐稀とともに、大激戦となった最終ラインのポジション争いに挑みます。最後の加入となったのはこちらも駒沢大から加入した真下瑞都。CBと左サイドをこなせる選手の様子。枚方に加入した高校・大学のチームメイト森本ヒマンとのマッチアップも楽しみです。
7選手が加入したMFでは5選手がユナイテッドからの移籍組。JFA田嶋会長を伯父に持つ日髙慶太はJでのプレー経験も豊富な選手で、山形時代にはJ1も経験。岩田・差波の抜けたボランチの即戦力として期待がかかります。川越勇治はLB-BRB時代を知るユナイテッドの最古参選手。チームをよく知る選手の加入はこころ強いですね。昨年のユナイテッド背番号10番伊藤光輝は秋野央樹、中村航輔らと柏ユースの同世代。天皇杯初のトップチームとユースチームの対決となった試合にも途中出場をしていました。「山梨の日川クラブにすごい選手がいるから獲得して欲しい」というスポンサーからの進言で福田監督が獲得したという異色の経歴を持つ快足の伊藤大祐にも期待。川戸大樹はSC相模原でもプレー経験があり、神戸ユースでは金田とチームメイトでした。大卒では中央大から加入の村上達哉は武蔵野のジュニアユース出身。チーム名は変わりましたが、武蔵野を知る選手の復帰は嬉しい限りです。
FWでは梅内和磨と飯島秀教と2人の経験豊富な万能型選手を獲得。183cmの長身を持つ飯島は東京23FCで長年エースとして活躍したストライカー。梅内は明治大学出身で石原の1つ上の世代。J3のYSCC横浜、盛岡で183試合に出場した経験豊富な選手です。トップ下、サイドでもプレー可能な選手なだけに、試合や戦術に合わせた起用ができるでしょう。昨年は得点力に泣いた武蔵野だけに、心強い補強になりました。
最後はユニフォーム。武蔵野は昨年からスポンサーとエンブレムが変更されたのみ。せっかくチーム名を変えたのだから、ユニフォームは新調して欲しかった!
ホンダロックSC(昨シーズン:12位)
レギュラー選手を多数引き抜かれた影響もあってか、シーズンを通じて中位〜下位に沈んだホンダロック。特に13得点を挙げ新人王を獲得した安藤翼(八戸→相模原)の穴は大きく、FW選手の最多得点がわずか1という結果に。
連勝は1回、ホーム戦未勝利、チーム最多得点者はマルヤス岡崎と並ぶ最小の3得点と寂しい数字が並びますが、一方でJ3入りを果たしたテゲバジャーロ宮崎とは引き分け、J3ライセンス持ちのいわき・三重に勝利するなどアマチュアチームの意地を見せました。
得点数は19、失点数は25の得失点差は-6。数字の割には健闘した印象ですが、とにかく試合終盤での失点が目立ちました。特に武蔵野・大分戦は後半ATの失点で勝ち点を取りこぼしており、もう少し粘れていれば順位的にもJFLの門番としての役割を果たせたかもしれません。
さて、退団選手では2名と最小限にとどまりましたが、昨シーズン全試合フル出場を果たしたボランチ高橋虎太郎の移籍は大きな痛手。ベテランの諏訪園や高原らがカバーできるでしょうか。
一方の新入団は2選手。専修大から加入した高橋健は地元宮崎県出身の選手。今年も地元にゆかりのある選手を獲得できました。大阪産業大から加入した杉田達哉も九州出身の選手。大学ではFWでの出場もあり、攻撃的なMFとしてチームの得点力強化に期待したいところ。
今年に関しては選手の入れ替えが少ない分、個人のレベルアップと連携面に磨きをかけることが今年の結果に繋がるのではないでしょうか。ルーキーながらフルタイム出場を果たした長谷川雄介、チーム最多得点の田中大和が残留したのは一安心。今季はさらなる期待がかかります。スーパーサブとして12試合に起用されるも1得点に終わった日野友樹の爆発にも期待です。
最後はユニフォーム。今年はKappaからUMBROに変更。不死鳥が大きくあしらわれているのはかなりかっこいいですね!
奈良クラブ(昨シーズン:13位)
観客水増し問題に揺れた2019年シーズンオフでしたが、社長の交代やガバナンスの再構築を経て、J3ライセンスは再交付となりました。心機一転でJを目指した2020年シーズンですが、一方でリーグ戦は開幕からの5試合を1勝2分2敗とつまづくと、中盤戦に盛り返すものの11月以降に再失速。最終的にはこれが響き、昨年の14位からほぼ変わらずの13位でシーズンを終えました。
得点・失点ともに21で得失点差は0。一昨年と比較すると得点力は向上しましたが、失点数も比例して増加してしまいました。また得点・失点数はともにリーグ8位で、得失点差がマイナスだったチームよりも順位が低いことを考えると、もったいない試合が多かったのかなという印象です。(尤も、今年のJFLは試合数が少なく勝点も僅差ではあるのですが)
本オフシーズンは入退団選手が非常に多くなりました。一時期のジェフくらい多くなりました。
やっぱこれ壮観だよね。
期限付き移籍加入の選手を含めて20人が退団。シーズン中に退団した2選手を含めると、22選手がチームを去ることとなり、残った選手はわずか8人。特に900分以上リーグ戦に出場した8選手のうち、全試合出場の中村謙吾(引退)、チーム得点王の島田拓海、正GKの上田智輝ら実に6選手が引退・移籍することとなりました。さらに林舞輝監督に代わり、タイの世代別代表監督やサバデルでコーチ経験を持つフリアン・マリン・バサロ氏が就任。ほぼゼロベースでのチーム構築となるので、監督の腕が試されます。鈴鹿のミラグロス監督とのスペイン人監督対決も注目ポイントです。
加入選手はJ3、JFLを中心に17人を獲得。全選手が退団となったGKでは元鳥栖でJ1での出場経験も持つベテラン奥田達朗を高知から、金子優希を八戸から獲得。奥田は地元出身選手としても期待が高まります。
DFはJリーグから実績のある選手を多数獲得しました。右サイドのスペシャリスト田中奏一を獲得。鹿児島では右SBでしたが岡山時代はWBが主戦場。クロッサーとして攻撃面でも大きく寄与してくれそうです。さらに松本山雅で長く活躍した飯田真輝を岡崎から獲得。今年35歳と衰えは気になりますが、中村が抜けたCBとしての活躍に期待。ちなみに同級生の向慎一とは東京V時代の2010年以来のチームメイトです。熊本から加入した小谷祐喜もCBが本職の選手。ここ数年は出場機会が限られていますが、Jリーグで90試合以上に出場した実力者。こちらも同級生の都並優太とは関西大学のチームメイトです。主力が多数抜けたポジションですが、加入選手のほとんどが即戦力。戦力低下は感じさせません。
MFではJFLを制したV大分から中盤の金子雄祐を獲得。また北朝鮮U-23代表の経歴を持つ金成純は昨シーズン無所属ではあるものの、2019年は J2でプレー経験あり。右SBを中心にポリバレントな働きができそうです。新潟から加入のドリブラー森俊介も期待の選手。出場機会に恵まれないまま契約満了となっただけに、奈良でポジションを掴めるでしょうか。藤枝から加入した片岡爽も右サイド、攻撃的MFをこなせる選手。16歳から22歳までをスペインで過ごした片山滋永は監督との橋渡しとしても心強い限り。いわきFCから期限付き加入した寺村浩平は昨年のJFLで2得点の実績。いわき仕込みのフィジカルで奈良に新風を巻き起こせるでしょうか。
FWの桑島良汰は今治時代にJFLで17得点をマークしたストライカー。昨年J3でも5得点と結果を残しており、得点力は折り紙付き。青森から加入した浜田幸織もJFLで二桁得点の経験を持つ実力者。軸となるFWの加入で、ここ数年の課題である得点力のテコ入れを図ります。
平松、村井、桑島、さらに金子、片岡と全体的に元今治の選手が多数加入したのも目立つ今シーズン。監督を含めて大きく陣容が変わり、どのようなサッカーを展開するのかも気になるところ。ここ数年の低迷からの巻き返しに期待です。
奈良の今年のユニフォームは躍動する鹿!よーく見ると、赤いところが鹿に見えてきませんか??今までの和柄もよかったですが、これはこれでスタイリッシュですね。
チームnoteも開設したみたいです。こちらもぜひ。
浜田社長は私のアカウントもフォローしていただいています。本当にありがとうございます!奈良のアウェイ絶対行きます!
次回は昨年の14位〜16位と、昇格した2チームを紹介します。昨年は下位に沈んだチームがどう巻き返すのか?また、昇格チームの戦力はいかほどなのか、お楽しみに!
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