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眉村ちあき「うふふ」を聴き始めるよこれから。

はじめに

眉村ちあきさんのニューアルバム「うふふ」を、これから配信で聴きながら感想を書いていくよ(現在2024/11/26 23:40)。アルバムはフラゲしたけれど、再生する機器がないからしかたなく配信開始まで待ってたのです。
アルバム収録の14曲のうち、「幸福ミュージック」「季節風」「凸凹」「バケモン」「濾過」「朗読」「オー!サカナ!!」の7曲は聴いたことがある。特に、ボーナストラック除く最後の曲「朗読」は、今年私が一番聴いた曲とYoutubeMusicが教えてくれた。150回超くらい聴いたらしい。どれもたくさん聴いた曲だけど、アルバムという文脈に組み込まれた時に聴きごたえがどう変貌するのかとても楽しみです。

12時回ったからいよいよ聴く

基本的に、かっこ「」で囲まれた部分はアルバム『うふふ』の歌詞カードからの引用です。

  1. 【許されたことがある】ピアノ→わくわくの声、ハーモニー! あちこちと繋がってそうな深い歌詞、ぐおんとするサウンドと声。「許されたことがある」という受動を、「どこに向けよう」という能動へ変換する。「年月を経て意味が宿る」「悪魔になっていた」あたりは考察しがいがある歌詞。悪魔云々は次曲の【幸福ミュージック】につながりそうで、どうなんだ。アルバムへの先入観として、恋愛ソング集だと思っていたら、1曲目から恋愛を越えた普遍の愛ともいうべき内容だった、ちょっと驚くと同時に尊敬の念が募る。このように、眉村さんのアルバム1曲目はいつも驚かされる。演歌(ぎっしり歯ぐき)だったりオペラ(日本元気女歌手)だったり、「ほめられてる〜♪」と甘え声?だったり(めじゃめじゃもんじゃ)。「うふふ」の1曲目は違う意味で驚かされた。良すぎませんか。続く曲を聴くのが怖くなるほど。

  2. 【幸福ミュージック】一転して、バンドを意識したサウンド。bring it はそのまま「かかって来な」のスラング。それからの憲法!振り幅!なおfortune comes in at the merry gateは「笑う門には福来る」。ここの発音がかっこいいぞ。今アルバムの1曲目は導入あるいはテーマの提示、2曲目のこれがムードを作る役割。たぶん。

  3. 【Hangover】似てる曲をあえて挙げるとしたら「昼だがな」か、この雰囲気好き。Hangoverは二日酔いの意。ぐだぐだな音と歌詞と歌。前曲ではしゃぎすぎたか。「弟の結婚式」などというワードを聞くと、実話か?などと邪推(ちがう)。🐈🍣🫏。アルバム構成として。あえてマイナスを入れ、ここから盛り上げるのだなきっと。

  4. 【恋の駆け引きだるい】ひきつづいてだるい感じ。眉村さん自身、恋の駆け引きだるそう。直でいうよね(🐟顔‥‥う、頭が)。続きの曲? というか前日? そして、「ずっと谷折りばっか」とは? 山折りは? あ、「今夜風が吹いたら飛ばせるように飛行機にして」か!紙飛行機を折るってこと!

  5. 【最後のお願い】そして怒る💢、失望する。「建設的に話してお互いに深めあおうよ!」は伏線、知ってる。幸福追求権を前で歌っときながら「2度と幸せ感じない体にしてやるわ」が痛快ですな。疾走感あるサウンドが歌詞と相まって良い、とても良い。

  6. 【私は知りたい】不思議ソング来た! またわけわからんピアノ! ピッコロ虫のときも思ったけど、こういうたぶん音楽理論無視したピアノぽろぽろを弾かせたら堪りませんな。そしてラブ。理解しようとする姿勢、大切。「植物とお魚の結婚」とは? かけ離れたもの同士の愛。いうならば、海の幸と山の幸の旬を取り合わせた和食料理の概念『出会いもの』のような、つまり、鱧と梅干し、鰻に胡瓜、鯛と蕪、みたいな相性の良さ? 違う?

  7. 【Pitapat】pitapatはパタパタ、ぱらぱら、どきどき、の意味。ここではどきどきか。「ラスコンに駆け込んで夜食を買うの」は? ラストコンサートじゃないよね? ラストコンビニか! どっか行って帰る時に最後に立ち寄れるラストのコンビニか。「ファミコン教えてもらった」ということはなんとなく年上との恋愛なのかなって思うけど、そうとは限らないぞ。でも恋愛上級者ぽいな。そんなひとに振り回されているかんじかも。ついていこうとするがんばり。この曲のエピソードというか経験談は、雑誌B-PASSの2025年1月号に載っているので買うべき。

  8. 【季節風】そしてまっすぐな恋の歌へ。すき、の連なりが、単なる連呼ではなく、それぞれちょっとずつ違う感情付け、表情のあらわれ、が感じられる。こういうところで歌上手(うま)が明確になる。とおもう。何度聴いてもぞくぞくする。ここでアルバム的にはひとつピークを迎える感じかな。

  9. 【Homesick】わあ、ジャンルは何? カントリー? ホームシックだから? ここから新たな物語が始まるような曲調、アルバム構成。恋人は地球の反対側に旅立ち、試練となる。「君の居場所が私のホームよ」&「ご飯の炊けた音」(現在地は日本)、から導き出される答えは?

  10. 【とっておき】こっちのジャンルは? ピアノ部分はラグタイム? ちょっと詳しくないけどワクワクする。針に糸を通すくらいのやさしさ、のデリケートさよ! 歌詞的には難解。「光を線にしてゴールテープみたいに切る」とは? なんとなくアルバム『ima』収録の『この朝を生きている』を思い出す。アンサーソングまでいかないにしても。

  11. 【凸凹】ここで恋愛的なラブからはなれて、視線がぐっと変わり、自分への応援歌的な愛の歌詞となる(たしかタイアップ曲だったな)。単に明るく鼓舞する曲だと思っていると途中で刺されるから注意。「大丈夫」という言葉の使い方にいろんな意味でどきどきする。「こんな誰でも言える言葉」なんていっちゃっていいの?的な。

  12. 【バケモン】これも自分を励ます的な曲。映画の主題歌。ここの2曲は一見、アルバムの一連の流れから浮いているようにも見えるけれど、【Homesick】&【とっておき】からの流れとしては十分に機能していると思う(←偉そうに!)。

  13. 【濾過】短い曲だけど技巧が詰まっている。最初ずれていた2人の声が少しずつ少しずつ寄り添い、的確な位置にすっと嵌る、そのぞくぞく感よ! あと、歌詞もね。「シャイな2人がキスした夜は綺麗な蝶が喉を泳ぐ」とか。愛すべき小品。

  14. 【朗読】2曲目で幸福追求権という憲法の概念を、大きなところから謳っておきながら、「幸せの定義は貴方がいるかいないかそれだけです」と、纏める。すばらしい。【最後のお願い】の、「建設的に話して」と響き合う歌詞も最高。アルバムの最後にあるべき名曲。そして頓首でしめる。いいね。

  15. 【オー!サカナ!!】そしてこのボーナストラックよ! 振れ幅! これを持ってくるあたりが眉村さんらしい。

おわりに

ざっと初聴の感想を書いてみました。1曲目が導入、2曲目でムードを作り、3曲目でどん底を味わい、徐々に上がっていって、【季節風】で1度目のピーク、【凸凹】【バケモン】を挟みつつ14曲目で大団円。15曲目のボーナストラックでナイル川の川幅ほどの振れ幅を示す。といった感じでしょうか。この流れをひとつのラブストーリーとは捉えられないけれど、眉村さん的なラブソング史の結実としてとらえちゃいます、私は!

追伸

↑の記事も素晴らしい予感がするので(アルバムを聴く前だったからまだ読んでいない)、みなさまもぜひ。
→読んだ。いいね。歌詞カードの赤い糸から感情の起伏等を読み解くあたりはとても好き。

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