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眉村ちあき「冒険隊 〜森の勇者〜」MVを細かく見ていく①

はじめに

まずは数分、お時間をいただき、眉村ちあき「冒険隊 〜森の勇者〜」という曲のMVをちょっと観てほしい。約1分後に「おっ!」と思う映像、約1分半後にギョッとするシーン、約2分半後にはめくるめくイメージの奔流があなたを襲い、きっと目が離せなくなる。最後まで見ても4分とかからないので、騙されたと思ってあなたの貴重なお時間をちょっとだけ費やしてほしい。

どうだっただろうか。コロナ禍における閉塞感や、友情を引き裂く大人の事情を打破しようともがく少年少女の葛藤と、それらに打ち勝つ爽快感。最後に提示される希望。そして、楽曲と映像との見事なシンクロ。映像それ自体の美しさ、楽曲それ自体の素晴らしさは言うに及ばず、といったところ。だが、二度三度と見返すと(勘のいい方には初見でも)さしはさまれる映像のところどころに、なにやら奇妙な点を発見するのではないだろうか。このnoteでごちゃごちゃと書こうとするのはそっち側、つまり、この作品が述べようとしている大きなテーマだとか、ストーリーだとかではなく、細部に書き込まれたあれやこれや、である(そういうのがお嫌いな方はそっと閉じていただきたい)。

登場人物のフルネーム

主要登場人物は3人。

最初に出てくる男の子は「コンちゃん」、2番めの女の子は「ちあき」、三番目の男の子は「フトシ」。さて、ではフルネームは? 実は映像の中にしっかり書き込まれている。わからなかった方はもう一度MVを見てみよう(見て!いっぱい!)。

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コンちゃんは「日野コンペイ」、

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ちあきは「眉村ちあき」、

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フトシは「貝塚フトシ」、と、MVをよく見れば(というかコマ送りとかしてじっくり見れば)わかるようになっている。こ、細かい!

といった具合にこのMV、細かいところまで見ると、細部の書き込みがとんでもない。よく見さえすれば知りたいことや疑問点が解消できるような作りになっているのだ。例えば他には、1枚目の画像(転校届)をじっくり見れば、冒険の舞台が「高知県いの町」、コンちゃんの引越し先が「東京都日野市」、転校日は2020年8月25日であることも読み取れる。

冒険の年月日

さて、この冒険はいつのものだろうか。ざっと見ると夏、それぞれの引越しの前後というところまでは容易にわかる。では具体的な年月日は?

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このシーンでは、左下にキュウリとナスの精霊馬、右上に盆提灯があることから、お盆、つまり2020年(のお盆期間は高知県周辺では)8月13日から16日である。4日間のどれかまでは、ごめん、ちょっとわからなかった。

ついでに、冒険の日と、それぞれの引越しの前後関係もみてみよう。

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ちあきが学校を去った日は、寄せ書きの左下に描かれた日付からすると2020年7月30日木曜日。高知県いの町の夏休み期間は8月1日からなので、7月31日金曜日には登校できない事情があった、つまり、ちあきの引越しは7月31日で確定と思われる。

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7月31日に引越しし、お盆期間に帰省したのだろう(実家からそう遠くないところへの引越し?)。上のシーンで右下に見える小包(高島屋の包装紙)はお中元だろうか。帰省した直後に冒険にそっと出かけていることになる。

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コンちゃんの転校日は先に見たとおり、2020年8月25日。日野市の夏休み期間は8月23日までだから、8月24日に登校できない事情があったのだろう、すなわち引越し当日は8月24日と推測できる。冒頭の車で移動しているシーンはその引越の当日だろう。大きな荷物は業者に頼み、小さな手元荷物だけ車に乗せて移動している。(このシーン、ちょっと不自然な点があり、突き詰めて考えると少し怖い推論ができるのだが、それはまたいつか)

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フトシの引越し日は確定できなかった。引越し日が近いことは、荷物をアパートの廊下に積み上げていることからもわかるけれど、具体的な日にちの手がかりは見つけられず。残念。

引越君をさがそう

上の画像にある、引越し業者「引越君」のキャラ、黒いネコがあちこちに登場するので探してみた。ただし段ボール箱のは除く、探すまでもないからね。

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ノートの表紙隅に2匹。

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ちあきの背後に1匹。

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図鑑の左ページの右上に1匹。

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フトシの背後に1匹。

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マッチ箱に1匹。いまどきマッチ箱を販促グッズには使わないだろうから、これは相当昔の品物。つまり、引越君はかなり昔からのキャラクターなんだろう。

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窓ガラスにいたずら書きされた1匹。

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運転席に2匹、トラック側面に1匹。ちなみに、カーナンバーは「お 154」で「お引越し」と読むのだろう。

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図鑑表紙の左下に1匹。

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寄せ書き中央、ハートの上にいるのは、、、違うかも。いちおう数に含める。

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校庭の壁、ゴールキーパーに扮した引越君が1匹、たぶん引越君。

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3人と一緒に飛ぶ1匹。

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ペンケースの蓋の裏側、時間割の上に1匹。「またね!」っていうセリフは、MVを見てくれた人へのごあいさつかな。

計15匹。引越君がここまで執拗に描かれるのには、なにかしら理由があるはず。細部の楽しみ、というだけでなくてね。

キーとなるのはこの図鑑だと思う。引越君の図鑑シリーズ。この世界では引越君はかなりメジャーなキャラクターで、図鑑シリーズまである。ドラえもんとかコナンみたく学習シリーズが他にもあるのだろう。このMVでは、引越君は(ちあきが怯えるのとは対照的に)好意的・前向きに捉えるべきキャラのはず。3人が敵と立ち向かうときに一緒に空を飛んでいるしね。

ちょっと飛躍するかもしれないけど、MVの中では、引越君=マッチ箱=ドングリ=アノマロカリスは同じ役割を果たしているのではないだろうか。変化することそのもの、として。

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図鑑にはこう書かれている。「引っこしをおそれてはいけない」「世界にはまだ知られていないドングリがある もし君が引っこすことがあれば見ることができるかもしれない」「ドングリを見つけたければ友達との別れをおしんではいけない。そんなことを気にしていては真のドングリ博士になることはできない」 変化すること、現状を変えることへの恐れを乗り越えるよう励ましてくれている。

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ドングリを飲み込み涙を浴びて、フトシが変身したのは、同じく図鑑に載っているアノマロカリス、生物の多様な進化が一度に進んだ(異論ありだけど)カンブリア紀のいわゆる「カンブリア大爆発」の主役級の生物。これも変化することの象徴として登場していると思われる。

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フトシが取り憑かれているように見ているページはドングリの項目。ドングリは西洋では「飛躍・成長」のお守りだった。(病魔に打ち勝つという意味もある、これも掘り下げるとおもしろいかも)

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そんな、変化を象徴するもの=マッチ箱=炎=急激な化学変化を使って、教科書類を焼いた結果、変化の魔法は暴走し、フトシを襲う。

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しかし、変化を恐れないフトシは炎に取り囲まれても恐れることはなく、自らの求めるもの=ドングリ=変化することを求める。対照的に、コンちゃんとちあきは引っ越し=炎を恐れる。

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変化することを受け入れたフトシは、変化そのもの=アノマロカリスに変身し、3人が手を合わせると変化の魔法が全員に行き渡り、巨大な敵を打破する。。。っと、これ以上のテーマの掘り下げはまた次のnoteにて。

おわりに

駆け足で色々見てきましたが、まだまだ語りたいことはたくさんあるので、それはまた別の機会に。楽曲と映像のシンクロとか、MVのテーマとか、冒頭のシーンからのちょっと怖い推測とか。ではまた。

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