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「東京の人は冷たい」は都市伝説だと思う。


2月に上京してきて、もう半年が過ぎようとしている。

いまだに東京での生活は、今までの「あたりまえ」を壊しにくるから、毎日驚きの連続だ。就活と転職活動の2度、東京に降り立ったが、その2度とも私は同じことを感じていた。

『ああ、ここから日本は始まっているのだ』

大きな電子広告に、空を塗りつぶす勢いでそびえ立つ高い建物。いりくんだ駅構内と転職の広告ばかりはられている満員電車。

テレビに映っていた芸能人たちがここには住んでいて、彼らの仕事を東京のテレビ局が発信し地方へと繋がっていく。

広告と人の多さに、流行も、情報も、鮮度の高いものがここからうまれてくるのだと実感していた。

ネットのおかげで情報がすぐにわかると言っても、やはり東京で感じるスピード感と情報量は圧倒的に地元とは違う。

大阪は第二の都市だというが、そうは思わない。日本は、東京と、それ以外だ。

西加奈子さんの恋愛小説「白いしるし」のこの一節は、ここにきて私が常々思っていたことだったので読みながらハッとした。


ただ、実際に東京で生活してみると想像とは違ったこともあった。

町それぞれに顔と性格があるのだ。

綺麗に舗装され高級志向な町から、壁には汚いペンキアートが描かれた下町、おじいちゃんおばあちゃんばかりの緩やかな町など。

そこに住んでいる人はまさに「人」で、それぞれに仕事があり、生活があり、大切な人がいる。

「東京の人は冷たい」

と地方で囁かれる決まり文句があるが、東京の生活の中に溶け込むとそうではないことに気づく。人が多い分、逆に関係性は密でフラット。ほどよい距離感がとても居心地がいい。

「何者かにならなければ」と無意識に焦ってしまう場所なのは事実だが、自分のまま生きられる場所でもある。

ここでどう生きるかなんてまだ見当もつかないが、驚きがなくなってしまったときが、私が東京を去る時なのだろうな。

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さどまち
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