マガジンのカバー画像

さどまちの写真と生活

104
写真家としての活動や生き方、日々の生活について書いていきます。小さな幸せとかそういうのも報告させてね。
運営しているクリエイター

#小説

「あの子いいな」に潰されないために

ほんの少し前から、SNSの更新頻度が低くなった。 noteにいたっては1ヶ月ほど更新していない。 というのも、SNS上の情報がノイズのように感じてしまっていたこと、 「あの人の活動いいな」 「あの子みたいになりたい」 と、昔から自身が妙に毛嫌いしていた「誰かに憧れる」という行為に、いつの間にかハマってしまっていたから。 写真をやる上でそれってどうなの、と思いきってアプリを消してみた。 しばらく平穏の日々を過ごし、もう大丈夫かなとここ最近SNSに戻ってみると、また「憧れ

他人の死生観をきくこと

「死についてどう思いますか?」 お酒が入り盛り上がってからしばらくすると、私はよく相手の死生観について聞いてしまう。 というのも、私は死が怖い。 周りが死ぬことも、自分が死ぬことも。今までの経験・知識・意思が全部なくなってしまうことにピンとこなくて、考えだすと泣き出したくなって、眠れなくなる。 だから、他の人がどう思っているか単純に知りたいし、死をどう捉えているかによって、相手がどんな生き方をしているのか少しだけ分かるのが面白い。 お酒の場でそんな話題を出すと、最初

いつだってこれからが本編

いつ開花するのか、雨で流れてしまわないか、と散々わたし達を騒がした花びらがハイヒールを鳴らす灰色の床に落ちている。 イメージとは違うその大量の白に、まるで虫の死骸のようだとぼんやりと考えていた。 その子たちが昨日までいた場所を見上げてみると、ぼくはここだよ〜と言うようにゆらゆらと柔らかそうな葉が揺れている。 光に透けるその緑を見ていると、落ちた花びらはただの目次で、これからが本編なのだと気づく。それは「令和!令和!」と新元号への盛り上がりと、5月から長く続く時代へのワク

文章を書くのをパッタリと辞めた4年間

私にとって「本」とは、ありえない世界へ手軽に行ける魔法のアイテムであり、誰もいない家で一人過ごす事実を忘れさせてくれた、親のような存在でもある。 保育園の頃から祖母に車を出してもらい、土日は図書館に入り浸っていた。 魔法や怪盗、そして探偵など、ありそうでありえない。そんな世界が大好きで、いつも借りれる上限冊数を超えてはなくなく棚に戻していた。 特に大好きだったのが、はやみねかおるさんの「夢水清志郎」と「怪盗クイーン」シリーズ。彼が描く「赤い夢」の中に、私は今でも居続けて