憧れの中を生きる
サブアカウントの存在を完全に失念しており、気付いたら前回の投稿からちょうど三ヶ月が過ぎていた。更新せんと。
一昨日、映画『NANA』を観た。俺がまだ十代か二十歳頃にテレビの放送で観た気がする。新幹線の車内でタバコを吹かしているシーンが映って驚愕した。2005年の映画らしいが今の時代から考えると30年以上前かのように思えるくらい雰囲気が古めかしく感じた。何せブラウン管が現役だった時代である。
なぜ突然NANAを観たのか。9月中、タバコにハマった。それでタバコ屋の前で良いのないかなとラインナップを見ていると、ふと目に入ったのがブラックストーンアメリカンチェリー。紙巻きではなくリトルシガーで、そういえばしばらくリトルシガーは吸っていなかったなと購入するに至った。
で、買う前にその銘柄のレビューを見たら、NANAに出てくるらしいではないか。普通だったら原作の漫画に影響されてからブラストを買ってみるという順番になるのだろうが、逆だった。タバコを購入してから映画を見た。そして面白かった。
しばらく映画自体を観る気になれずにいたのだが、ひょんなきっかけから観る流れになることも面白い。
もうすぐ誕生日なので、自分へのプレゼントにZippoを買った。弟からはアブサンという種類のお酒を頂戴し、コーラで割ったりその薬草のような味わいを愉しんでいる。ちなみにアブサン・ウイスキー・オレンジジュース・グレープフルーツジュースを割るととても美味しいことに気付いた。もしも試せたら一度味わってみてほしい。1:1:4:4くらいがオススメである。アースクエイクというアブサンとウイスキーとジンを一対一で割るカクテルもあるみたいだが、アルコール度数があまりにも強烈過ぎるのでさすがにジンを買い足してまで試そうとは思えていない。しかし人生は一度きり。何事もチャレンジしたいところだが……。
タバコも好きだし、火も煙も好きだ。漢のロマンを感じさせる。嗜好品というのは無くても生きてはいけるものだし、このご時世タバコなんて淘汰されまくっている印象だが、清潔になり過ぎるのもどこか寂しさを感じる。歩きタバコをやったりポイ捨てをしたりして人様に迷惑をかけるような真似は決してしないが、大人の人間としての常識的な範疇での趣味としてならとても味わい深いものだ。マッチや使い捨てライターがあればコストがかからず一瞬で火なんて付く。が、そこでZippo。わざわざお金をかけてまでロマンを追い求めてみるのも乙ではないか。そう思う。
20歳から23歳くらいまで異常なほど映画に救われた人生だった。映画は俺を慰めてくれることが多く、心をそっと撫でてくれるようなセリフに何度も傷を癒やされた。まるで血の中に映画が流れているような感覚もあるが、そのもっと前、15歳くらいの頃からどっぷりと浸かってきたのがアニメである。
どうしようもないくらい窮屈な環境に育っている中で14インチのブラウン管の向こうから流れてくる深夜アニメの面白さに度肝を抜かれたのが観始めたきっかけだった。アニメでも映画でも音楽でもゲームでも、若い頃に琴線に触れると大人になってもその美しさや憧憬は色褪せないままハートに生き続ける。それらは俺をロマンチストにさせていった。
名作と言われるアニメは挙げればキリがないが、タバコといえば。まず真っ先に思い出すのがBLACK LAGOONである。カウボーイビバップもタバコの印象がある。常に吸い続ける銘柄という意味での「常喫」という言葉がある。俺にとっての常喫銘柄は「アメリカンスピリット」である。そう、BLACK LAGOONでは随所にアメスピを吸うシーンが流れる。
不思議なことに店頭で見かけたブラックストーンからNANAを見て、そういえばアメスピといえばとその勢いのまま今BLACK LAGOONを観始めている。名作はいつ観ても名作だ。何年も前に観たぶり以来だから、内容を完全に忘れている。その状態でもう一度32歳の今、名作を愉しめる。なんと贅沢なことだろう。
今晩は鶏肉を揚げて唐揚げを作った。それをつまみにレモンサワーを飲んでいる。BLACK LAGOONを観つつ、合間にZippoで火を付けながらタバコをくゆらす。かっこつけているのだろうか。うん。かっこつけていこうじゃないか。もっと好きな自分を目指そうじゃないか。憧れの中を生きてもいいじゃないか。そう思う。
何のビールが美味しくて、何々がイマイチだった、みたいな話をすると長くなりそうなので今日はこれくらいに。……果たして次の更新はいつになるのだろうか。自分でも見当がつきません。
生きてます