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雪が積もりて友人から連絡くる

「雪だよ!!」
その一言と共に、友人・Yからラインが飛んできた。
高校から長く付き合っている数少ない友人のひとりで、約二十年前と同じことをしてきた友人だ。

私は笑いながら返事を打つ。
「高校の頃から全く変わってないな」


ある年、季節外れの雪が降った。
南関東ゆえ、あまり積雪はない。その日は始まったばかりの期末試験中で、試験のために学校まで行かなくてはならず、気怠いなと思いながらいつも通りの時間に目覚ましを止めて起きた。
ガラケーのアラームを止め、画面を見ると一通のメールが届いていた。

宛名は友人・Y
本文は何もなく、写真が添付されただけのメール。
開封すると、見覚えのある風景が映っていた。

「……あのバカ、何してんだ」
真っ白な雪化粧に染まった、高校のグラウンドだった。

急いで支度をし、カバンを肩にかけて家を出た。
電車を乗り継いで学校の最寄駅へと向かう中、普段とは違う景色に握りしめたガラケーにはメールが追加で届く。
グラウンドに現れた雪の玉。彼女が作ったであろうそれは、ところどころ土が付いていてお世辞にも綺麗とは言えなかった。
最寄駅で別の友人と会い、学校行きのバスに乗車した。友人Yからのメールの話をすると、その友人は笑った。
「Yらしいわ」


学校に着いた私は、昇降口ではなく校庭へと向かう。
そこで見たのは、校庭で雪遊びをしている友人Yの姿だった。

「Yーーー!なにしてんの!!」

雪遊びに夢中な友人を呼びつける。
鼻の頭を真っ赤にし、頭にも白く雪を積もらせた友人は私を見つけるなり、駆け寄ってきた。
「おはよー!雪こんなに積もってるから、ココなら誰にも踏まれてないと思って!」
友人Yは悪びれもなく、雪遊びを堪能したいがために朝早く学校に来ただけだった。
私は呆れながらも、今日テストだからね?と言うが友人Yは気にしていない様子だった。
「テスト終わったら遊べばいいでしょう?」
「え!遊んでくれるの!?」
「私、3時間目までテストあるから、それまで待っててくれるなら」

友人Yは嬉しそうに笑った。
突拍子もない行動をするこの友人が、私は大好きだ。
雪が積もったカバンをはらい、一緒に教室まで向かったあの季節外れの雪を、約二十年経ったいま、思い起こした。

この約二十年でお互い、変わったところもある。
友人Yは色々あって三人の子供のママだし、私は社会人でひとり遊びを楽しむ大人になった。


月日が経っても、雪が降って積もれば、はしゃいだ勢いで私に報告をしてくるところが変わらない友人Yに、私は呆れながらもそれを嬉しく思う。

二十年もこんな関係なんだ。
この先、しわくちゃおばあちゃんになっても、私はこの友人と仲良くしているだろう。

そんな友人がひとりでもいる私は、なんて幸せ者なんだ。



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