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KC2023Sep ヴァレット解説

使ったヴァレットと龍鬼神の登場によるヴァレットの立ち位置の変化について簡単に解説します。

ヴァレット

ヴァレットは今年の2月のミニBOX「LORD OF BORREL」で登場したビートダウンデッキです。実装当初はスキルが弱く日の目を浴びなかったものの、しばらくしてスキルの上方修正によりリボルブ―トセクターの設置に手札コストが不要になりました。それ以降長期に渡り二番手として環境に存在していましたが、エクストラデッキのカードプールが充実し続けたことにより対応幅が広がっていき、今回のKCでついに環境トップとして上位を独占するに至りました。

ヴァレットデッキはメインエンジンとなるヴァレットトレーサーを用いて「使用した魔法罠をヴァレットモンスターに変換する」「相手の妨害を回避する」という2つの手段でアドバンテージを獲得していきます。そして罠で妨害をしながら、増やしたヴァレットモンスターを突っ込ませ瞬殺が基本的な戦術となります。

他の罠デッキと差別化できている点は、カード1枚1枚のスペックがかなり高い点です。
全ての下級モンスターの基礎打点が高く、更に共通効果であるリクルート効果は全てトレーサーに繋がってしまうため、戦闘面での損失を生まないだけでなく、破壊を躊躇させることでゲームを遅延させ粘り強い試合も可能です。
またトレーサー1枚が多くの選択肢を持っており、「煉獄龍オーガ・ドラグーン」「ヴェルズ・ナイトメア」「天威の龍鬼神」といった強力なエクストラを相手によって使い分けることでゲームを有利に進めます。

天威の龍鬼神

天威の実装とともに実装されたカードですが、出しやすさやデッキとしての相性も圧倒的にヴァレットが上です。

1枚でこなす仕事量がとにかく多く、盤面の一掃から制圧までこなしつつキルの補助をしてくれる他、タスケナイトやベアルクティカードのような本来干渉し辛い箇所にまで睨みを効かせてくれます。また幻竜族であるため、ヴァレットの課題であった天龍雪獄をケアしつつ盤面を返せない点も解決しています。

龍鬼神やオーガドラグーンは成立させてしまうと妨害を持っていかれるため事前に妨害を打つ必要がありますが、トレーサーはこれを回避してしまうので、モンスターが並んでしまった段階で相手は損をするのが確定します。この妨害の強制力の高さがトレーサーのパワーを更に引き上げています。

ラピッドトリガー

妨害を強制するエクストラが充実したことでもう1つ恩恵を受けたカードがあります。それがこのラピッドトリガーです。

発動タイミングが比較的自由であることから、基本的に相手のアクションに合わせて発動して盤面を滅茶苦茶に荒らします。本来トレーサーに対しての妨害は渋られるのですが、事前に止めなければいけないエクストラが増えたことでラピッドトリガーで妨害を避けるシチュエーションが増えました。相手は妨害を避けられた挙句複数回盤面に触られてしまうので、フュリアスが出た時点でゲームエンドという試合も少なくありません。

またヴァレットの伏せは基本的に本命なのですが、このカードのような妨害でありながらハズレでもあるカードを伏せに混ぜられる点も強みです。当然浮く試合もありますが、それに見合った価値のあるカードです。

コズミックサイクロン

今期になって大きく評価を上げたカードです。
まず従来の一番大きな役割としては各種フィールド魔法への解答です。ヴァレットの唯一の弱点はメインギミックでフィールド魔法に触る手段が無い点なので、このカードがデッキに存在するかどうかでトリックスターへの勝率が明確に変わります。

明確に変わったのは対オッドアイズにおいて後攻捲りに絡むようになった点です。スタンバイにクイックリボルブからトレーサーをリクルートし、コズミックチェーントレーサーで展開することで相手のライザーが動くより早く龍鬼神を出すことで捲りが成立します。また先攻時もオッドアイズの型が変わったことで召喚権で妨害を踏んでこなくなったので、竜穴に合わせることで本命を通しやすくなっています。

本来ヴァレットには採用率が低く、「罠ビートは罠をプレイで踏め」これはリンクスの過去の偉人達の言葉ですが、龍鬼神の登場によりワンキルデッキとしての側面も持ったヴァレットには当てはまりません。適当に打ってワンキルしても十分に強いです。

環境におけるヴァレットの立ち位置

有利:オッドアイズ ベアルクティ パラディオン D-HERO
五分:カオスソルジャー 天威
不利:トリックスター

大まかにこの認識です。
トリックスターも勝てないわけではなく、割り切ってプレイしていけば拾える試合は結構あります。

D-HEROとの明確な差別点は対オッドアイズです。
・手札がモンスターで溢れた際にも明確に勝ち筋が存在すること
・後手捲りのハンドの組み合わせが多く存在すること

この2点です。

D-HEROの手札がモンスターに寄ってしまった場合、妨害を増やすことができるのはドリルガイ+☆4+D-HEROの組み合わせのみであり、基本的にはモンスター被り=負け濃厚の渋いゲームになります。
対してヴァレット側のモンスター被りが負けに繋がる組み合わせはトレーサーを引いていない場合の複数被りのみで圧倒的にムラが少ないです。

また後攻も龍鬼神の登場大幅に改善しました。基本的には以下の組み合わせで捲りが成立します。

クイックリボルブ+月の書orコズミックサイクロンorラピッドトリガーorクイックリボルブ
トレーサー+月の書orラピッドトリガー

これは一例で漏れもあると思いますが、クイックリボルブを引いた段階でほぼほぼ勝ちが決まっていたことがわかると思います。

ヴァレットの今後

既に新リミットが出ていますが、全くのノータッチであったことでまだまだ環境トップとして環境に居座ることになりそうです。
対抗馬としてパっと思い浮かぶのはトリックスターですが、オッドアイズの弱体化によりガンドラオルフェや天威のようなオッドアイズに抑え付けられていたデッキ達が復権することが予想できるため、立ち位置は悪そうです。
とはいえ11月までまだまだ新弾も挟みますし、どうなってるかは全然わからないですね。ラッシュデュエルワールドも楽しみです。

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