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演劇のヘアメイクを学べる無料講座University of Michigan

今参加している演劇作品The Seagullでヘアメイクを学んだ講座がとっても良かったので紹介します!

これはCourseraというオンライン学習サイトを通じて提供されるミシガン大学の講座で、アカウントを作成しAudit(聴講)をすることでヘアメイクについて詳しく学ぶことが出来ます。一切お金はかかりません。
教材は英語なのですが、字幕や翻訳機能を使えるので興味がある方がいたら是非観てみてください。

まずはコースの紹介を

ヘアメイクの歴史や偏見、具体的なメイク、老人・特殊メイク、ヘアセット、ドラグメイク(Drag Queenがするような女性姓を強調したメイク)などの合計8つのモジュールがあります。
具体的なヘアメイクの技術について学びたい場合はモジュール3の「Basic Contour」を観るのがおすすめです!舞台メイクを動画で見ることが出来て、後日見返すのに役立つ写真付きPDFも提供されます。下記のサイトからアクセスできます。

Go beyond the limitations of mainstream courses and gain a broad overview of inclusive makeup and hair practices, regardless of your experience level. Equitable Stage Makeup and Hair offers highly detailed videos and in-depth practice guides to train you on applying makeup for all skin tones and ways to prepare wigs for a variety of different hair textures. Designed to propel forward your skills, training in applying makeup for all skin tones, and wig preparation for a variety of hair textures, you will learn techniques for applying natural makeup for both on stage and camera, and aging makeup.

主流のコースの制限を超え、経験レベルに関係なく、包括的なメイクアップとヘアの実践の広い概観を得る。 平等なステージメイクとヘアは、非常に詳細なビデオと綿密な練習ガイドを提供し、すべての肌色にメイクアップを適用し、様々な異なる髪質にウィッグを準備する方法を訓練します。 あらゆる肌色に対応したメイクアップ、様々な髪質に対応したウィッグの準備など、あなたのスキルを前進させるためにデザインされたトレーニングで、ステージとカメラの両方に対応したナチュラルメイク、エイジングメイクのテクニックを学ぶことができます。


The course allows you to tailor your learning experience based on your own makeup and hair needs with additional modules on trauma makeup, special effects makeup, or drag makeup.
このコースでは、トラウマメイク、特殊効果メイク、ドラッグメイクなどのモジュールを追加することで、自分のメイクアップやヘアのニーズに応じて学習経験をカスタマイズすることができる。


Makeup application techniques are supported by lessons in facial anatomy, color theory, character analysis, and personalized makeup worksheet demonstrations. Hear from renowned makeup artists, performers, and drag queens to learn from their experience in the entertainment and theater industries. By learning inclusive methods of hair and makeup, you can work to build more equitable spaces for everyone.
メイクアップテクニックは、顔の解剖学、色彩理論、キャラクター分析、個人に合わせたメイクアップワークシートのデモンストレーションなどのレッスンでサポートされます。 有名なメイクアップアーティスト、パフォーマー、ドラッグクイーンなどから、エンターテイメントや演劇業界での経験を学びます。 ヘアとメイクアップの包括的な方法を学ぶことで、誰にとってもより公平な空間を築くことができます。

Equitable Stage Makeup and Hair

さて、コースの詳細がわかったところで実際のメイク講座を受講しました。

これがプロのメイクアップだ!

と、キャッチーなタイトルを書きましたが、もちろんメイクの仕方には様々な方法があるのであくまでアメリカの一大学が提供しているメイクの方法であることをご理解ください。

4歳から16歳までのバレエ、中高の英語劇、大学のミュージカルサークルで親しんできたメイクアップと比べて今回新しく学んだことがいくつかあります。モジュール3を受講したときに書いた自分用のノートを元にいくつかメイクの技術を紹介します!

・まずは保湿剤をスポンジやブラシで塗る。手で塗るより効果的で、ファンデを塗る際に保湿剤がスポンジについていた方が良いそう。

・眉毛をブラシで整えることは眉毛を描くよりも大事。

アイシャドウを書く時に目頭から目尻の横方向に三分割して色の濃淡をつけている。(私は眉毛寄りから)しかも目尻の濃い色からかき、そこから線を延ばすようにダブルラインを描いていく。ダブルラインが上手く描けずに苦しんでいる方はぜひ授業を受けてみてください!

・アイラインを描いた後に上から黒のアイシャドウを乗せることで昼夜2公演にも耐えられるアイラインの完成。アイライナーは小刻みに動かして少しずつ書く。慎重に一本線を書こうとするのは失敗の元。目の下側のアイラインは黒を目の際に塗り、より明るい茶色のアイラインをその外側(下側)に追加するか、茶色のアイシャドウを追加する。

・つけまつげの根元のバンドの部分にアイライナーを塗ることで、より目になじんで見えるようにする。グルーを塗った後すぐに目につけずにしばらく乾かす。必要に応じてつけまつげにもマスカラを塗る。

・顔の外側に塗るシャドウは、ブラシを外側(首や髪の毛側)から動かしはじめることで顔との境目を自然にする。

・リップはペンシルで形を作る所から始まる。唇の形をペンシルで形作ったら、ブラシでぼかし、内側に自然な色の反固形のリップを塗る。

・最後に。メイクアップは観客からの距離やヘアメイクや衣装によって30%減少して見えることに留意。鏡でやり過ぎに見えるメイクはしばしば舞台上ではちょうど良くなる。シャドウの濃さが鍵。劇場の大きさも考慮せよ。

講義より


舞台メイクなんてなれてるからいけるやろ~と思っておりましたが、新たな学びがたくさんありました。早速実践練習をしたいところなのですが、日本に舞台メイクセットを全ておいてきてしまったので薬局に必要な買い出しに行くところから始めなければなりません。出費が痛い。。。

ヘアメイクと結びつく偏見の歴史

モジュール2では、ヘアメイクの技術的な面だけでなく、ヘアメイクが様々な偏見とどのように結びついてきたかについて学びます。コースの初めには授業で使う用語の紹介があり、ヘアメイクを通してアメリカの演劇界で重要とされる規範や価値観についても学ぶことが出来ちゃうんです!

例えば参考文献として「Principals for Building Anti-Racist Theater Systems」が発表しているBIPOCの権利を守るための声明文を読みました。
BIPOCとは、Black(黒人)、Indigenous(先住民)、People of color(有色人種)の頭文字をとったもの。「バイ・ポック」と発音されるこの言葉は、黒人と先住民のグループの経験を中心に据え、有色人種のコミュニティ間の連帯を示すことを意図した言葉です。

この団体の声明文を通して、「私たちの美の基準は明るい肌の色やさらさらの髪に規定されるのか」「ヘアメイク業界が宣伝に使う言葉にはどんな偏見が含まれているか」を考えます。

役を忠実に再現して、舞台映えするためのヘアメイク。掘り下げてみると美の基準の変遷と人種差別の問題が浮かび上がってきます。非常に興味深い講義でした。


以上、学ぶべきコンテンツが盛りだくさんなミシガン大学の講座の紹介でした~!



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