#15 とかく生きにくいこの時代に

えもいわれぬ閉塞感といいますか、何だか生きにくい時代になったもんだ、とふと思うことがあります。

つぶやくこと。昔は自分のココロの中にとどめておくものでしたが、今は容易に文字にすることができて、それを世間様に出すことができる時代です。
つぶやくこと。時としてそれはよろしくない言葉で綴られ、相手を傷つけてしまうこともあります。だからこそ自分のココロにとどめておく必要だってありますが、悲しいかな今はそれが見える化されてしまい、自分の意図しない形でひとり歩きして、最悪の場合取り返しのつかないことになることさえあります。

今だからこそ、自分のココロにとどめておくべきか、を一呼吸置いて考える必要があると思うのです。そうすることで、誰かの閉塞感、生きにくさが少しでも解消できるのではないでしょうか。

少し話題を変えましょう。もう30年近く前、大学時代のとある講義で「赤坂プリンスホテルで1,000円のコーヒーを飲むこと」がディスカッションのテーマになりました。
当時のコーヒー相場は300~400円くらい、東京にも住んでいなかったので「それはバカげた話じゃないか」という意見も当時出ましたが、赤坂プリンスホテルは世界のVIPが集う場でもあるため、場の雰囲気、自分は赤坂プリンスホテルという特別な空間にいることを楽しむのであれば、1,000円を出すことは惜しくはない、そんな話にもなりました。

30年経ち、コロナや世界情勢の悪化もあって、ありとあらゆる物価が上がってしまいました。本当にコーヒーが1,000円になってもおかしくない時代になるかも知れません。一方でこの10年、いや20年くらい、私たちが受ける報酬はそんなに変わっていない気がします。コーヒーに1,000円を出すことは惜しくはない、あの頃はココロに余裕があった気がしますが、1円、2円のわずかな差でも敏感になってしまう、そんな時代になってしまった感があります。

だからといって昔の方が良かった、とは言いたくありません。ここまで書いてきたこととは逆説的な話になりますが、今だからこそ便利になったこと、良くなったことはたくさんあります。しかも、昔に戻れるかと言えば、そうでもありません。とある芸人さんのセリフではありませんが、時を戻すことはできないのです。
今を、1秒1秒刻む時の流れに沿って、私たちは前を向いて進むしかないのです。生きにくい時代ですが、少しでも生きやすい時代になるように、できることをしようと思う今日この頃です。

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