緊急事態宣言延長を受けて願うこと

 GW末の5月6日までとされていた緊急事態宣言が5月31日までに延長されました。延長したこと自体に対する評価については置いておいて、延長を受けて思うこと、願うことについて書いておきたいと思います。

延長自体は想定内!?

 皆様の胸の内まではわかりませんが、都内在住者の一人としては緊急事態宣言の(5月末までの)延長自体はある種「想定内」でありました。
 これについては多くの方も同様かと思いますが、予想とは別に「現実」として「延長は受け入れたくない」と考える立場の人が多くいることも認識しておかなければならないと感じています。
 それは、飲食店等を代表として、今回のコロナの影響で事業が立ちいかなくなって資金繰りに悩んでいる事業者の方々です。「コロナ等の災害も事業リスクとして織り込んでおかないからダメなんだ!」という理想もわかりますが、実際には経営が苦しくなり雇用が失われそうな現実があります。

延長が決まり心配なこと

 4月の緊急事態宣言を受け、経営的には苦渋の決断ではあるものの、感染防止の観点や顧客・従業員の安全の観点から休業や営業時間の短縮等の対応をした企業が多かったと思います。これに対する助成金や給付金も続々と打ち出されてはいますが、事業を行う以上すべてが補填されるということはあり得ないし、そこまでを求める人も少数と思います。実際のところは、「5月6日まで!」という区切りをある種の願望として設定し、必死に対応していた方が多かったのではないかと思います。
 しかし、ある意味想定内の今回の延長を受け、経営の見通しが立たない中で頑張る気力が続かなくなってしまう方も多いのでは?と心配しています。そして、実感のある将来として「倒産」が頭に浮かんでいる経営者が多いのではないかと思います。

倒産とは?

 そもそも、倒産とは何なのでしょうか?
 「倒産」が意味するものは会社経営についていえば下記の内容を包括したものになるのかと思います。
【法的整理】
 ・破産法に基づく破産手続
 ・会社法に基づく特別清算手続
 ・民事再生法に基づく再生手続
 ・会社更生法に基づく更生手続
【私的整理】(任意整理)
 ・事業再生ADRなど

 私自身、いくつかの法的整理(破産法)事案に関わったことがあり、破産する(orした)経営者の方と向き合ったことがあります。破産法に基づく法的整理について誤解を恐れず言えば、「破産」とは法律に基づいた債務整理手続きであり、それ以上でもそれ以下でもありません。
 破産したからと言って、オモテを出歩けない人間になることもないし、一生落ち込んで生きていくわけでもありません。

どう向き合うべきか

 では、「倒産するかもしれない」となった時、どのように向き合うのが良いのでしょうか。
 何事もそうなのかもしれませんが、「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」かと思います。まずは、「倒産するとどうなるのか?」を正確に把握しましょう。「考えたくない!」と目を背けることだけはしないで下さい。

 色々な考え方があり、立場の違いから意見が違うこともありますが、倒産するということは「事業が失敗した」ということです。そもそも、事業が成功する場合の方が少ないので、失敗すること自体が悪いことではありません。ただし、倒産するまで続けるか否かは経営者それぞれの判断によって異なるだけです。
 また、倒産すると「全てを失う」と言われます。確かに財産的には(ある程度の生活資金を除き)全てを失うかもしれませんし、いわゆるブラックリストにのり新たな借り入れ(融資、クレジットカード)ができなくなることもあります。
 しかし、それだけです。それまでの経験、ノウハウ、人脈は残ります。
 ただし、「人脈」だけは倒産に至る過程次第で残る場合もあれば、失う場合もあります。

 ですので、倒産について必要以上に恐れず、もし倒産してしまった場合でも周りの人がもう一度応援してくれる様な積み重ねをしていくしかないのだと思います。もちろん、倒産を回避すべく、あらゆる手を尽くすのは当然ですが。

実際のその後は?

 ちなみに、私の知っている倒産を経験した経営者はその後どうしているのかについて少し触れておきます。
 もちろん、その後に連絡が途絶えた方もいらっしゃいますが、現在私のお客さんとなっている方もおり、以前と同じ業界で頑張っています。
 ただし、このように再起ができたのは以前の取引先等の関係者が変わらず取引をしてくれる(応援してくれる)ことが大きいのだと感じます。

最後に

 何か長々と抽象的なことを書いてきてしまいましたが、言いたいことを最後に書いておきたいと思います
 
 倒産しても再起はできます。ただし、再起をするには再起をする「あなた」自身が存在していないといけません。
 一人で悩まず、周りに相談してください。
 「迷惑をかけたくない」と言うのは素晴らしいことですが、おそらく周囲の方(特に家族)にとっては相談してもらえるのが一番良いのだと思います。
 間違っても、変な決断をしないことを切に願います。

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