災害とメディア
2024年8月15日のNACK5『Good Luck! Morning!』内「エコノモーニング」では、宮崎で大きな地震に遭遇した体験を元に、災害とメディアについてお話をしました。だいたい、以下のような内容です。
私は、先週の8日木曜日は出張で宮崎にいまして、帰りの宮崎空港で飛行機を待っているときにあの大地震に遭いました。宮崎空港の震度は5強で、棚が倒れたり、物が落ちたり、空調設備が壊れて大量の水漏れが発生したりと大きな被害がありました。
私自身は飛行機が遅れて行き先が変わってしまったくらいで特に大きな問題はなかったのですが、私が宮崎にいることは前日からSNSで発信したりしていたものですから、新聞社やテレビ局にいる友人知人から写真や動画を提供してほしいとか、状況を教えてほしいという依頼をいくつか受けました。そこで、放送局のウェブサイトから写真を提供したり、Xと、Facebook Messengerと、電話と、zoomを駆使して、にわかリポーターのようなことをしました。
夜のニュース番組のトップニュースで私のインタビュー動画が紹介されましたし、ニュース動画やネット記事で私が撮った写真や動画が使われましたので、もしかしたら気づかれた方もいらっしゃるかもしれませんね。そんな経験をしたものですから、今日は「災害とメディア」のお話をしたいと思います。
先週ご紹介した情報通信白書では、特集記事で、今年1月の能登半島地震が通信や放送にどのような影響があったのか、通信会社やメディアがどのような対応をとったのか、ということが紹介されています。能登半島地震では、携帯電話4社の合計839の基地局で電波が止まってしまったそうです。能登半島の主要部では大半の地域が一時は通信に支障が出ていたようです。それに対して、携帯電話会社は、車に搭載した基地局や持ち運び型の基地局を現地に運び込んだり、船の上に基地局を作ったり、地上の電源からケーブルで電気を取りながら飛行するドローンを基地局にしたり、衛星携帯電話を組み合わせたり、さまざまな工夫をしたそうです。
一方、今回の宮崎空港では、地震発生後、数分間はスマホからネットがつながらない状況が続きましたが、おそらく10分しないうちに携帯はつながるようになりました。そのおかげで震度6弱の地震が宮崎でおきたということや、津波注意報がでているということを防災アプリやニュースアプリの通知で知ることができました。携帯の基地局が被害を受けるか受けないかは被災した人にとってはその後の行動に大きく影響するということを実感しましたね。
能登半島地震では、停電のせいでNHKも民放もテレビ放送が電波を送れなくなってしまい、ラジオでも同様に電波を送れなくなるという問題が発生しました。すべてのテレビ局・ラジオ局が完全に復旧したのは1月24日だったそうです。
今回の宮崎では、幸い、停電はしませんでしたのでテレビを見ている人もいましたし、また、空港のWi-FiにつないでTverを見ることもできました。もちろんradikoも聞けたと思います。そしてなにより、スマホを充電することができたというのが大きいです。だからこそ私も現地リポートすることができたわけですね。災害時に情報を得たり発信したりするという観点では電気と電波の確保がとても重要ですね。
情報通信白書には、能登半島地震で「地震に気づいた後に最初にアクセスしたメディア」は何だったかというアンケート結果が掲載されています。結果は、テレビが64%、次いでSNSが12.6%、Yahoo!ニュースやSmart
Newsなどのサイトやアプリが8.8%でした。ラジオは1.3%です。最初にアクセスしたメディアとしては今でもテレビが圧倒的に強いということが明らかになりましたが、若い年代ほどSNSの比率が大きくなっています。
また、白書には出ていないデータですが、今年に入ってTverのダウンロード数が累計で7000万件になるなど急成長が続いていますし、YouTubeでもニュースが生放送されるようになってきていますから、ネット経由でスマホからテレビ番組を見るという経路も、災害時を含めて今後はますます重要になっていくと思われます。
ということで、以上、今回は「災害とメディア」のお話でした。