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イーロンマスク氏とトランプ政権

2024年12月19日(木)のNACK5『Good Luck! Morning!』内「エコノモーニング」では、こんなお話をしました。

今日は19日ですので今からちょうど1ヶ月後の1月20日にアメリカ大統領の就任式が行われる予定です。つまり第2次トランプ政権の発足まで、あと1ヶ月となりました。今日は、トランプ政権がどうなっていくかということについて、起業家イーロン・マスク氏との関係という観点からお話をしたいと思います。

トランプ前大統領といえば、前回大統領を務めていたときにはTwitterでのさまざまな発言が物議を醸していましたが、連邦議会襲撃事件が起きた際に、暴力行為を煽ったということでアカウントを凍結されていました。その凍結を解除しトランプ氏のアカウントを2022年11月に復活させたのは、Twitterを買収したイーロン・マスク氏でした。

そしてマスク氏は2023年7月の銃撃事件の後に「トランプ氏を支持する」と表明しまして、X上でトランプ氏を支援しハリス氏への批判を展開しました。マスク氏による大統領選関連の投稿は、約100日間で700件以上ありました。Xでもっともフォロワーが多いとされるマスク氏が、平均すると1日に7件も大統領選関連の投稿をしていたのですから、影響力は絶大で、トランプ新大統領の当選に大きく貢献したと思われます。

マスク氏がトランプ氏に接近していった背景には、言論の自由という価値観をもっと強調したいというマスク氏のポリシーというものがあると思います。おそらく今後も、SNS上でさまざまな議論が展開され、フェイクニュースや世論の分断が進んでいくのだろうと考えられます。

また、イーロン・マスク氏といえば、電気自動車のテスラや宇宙開発のスペースXといった企業の経営者であります。マスク氏は自分の本業である電気自動車や宇宙開発、そしてAI開発についての規制緩和を進めるためにトランプ氏に近づいていったのだという見方があります。具体的なことは今後明らかになっていくと思いますが、電気自動車や宇宙開発、AI開発など新しい技術が社会に入り込んでいく時期にはあまり規制を厳しくすると新しいサービスが成長しにくいですから、規制緩和が大きなキーワードとなると考えられます。

そして現時点ではひとつだけ、マスク氏がトランプ政権でどんなことをするのかが見えてきています。マスク氏がビベック・ラマスワミ氏という方と共に、政府効率化省Depatrment of Government Efficiency DOGE (ドージ)という組織を新たに立ち上げて率いていくということが発表されました。この組織は、官僚主義を打ち破り、過度な規制を削減し、無駄な支出の抑制し、連邦機関の再編をする、ということを主な任務としています。アメリカ独立宣言250周年となる2026年7月4日までに立ち上げを完了する計画です。
マスク氏はDOGEによって連邦政府予算の約3分の1にものぼる2兆ドル(約300兆円)の歳出削減が可能だと豪語しています。具体的にどのようにしてそれだけの歳出削減を行うのかは明らかになっていませんが、もし本当にそれだけの歳出削減ができた場合、連邦政府の財政が改善する一方、これだけの規模で政府支出が減少すると景気に悪影響を与えるのではないか、と懸念する声もあります。

そもそもそんなスケールの大きなことが可能なのかということについては、マスク氏ならやるかもしれない、と私は考えています。思い起こせば、マスク氏はTwitter(X)の買収後に、大幅なコスト削減を短期間で行い、従業員を約8割削減したという実績があるんですね。買収される前のTwitterは、機能やサービスはシンプル、ビジネスといえば広告が中心で、経営はあまりうまくいっていませんでした。マスク氏が経営に関わるようになってからは、有料プランを導入してビジネスを補強し、また従業員は8割削減したというのにAIを導入するなど新サービスや新機能の充実もできています。同じように、短期間で政府支出を削減しつつ、魅力的なサービスの開発などもできる、と考えているのだと思われます。

しかしそのような大改革が実現されると、日本でも同じようなことをやるべきだという議論が高まってくるだろうと予想しています。先日ここでお話をしたマイナ保険証の導入もそうですが、まさにいま日本でもデジタル化を通じて政府や自治体の業務の効率化を進めています。しかし、1/3の政府歳出を削るというような大胆な改革案を作り出すというのは簡単ではありません。おそらく、今までのやり方を見直して効率化するようなやり方ではなく、サービスや組織をばっさりと切り捨てるようなことになるのではないかと予想していますが、アメリカでできたことを日本でもやろう、ということになるのかどうか、非常に目が離せないと感じているところです。また、動向が見えてきたらこのコーナーでご紹介していきたいと思います。

ということで以上、「イーロン・マスクとトランプ政権」というお話でした。


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