分人・複属時代の働き方
ひとつの仕事やひとつのコミュニティにどっぷりと浸かって生きていくというのは、現実的に考えて難しい。「人生100年」時代ならなおさらそうだろう。
「分人(dividual)」という考え方がある。「個人(individual)」という言葉はもうそれ以上分けることができないという意味で近代社会の「単位」となっているが、「分人(dividual)」は、分けることができないとされてきた個人が実際は複数のコミュニティに属して生きている「複属」的な側面に着目し、ひとつの統合された人格ではなく、相手や場面に応じて現れる複数の人格に分けられたもの、あるいはそれらを束ねられたものとして人を捉える。研究者でもあるスマートニュースの鈴木健氏は、分人によって構成される新しい民主主義として「分人民主主義 (Divicracy)」を提唱しているし、作家の平野啓一郎氏は「分人主義」を近未来小説に登場させるとともに、その人間観を他者とのつきあい方など社会生活に導入することを提案している。
エストニアでは、2014年12月から「e-Residency」という仕組みをはじめている。これは外国人でもIDを取得することで、エストニア国内で会社を設立したり、銀行口座を開設したり便利に納税をすることができるようになるものだ。二重国籍を認める国も増えている。
この記事では自由な働き方としてピクセルワークを紹介しているが、優秀な人材を半身でもいいから確保したいという組織やプロジェクトの事情もあるだろう。
そして、こういったことの背景には、関係構築や人材の管理、文書やデータのやりとり等々のデジタル化・クラウド化の進展がある。
最後にちょっと宣伝になってしまうが、こうしたデジタルファースト時代の働き方について考えるシンポジウムを来週開催するので関心ある方には参加してほしい。
http://www.glocom.ac.jp/events/3138
http://www.glocom.ac.jp/events/3138
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO23514330V11C17A1TCP000/
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