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今年の夏の暑さを振り返る

2024年9月26日(木)のNACK5『Good Luck! Morning!』内「エコノモーニング」では、こんなお話をしました。

今日は「今年の夏の暑さを振り返る」という話題でお話ししたいと思います。「暑さ寒さも彼岸」までといいますが、関東地方もここ数日でようやく涼しさを感じられるようになりましたね。今年は本当に厳しい夏でした。35度以上の猛暑日が続き、外に出るのも大変ですし、室内にいてもクーラーを使わなければ熱中症になってしまうような暑い日が多かったですね。私たちの体調や日常生活、そして経済活動にも大きな影響を与えた、まさに記録的な夏だったと言っても過言ではありません。

ところで私は8月の間、ゼミの学生と一緒にチームを組んで、東京都主催の「オープンデータハッカソン」というデータ活用コンテストに参戦していたんですが、そこで取り組んだテーマが熱中症対策でした。そこで気象庁が公開している過去47年間の気象データを分析してみたところ、8月の最高気温というのは明らかに右肩上がりで上昇していましたし、7月下旬から8月下旬の約1か月間は、70%以上の確率で30度以上の真夏日になっていることもわかりました。ちなみに、学生たちがお勧めしたい熱中症対策は、「ハンディファンのレンタル」でした。確かに街なかで若者がハンディファンを使っている様子を見かけることが増えましたが、最近はモバイルバッテリーと一体型のハンディファンというものが出てきているそうで、携帯の充電もできて一石二鳥であるということを教わりました。

気象庁のデータによると、今年の夏の日本の平均気温は平年と比べて1.76度も高かったそうです。これは1898年に日本で気象統計を取り始めて以来、最も高い数値でした。しかも、日本だけが暑かったわけではないんです。アメリカの国立環境情報センターの報告によると、今年の8月は、世界全体で見ても「記録上最も暑い8月」だったそうです。この「記録上最も暑い〇月」という記録は、実は2023年7月から15か月連続で更新されています。そのため2024年は、「記録上最も温暖な年」になることはほぼ確実視されています。このような世界的な気候変動の影響は、農作物への被害やエネルギー消費の増加、さらには私たちの健康問題など、さまざまな分野に広がっていきますし、しかもこの影響が長く続いていくことが予想されます。

一方、この暑さに適応しようとしている動きが興味深いのがアパレル業界です。アパレル業界は通常、季節を先取りして商品を展開しますよね。夏真っ盛りの時期には、一足早く秋物を売り出すのがこれまでのやりかただったわけですが、今年のように酷暑が長引くようでは、秋物の洋服を8月中から販売するというのがちょっと現実的でなくなってきているようです。

そこで、アパレル業界大手の三陽商会が、1年間を4つの季節ではなく5つの季節でとらえる、つまり春・夏・秋・冬の「四季」ではなく春・夏・夏・秋・冬の「五季」ととらえていくという新しい販売戦略を打ち出したことがこの夏話題になりました。春と秋と冬はこれまでと同じなのですが、5~7月を「初夏・盛夏」、8~9月を「猛暑」というように、長い夏に対応して夏を二つに分けて考えるのだそうです。

そして、夏物の生産量を20%増やして、これまでは秋物の商品を売り出していた8~9月にも夏物だけれども秋にも着用できる夏向けの商品を展開したんだそうです。たとえば夏物なのだけれども秋らしい色使いをするですとか、薄手の羽織物といったものです。このような決断をした背景には、今年と同じように異常な暑さが続いた昨年の夏に、夏物の在庫がが不足してしまって販売機会を逃したことがあると報じられていました。

夏というのはアパレル業界にとっては稼ぎにくい季節なのだそうですが、三陽商会は今年、夏を二つにわけて豊富なバリエーションを用意したことが功を奏し販売は順調に進んだそうです。

気候変動がビジネスに与える影響、あるいは気候変動にうまく適応するビジネスのあり方として、なかなか参考になる事例だと思いまして、ご紹介させていただきました。

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