【MSGEX】「CHRONICLE Vol.Ⅴ」全曲解説③
こんばんは。新譜「CHRONICLE Vol.Ⅴ」の全曲解説も残り2回となりました!全曲解説③、早速いきたいと思います!
【MSGEX 8th Album 「CHRONICLE Vol.Ⅴ」全曲解説③】
08. Walk On This Way [2021]
Words: AKR / Music: GAKU
本曲、実は1997年頃には原型が存在していて、ずっとやりたかったのですがなかなかフィットする歌詞がつかず、宙に浮いた存在になっていました。
なかなか気づく方はいないかと思うのであえてここで言っちゃいますが、「CHRONICLE Vol.Ⅱ」の2曲目に収録されている「REVOLUTION」の冒頭にあるインストパート、実はこの曲からの逆引用になっています!まさか「CHRONICLE」シリーズでこの曲が世に出るとは思ってなかったので💦
今回、AKRさんが歌詞をつけてくれたことで、晴れてこの楽曲を世に出すことができて、続けてるといいことがあるんだなぁ、と思えましたw
オリジナルは割とロック寄りな曲だったのですが、今あえてやるならEDM方面かなということで、SEやシンセ、シーケンスなどのフレーズはかなりEDM方面に寄せつつも、そこにピアノバッキングや分厚いパワーコードを被せることで、現在の音と90年代の音をミックスしたような雰囲気にできたかなと思ってます♪
ギターの入れ方、特にBメロのオブリあたりは、佐藤さんとも話して「LOVE PHANTOM」あたりによく見られたB'z松本さんのアプローチを意識しながら2人でフレーズを作って一つ一つ入れていきました♪そこから一転、アウトロのソロは全てアドリブで、佐藤さんの真骨頂!!
ボーカルはめらみぽっぷさん!この曲には当初、僕のコーラスを被せる予定だったのですが、試しにめらみさんのボーカルトラックを編集して上下ハモりのコーラストラックを作ってみたところ、ある種の不自然さ、作られた感による”デジタルっぽさ”がこの曲にはとてもマッチしたので、ご本人にも確認した上で、あえて機械的に作り出しためらみさんのコーラストラックを、そのまま採用させていただきました♪聴いてもらって、その感じが伝われば嬉しいです♪
シン・エヴァ的には、ここから後半戦!ヴンダーで南極にあるセカンドインパクトの爆心地、カルヴァリーベースに飛び込み、アドバンスト綾波タイプがエントリープラグに挿入された4機の戦艦と対峙する、BGM「惑星大戦争」が流れるあたりの軽快なイメージ!!
09. The Wings of Liberty 2021 [1994]
Words: Atsuko Ishikawa / Music: GAKU
恐らくこの曲が、自分が主導するグループで書いた初めての楽曲になります。当時のアレンジは、今となっては正直自分でも聴けたものじゃありませんが💦
当時のアレンジを"origin:1.11/2.22"とかでは済まないレベルで大幅にアップデートする形で制作したのが、前作「CHRONICLE Vol.Ⅳ」に収録した「The Wings of Liberty 2020」なのに対して、今回は1996年に当時のユニット「M&A」で吉祥寺で開催したワンマンライブでのライブアレンジ、ほぼそのままです!
当時はボーカルのあっこさんとキーボード兼コーラスの僕、そしてサポートキーボードを加えた3人編成でライブをやっており、ギターがいなかったため、この曲では昔小室さんやaccessの浅倉大介さんがステージで使っていたショルダーキーボード「YAMAHA KX5」に15mのMIDIケーブルを接続し、確かKORG TRINITYのギター音をセレクトの上、もう動きまくってショルキー振り回しながら死ぬほど弾き倒してましたw それこそヴァイじゃないですが、ディストーションもかけまくって半ばノイズ的なサウンドになってたと思うので、お客さまたちの耳にもかなり負担をかけてしまったかもしれません💦
じゃあこのアレンジってどっから来たのか、って言うと、実は当時僕が電気グルーブに物凄くハマってまして。イントロのTB-303によるフィルター開閉音や高速四つ打ちビートあたりに物凄く影響を受けてます。正直会場の出音のデカさといい、下手なロックバンドが驚いて逃げてしまうくらいの轟音の中で、石野卓球さんやピエール瀧さんはライブをやってましたw
今では考えられないことですが、90年代はまだ「洋楽がかっこいい、邦楽はダサい」とか「生演奏でこそロック。打ち込みはロックじゃない」とかって考えが音楽業界の常識として存在していて、僕みたいな当時のDTMerはかなり偏見をもって見られていました。そんな偏見をぶち壊したい思いもあり、
”打ち込みだってロックを演れるんだ!生バンドにだって負けないんだ!!”
的な主張をアピールしたかったのかもしれません。そんな僕を知らないお客さまはみな唖然とした目で見てました、「突然どうしたんだコイツ!?」ってwww
シン・エヴァ的には、大量のエヴァをなぎ倒しながら、13号機の元に侵攻していくアスカの新2号機とマリの改8号機のイメージ!!
10. 19-origin:1.11- [1995]
Words: Atsuko Ishikawa / Music: GAKU
03. が2021年バージョンだとすれば、こちらは1995年当時のバージョンを踏襲したバージョンです。
実はこのアルバム、ごくごく初期ですが「ANOTHER CHRONICLE 3」として頒布される可能性がありました。ですが、基本リミックス集(+新曲)である「ANOTHER-」でシリーズを締め括っちゃっていいのか?と自問自答する部分が少なからずあって。最終的な決め手となったのが、この曲の存在。
03.の解説でも触れた通り、1995年の日本は、平和だったはずの日常が当たり前ではないことを否が応でも認識させられる、そんな一年になりました。
私自身、新宿駅地下のトイレ内に仕掛けられていたサリンを掃除のおばちゃんが見つけてくれていなかったら、その日たまたま出掛けていた僕がちょうど新宿駅で乗り換えていた時間帯にサリンが拡散されていた状況でした。
帰宅した後にニュースを見て、僕が当日新宿駅で死んでいた可能性があったという事実を知り、恐怖のあまり全身の力が抜け、腰が抜けてしまったことを覚えています。
そんな現実と同時に、僕らは10代から20代へと移り変わろうとするタイミング。自分の将来や進路を巡って、両親とは日々言い争いが絶えない日々。なぜ自分の夢に向かおうとする自分を止めようとするのか。
同じような悩みを抱える同世代として、作詞&ボーカルのあっこさんと話し合いながら、詞や曲の世界観を構築していきました。
そして現在。親となった僕。
親の反対意見が自身の失敗体験に基づくものであり、更には社会において得られた知見を踏まえて、僕に同じような失望感を感じさせないために言ってくれていることに、ようやく気がつくことができた。
でもそれを上手く言葉に伝える術を見つけられず、苛立って感情的になる。当然、そんな言葉に子供が耳を傾けるはずもなく、ただ怖がるだけ。
結局、同じことを自分は別の立場になっても繰り返している。日々反省。
当時の視点で考えていたこと、今の視点からだからこそわかること。この曲の歌詞は、当時以上に僕にとって深く考えさせられるものになりました。
そしてシン・エヴァでも、親子の対峙が終盤で描かれます。やり方はとっても身勝手で不器用だけど、妻である碇ユイとの再会を成し遂げることに全身全霊をかけていた碇ゲンドウ、そして父の母に対する思いを理解できる大人になった碇シンジ。
この「成長」「親離れ」「子離れ」を表現した一連のシーンが、この曲の世界観とリンクしたように感じられたことから、この曲が本アルバムにとっての裏の核・コアになりました。
そして、その曲を当時の僕と今の僕が表現したら、ということで、あえて2つのバージョンを同じアルバムに収録してみました。この辺りは非常に個人的な拘りなので、リスナーの方からすると賛否両論があってもおかしくないかと思っていますが、どうかご容赦ください。
楽曲自体は実はほぼ当時のアレンジのままですが、ギターの佐藤さんと相談して、これまでとは異なるアプローチをしようということで、スタジオの近所にある楽器屋さんに閉店ギリギリで飛び込んで購入させてもらったスライドバーを用いたギターソロを入れてみました。佐藤さんとの共通イメージは、Aerosmith「Livin' On The Edge」あたり。シブいっ!
という訳で、全曲解説も10曲まで終わりました。相変わらずとりとめない記述ですが、皆さん楽しんでもらえていますでしょうか?💦残るは3曲、どうか最後までお付き合いくださいませ💦
というわけで、MSGEXのGAKUでした!ありがとうございましたー!