体感治安
日本の治安は悪化している。
体感治安だと、そう感じる人が多いのではないでしょうか?
上記の記事で取り上げられているランキングは、日本の”体感治安”を示唆していると思いました。
実際の数字としては、治安は良化している、んですよね。
ただし、ここ最近はコロナ禍からの反動なのか、治安が悪化しています。
数字上、刑法犯罪の件数は減少しています。
また、検挙率も上昇しています。
つまり、治安は良くなっているわけです。
理由付けとして、
マスコミで報じられる、とか、SNSで拡散されるといった認知伝播が強まっているという点が挙げられるか、
経済や社会の停滞、成長感の無い閉塞感からくる心理的な面が挙げられることが多いです。
私が気になったのは、法務省が公開しているPDFファイル
犯罪の動向
という資料です。
この中で、刑法犯罪そのものは、大きく減少しているのです。
でも・・・罪状ごとの認知件数を見ると・・・
殺人
暴行
強制性交(レイプ)
脅迫
贈収賄
賭博
については、いったん減少した後、横ばいもしくは微増なんです。
上記の罪状は、マスコミで大々的に報じられることが多い犯罪です。
認知伝播も強くなっていますが、取沙汰されやすい罪状のものについては、横ばいか微増であるため、治安の悪化を体感しやすくなっている。
いわゆる複合的な理由で、体感治安が悪化しているのかな、と。
逆に大幅に減っているのが、
住居侵入
器物損壊
横領
放火
恐喝
強盗
窃盗
なんですね。
そして、ここからがミソなんですが・・・
重大犯罪も軽犯罪も 認知件数はすべて同じ重みで算出される という点です。
つまり、軽犯罪が爆発的に減ると、重大犯罪が増えても、数字上は治安が良くなった、ということが出来るようになるのです。
※)これについて言及している記事が無いのが不思議ですね。
で、過去実績を調べると、過去、凄まじく多かったのが窃盗罪や器物損壊です。
窃盗罪は、230万件から53万件まで激減しています。
主に、万引きと自転車泥棒が多いようです。
これが減少したのは防犯カメラの普及が大きな理由になっています。
また、器物損壊も、22万件ぐらいから7万件ぐらいまで1/3に激減しています。
器物損壊の代表格が、自動販売機荒らしです。
自販機が堅牢になったことで、一気に激減したんですね。
他にも多かったのが、横領罪です。
これは、10万件から2万件へ1/5にまで激減しています。
多分、IT化に伴い、現金からネットバンキングへ移行したこともあり、横領がしにくくなったことが理由だと思います。
350万件のピーク時から100万件まで激減した
という記事が多いものの、
中身を見ると、防犯カメラの影響で177万件の窃盗事件が無くなり、自販機の堅牢化によって器物損壊事件が15万件減ったということになるわけです。さらに、横領が8万件減っています。
減少した250万件のうち、約8割に相当する200万件が、上記の理由によるものだということが判明すると・・・
本当に数字上でも治安は良くなったと言えるのだろうか?
と、疑問に思えてきます。
万引き・自転車泥棒・自販機荒らし・横領
が、大幅に減ったところで、治安が良くなったとは感じにくいでしょう。
体感できるのって、せいぜい自転車泥棒ぐらいですから。。。
殺人は微減 暴行は増加、脅迫も増加。
強制性交や強制わいせつは、やや減。
という感じです。
まあ、あくまでも体感治安は体感に過ぎません。
数字上、治安が良くなったというのは、確かです。
ただ、凶悪さを感じる犯罪件数は、言うほどは減ってないよな、というのが、実際の数字です。
※)一応、減少傾向にあるものが多いのは確かです。
はたして、皆さんの体感治安はいかがでしょうか?
数字と肌感覚。
見比べてみて、どんな感想をお持ちになられましたでしょうか?
願わくば、世界一平和で治安の良い国であり続けられますように。
しがないオッサンにサポートが頂けるとは、思ってはおりませんが、万が一、サポートして頂くようなことがあれば、研究用書籍の購入費に充当させて頂きます。