ホーユーの破綻
経営者としては、身に詰まされるお話ですね。
食品提供企業のホーユーが、経営破綻しました。
社長への取材では、
「人件費や食材、光熱費等々が高騰したが、値上げできない。やればやるほどマイナスだ。」
と答えたそうです。
恐らく、ここ数年の物資急騰を受けたことや、最低賃金の急上昇により、契約段階の単価では採算が採れなくなったのでしょう。
ヤフコメ等のネット民が言う ゾンビ企業は退場しろ というのが実際に発生しただけともいえます。
日本はデフレ不況が長引いてしまったため、値上げに関しての拒絶感が凄いです。
電気料金や食料品、ガソリンの値上げといった消費者より強い立場のサプライヤーからの値上げは渋々でも受け入れられておりますが・・・
今回のホーユーのように消費者より弱い立場のサプライヤーは、そう簡単には値上げできないのです。
とはいえ、民間企業相手の場合、お弁当会社の立場は対等に近く、値上げ要求が通りやすいです。
問題なのは、公営でしょうか。
予算の関係もあり、価格の急変に対し、すぐには応じられない。
ホーユーは、公営の施設への食料提供が多い会社だったので、余計に深刻だったのでしょう。
我々製造業にしても・・・
工賃については1円も値上げされていない状態が続いています。
むしろ、トヨタのように値下げを要求してくる方が一般的です。
下流の製造業は消滅しても構わないというのが、アトキンソン等のゾンビ企業淘汰論なわけですが・・・
底辺が底辺として活動するから、中層以上はその高さを維持できる
という単純なメカニズムを理解していない人が多すぎるかな、と。
言い替えるのなら、
狡兎死して走狗烹らる
でしょうか。
利益を吸い上げる対象が消滅すれば、次は中堅企業が吸われる番です。
しかも、国は納税者だった下流の製造業従事者に対し、今度は生活保護を支払わなければならなくなるわけで・・・
残った層が、しっかりと支えないといけなくなる。
安直にゾンビ企業淘汰論を賛美する人は、納税者の減少と、社会保障費支出の大幅増を考えていないのではないか?
と思わざるを得ません。
1億総活躍時代とか言いながら、市場からの退場を促しすぎです。
人間そう簡単にコンバートやグレードアップ出来るものじゃないです。
あとどれぐらい、ホーユーみたいな案件が出てくれば、ゾンビ企業淘汰論の危険性を理解する人が過半を超えるようになるでしょうか・・・
過半が気づくまでに日本人が持つのかどうか?
はなはだ心配ではあります。