「強み」って何ですか?
取引銀行の担当者さんと面談。
経済産業省の企画で、「ローカルベンチマーク」というのがあり、それに基づく金融支援の在り方を模索中なのだそうです。
私 「おお~凄いね。良い取組だなと思います。
ところで、この企画して、人手足りるの?」
銀行「いや~・・・そこは・・・」
私 「まあ、そうだよね。答えにくくて当然。w
実務が増える現場の苦労は大変だよねえ。
でもまあ、良い企画なのは間違いないよね。」
銀行「はい。おっしゃる通りです。
で、ですね。御社の【強み】って、何だと思われますか? 」
私 「う~~~ん。その質問って答えるのが難しい・・・」
経営計画を作る際に、【SWOT分析】とか、色々と経験があるのですが、
【強み】というのは、本当に難しいです。
業界ナンバー1クラスでないと、【強み】と言えないのか? (絶対的)
顧客仕入先の中でナンバー1であれば、【強み】と言えるのか? (相対的)
【強み】を打ち出す目的は、新規開拓先を探すにしても、既存顧客への深堀をするにしても、
顧客先には、どういう仕入先があって、ウチがその中で絶対的か相対的かの【強み】を活かして提案営業が、かけられるのか?
にかかっています。(しかも、顧客ニーズがある前提で。)
理屈の上では、【SWOT分析】とか【強み】の重要性や、論理性は、分かるのです。
ところが、【強み】の普遍性を探っていくと、
『同一仕様条件での単価勝負』
に、行き着いてしまうのです。
これは、『安さ』が、顧客ニーズとして顕在化しているためです。
潜在ニーズについては、相当に深く調査しないと分かりません。
そういうこともあって、【強み】って考えれば考える程、難しくなってきます。
だから、私は、採用面接の際に、
「あなたの【強み】は、何ですか? 」
とは、聞かないようにしています。
【強み】は、評価軸をどこに置くのか?
で、変わってしまうからです。
例えば、フルマラソンを3時間で走れます、というのは、普通の人であれば、凄いおはなしになります。
でも、オリンピック代表選考を目指すマラソン選手が、同じことを言ったら、違う種目を探しませんか? と言われることでしょう。
そうなってくると、各顧客ごと、各案件ごとに評価軸の違いを想定し、
こっちの場合は強い。
あっちの場合は弱い。
という感じで、しっちゃかめっちゃかになってしまいます。
そうならない方法として、採用面接では、【個性】や【特徴】、【好きな事】という言葉で質問をしています。
この場合、他人との競争軸を外した状態(自己内省分野)で項目を選択可能になります。
でも、そうなると、経営戦略上の【強み(他と比べての優劣)】という他社との評価軸を失ってしまうんですよね。
この辺は、ジレンマです。
そこで、もう少し優劣感を感じさせる表現として【得意分野】とするのが、良いのかな? と考えたりしています。
そうなると、弊社が
【得意】とする『業務パターン』
は存在しますし、【強み】と違い、他社と比較されたとしても、変動がないからです。
ただし。
その『業務パターン』が、
顧客のニーズに合致しているのか?
競合仕入先と比較優位にあるのか?
は、別問題となります。
それでも。
新規開拓営業や、既存顧客への深堀を行なっていく場合は、
『得意とする業務パターン』による提案を基本軸にするしかないかな?
と思っています。
上手くハマれば、顧客の役に立った上で、自社も収益が上がることになりますから。
ちなみに、サラリーマン時代、私の『得意パターン』は、
企画・開発段階から参入することで、「高速立ち上げ」・「トータルコスト低減」・「ヒット率UP」を実現できること。
トラブル発生時、「原因究明」・「対症療法の処置」・「恒久的解決策の提示」を迅速に行なえること。
でした。
ただ、これらの『得意パターン』は、明確な比較対象が存在しません。
顧客は、スムーズに企画が立ち上がっても私のおかげとは認識しない場合もありますし、設計の手戻りが大幅に減るのも工数として意識されにくい。
ヒット率に関してはもう・・・企画企業のお手柄扱いになるので、言わずもがなです。
トラブルについてもそうで、対症療法の処置までは有難がられますが、恒久的解決策となると、従来の手法にこだわる抵抗に遭い、そう簡単に話がまとまりません。
そして、この『得意パターン』は、現在の会社では対外的には封印状態にあります。
サラリーマン時代は、上場企業の開発部に所属していたので、顧客からそういう依頼があったのに対し、ただの零細町工場には、そういう依頼がないからです。
それに、全社レベルで、これが出来るか?
と問われれば、「無理です。」と答えるしかありません。
属人的すぎるスキルなんですよね・・・
それこそ、「AI」に大量の事例学習と発想法をプログラミングしないといけなくなるでしょう。
とまあ、色々な雑談をしつつ、
松井製作所の『得意パターン』は、
アルミ押出形材への一貫加工が可能(切断・プレス・マシニング)
自社で生産用のプレス金型を設計・製作・メンテナンス可能
家電部品を多く手掛けてきた経験による外観品質維持力の高さ
ですね。とまあ、こんな感じで、銀行の担当者さんと、【強み】について経営談義をしました。
めんどくさいオッサンやなあ・・・
と、思われたかもしれませんねえ。
(確実に、そう思われとるなあ・・・w)
【強み】のお話が出たし、SWOT分析についても、お話する機会をつくろうかと思っています。
(フフフ・・・noteのネタに飢えているのよ。実は。って、バレバレやけど。w)
しがないオッサンにサポートが頂けるとは、思ってはおりませんが、万が一、サポートして頂くようなことがあれば、研究用書籍の購入費に充当させて頂きます。