選手への声かけで大事なこと
こんにちは。
大学の新チームが始動して2、3ヶ月が経ち、まもなく初の公式戦というところまで来ています。
ぼくは昨年度まではマネージャーとしてチームを支える立場だったのですが、今年からはチームスタッフとして、コーチ陣に混ざって戦術やスキルを考えたり、選手とプレー面でのコミュニケーションを取る立場にあります。
チームとしてもぼくの役職はある意味初めての試みでもあるので、チームにどう関わってどう貢献していくかを模索する毎日を送っています。
そんな中で最近いちばん課題だなって思うことは“声かけ”です。
どうしたら自分の考えや思いをうまく選手やコーチ陣に伝えられるか、意見を引き出せるか、選手のモチベーションや創造性を向上させられるか考え、いろんな伝え方を試してはいるのですが、なかなかうまくいかないです。
選手からも僕の声かけの仕方がよくないんじゃないかと言われることもあり、伝わらない悔しさやもどかしさも多くあります。
なので、今日は今まで得た経験や知識から、コーチとして必要な声かけについて考えていきたいと思います。
練習時の声かけの目的
コーチやスタッフが選手に声をかける目的は、
・練習内容や戦術などのプレー面での指示や説明
・各プレーに対しての確認、修正
・選手のプレーに対する理解を促す
・選手のモチベーション向上
・選手の考えや気持ちの確認
などが挙げられます。
専門的な知識を多く持ったコーチほど、自分の知識を伝えること、特に箇条書きの上3つがメインになってしまいがちのように感じます。
だからこそ僕は箇条書きの下2つの、選手自身にフォーカスした声かけが大事だと思います。
キーワードとして、
「プレイヤーファースト」
「内発的動機づけ」
の2点を挙げます。
プレイヤーファースト
スポーツにおいて優先すべきはプレイヤーです。
コーチはつい教えることが目的化してしまいがちですが、教えることなどを通した選手の成長を目的とすることが大事だと思います。
また、個人的意見ですが、僕はバスケットに関わるからにはまず選手に一番バスケットを楽しんでほしいです。
なので、選手に対して一方的に伝えるだけではなく、声かけを通して選手と双方向的なコミュニケーションを取り、選手が求めるものや考えていることを知ることが必要なのかなって思います。
内発的動機づけ
動機とは、人を行動に駆り立てる力のことです。
選手が一生懸命頑張るのには必ず理由があります。
この理由は、外発的と内発的の二つに大きく分けられます。
外発的動機づけとは、何かをすること自体は他の目的の達成のためにある状態のことです。
例えば、頑張らないと罰があるから、頑張ったら賞が貰えるから頑張ることは外発的動機づけにあたります。
それに対し、内発的動機づけは、何かをするそれ自体が目的となる状態のことです。
例えば、バスケットが好きだからバスケットを頑張るというのがこれにあたります。
内発的動機づけがなされていると、行動自体に意味を見出すことができるため、選手が主体的に取り組む姿勢を育むことができます。
この主体性こそ、僕が大切にしたいことなのです。
そのためにも、怒鳴ったり危機感を感じさせたりしてやらせるのではなく、バスケットの楽しさや目標を達成する嬉しさを感じさせ、自己肯定感を高める声かけを大事にしていきたいと思います。
選手が成長し、本当の意味でバスケットを楽しめるようにするために効果的な声かけを考えていく必要があります。
そのための具体的な方法を次で考えていきます。
練習中の伝え方の種類
練習中の、コーチから選手への伝え方として大きく2種類に分けられます。
①シンクロコーチング
練習を止めずに、かけ声的に行う声かけ。
②フリーズコーチング
練習を一時的に止め、全体に説明したり確認をしたりする声かけ。
上二つはコーチングの基本として挙げられますが、さらに、
③練習前後や休憩中の声かけ
も、声かけの手段として必要だと思います。
シンクロコーチング
メリット
・プレーを止めずに伝えることができる
デメリット
・具体的な内容を伝えることが難しい
シンクロコーチングの使い方としては、
・周知の事項の確認、強調
・選手の士気を瞬間的に高める
などが考えられます。
選手が意識できていないことを強調して、スキルやプレーなどの定着をはかることに役立ちます。
また、コーチ陣が熱く声かけを続けることで、選手のモチベーションを高め、練習環境の醸成もできると思います。
ただ、声掛けの内容や口調、声のトーンなどを工夫しないと、マイナスの効果も発生します。
具体的すぎる内容や、複雑な問いを求めるような声かけは、選手の思考をこんがらがらせてしまい、肝心のプレーが疎かになってしまいます。
1・2単語で端的にポイントをおさえることが重要です。
また、怒鳴りつけたり、選手を否定するような口調で話すと、選手のモチベーション低下につながってしまいます。
自分もヒートアップするとついやってしまいがちなのですが、あくまで選手が前向きになるような声が大事だと思います。
練習態度や雰囲気に問題がある場合は、しっかり止めて時間を作って話すことが大事ですね。
フリーズコーチング
メリット
・具体的な内容を説明することができる
・選手が考える時間を作ることができる
デメリット
・プレー時間を減らしてしまう
フリーズコーチングの使い方としては、
・練習の導入として、具体的内容を説明する
・習熟度が足りない事項や修正事項、強調事項を再説明、確認する
・練習の雰囲気や質が悪化した際に、空気を一新する
などが考えられます。
わかりやすい説明が求められることはもちろんですが、それ以上に、選手が考える余地を残した声かけや説明が大事だと思います。
フリーズコーチングで、これからする内容やそのためのポイントを全て言ってしまうと、選手はそれを遂行することに必死になります。
そうなると、ある意味やることの暗記のような形になってしまい、そこからよりプレーを良くしていくような発想が生まれなくなってしまいます。
オーバーコーチングというような、全てのことを伝えてしまうことよりも、段階的かつ選手に寄り添いながら、選手が自ら考えて成長できるようなフリーズコーチングが重要なのではないかと思います。
また、常にコーチからではなく、プレイヤーから主体的に、プレーを少しだけ止めて、確認や修正のための声かけができると、より選手自身が成長している証だと思います。(うちのチームの長所です!)
練習前後や休憩中の声かけ
メリット
・個別性があり、個の修正点をじっくりと確認、修正することができる
・時間が取れるので、双方向的なコミュニケーションがしやすい
デメリット
・プレーから時間が経ってからの声かけになるので、場面が伝わりにくい
僕が今の練習でいちばんやってる声かけは多分これです。
立場的にも、より長時間練習を止めるわけにはいかなけど、具体的な内容を伝えることができるのでよくやります。
特に僕が気をつけていることは、説明だけでなく選手の感じ方や考え方を聞くようにしていることです。
自分が正しいと思って伝えようとしたことでも、選手の話を聞いて考え直させられることがよくあります。
選手から声を聞くことで、自分の考えと選手の考えを止揚して、より良い考えを生み出すことがけっこうできるのです。
ただ、練習中の休憩や待ち時間は限られるので、持ち帰って考えたり、練習後にもう一回話し合ったりすることが大事です。
また、プレーの場面の再生のためにも、動画などの視覚資料を用いながら声かけするのはめちゃめちゃ有効です。
さいごに
声かけについて自分なりの理論として考えてみたけれど、結局は人と人のコミュニケーションに完結されると思います。
どうやったらうまく自分の考えを伝えられるか、相手の考えを引き出すことができるかを模索した上で、選手への声かけについての理論や技能を高めていければいいなって思います。
僕は大学チームでそういった練習ができる、議論を深めることができるという良い環境にいるので、その環境を最大限活用して、今後につながるようにしていきたいです。
長文になってしまいましたが、最後まで読んでくださってありがとうございました!!