レビュー/新Voを迎えてリリースされたAldiousのベスト盤「EVOKE 2012-2020」
EVOKE 2010-2020 / Aldious
2020年3月発売
バンドが新VoとしてR!Nを正式に迎え入れて初めてリリースされたアルバム。いわゆるベスト盤的な作品で,Voのみ新規にレコーディングされている(アルバムの最後に収録されている“I Wish for You”は新曲)。ただしリマスターはされているようで,音像や各楽器の音のバランスには修正が施されている。全体として音のイメージはアップデートされた印象だ。
R!Nの歌声を聴くのは実は初めてなのだが,パワフルで実に良い。芯がしっかりとしていて低音から高音まで力強く歌い上げるスタイルは時にエモーショナルでもあり,Aldiousの楽曲によくマッチしていると思う。メタル/ラウド系の日本人女性Voというと線が細くてヒステリックな感じの人が多い中,R!Nの歌声は力強くてレンジが広い。妙な癖がなくてどこまでもストレート。美しいと言うよりも,かっこいい。おそらくどんなジャンルの音楽にもマッチする声なのだろうが,楽器隊の轟音に埋もれないという意味で,メタル界にとってこの声は貴重だ。
ファンには馴染みの曲ばかりだが,どの曲もR!Nが歌うことによってオリジナに比べて迫力とスケール感が増していると感じる。Voは文字通りバンドの顔なので歌い手が替われば曲の雰囲気も変わるのは当然だが,それにしてもここまで変わるか……というくらいの変貌ぶり(少し大げさか?)。個人的にはAldiousの歴代Voの中ではR!Nの声が一番好きだ。彼女の力強い歌声のおかげて,アルバム冒頭を飾る典型的メタル曲“Spirit Black”や,高音スクリームが突き刺さる“Eversince”などは,とてもかっこよく生まれ変わったと思う。
早く全曲新作のフル・アルバムを聴きたいと思わずにはいられない。R!Nの歌声とスタイルを念頭に置いて書かれたAldiousの新曲は,間違いなく今までとは次元が違うものになるはずだ。個人的にはパワー・バラードや激しいメタル曲を聴きたい。
それにしても本作で唯一残念なのは,リ・レコーディングされたのがVoだけであること。どうなら全面的にリ・レコーディングすればよかったのに。
【収録曲】
01 Spirit Black
02 夜桜
03 Ground Angel
04 胡蝶ノ夢
05 Eversince
06 Ulimate Melodious
07 Utopia
08 Dominator
09 Absolute
10 Bind
11 Dearly
12 Deep
13 I Wish for You
※アメブロからの転載です。