レビュー/LOVEBITESの凶悪スラッシュ・チューン“Dissonance”
Dissonance / LOVEBITES
2023年2月配信開始
LOVEBITESが生み出す楽曲は,欧州の香り高い様式美あふれるメロディック・スピード・メタルが基本だ。“Shodowmaker”しかり,“Swan Song”しかり。疾走感と美しさを兼ね備えたドラマティックな曲がLOVEBITESの代名詞だと言える。
一方で,そのようなスタイルに拘泥しない懐の深さ,柔軟性もLOVEBITESの魅力である。たとえば,初期の名曲“Don’t Bite The Dust”や“Dancing With The Devil”などはロック・テイストあふれるノリのいい曲で,いずれも彼女たちの主戦場であるメタルというよりは,ハード・ロック的なスタイルの楽曲だ。
そしてLOVEBITESが持つもう一つの顔が,スラッシュ・メタルである。“Break The Wall”や“M.D.O.”などはその典型だ。Slayerの匂いがプンプン漂ういかにもスラッシュっぽい突撃スタイルのこの手の曲が,LOVEBITESのフル・アルバムには必ず1曲は収録されている。さらに,スラッシュど真ん中ではないが,“The Hammer Of Wrath”や“Thunder Vengeance”のようにスラッシュ風味あふれる攻撃的で勢いのあるタイプの曲も数多い。
この度リリースされた“Dissonance”は,今までにLOVEBITESが世に放った数あるスラッシュ・チューンの中でも邪悪さという点では随一の,極めてEvilな曲だと思う。ギター・ソロでは思わずといった感じで美旋律が飛び出す場面があるが,基本的には陰鬱で凶々しく攻撃的な雰囲気に満ちている。噛みつくようなasamiさんのヴォーカルも曲の雰囲気にマッチしていて実に良い。発売目前のニュー・アルバム「Judgement Day」への期待は高まるばかりである。