【ITSAY】Oh-aewのプレイリスト Part 2 (17-29)
前回のプレイリスト解説の続きです。引き続きドラマ本編のネタバレが含まれますので、ドラマを観た方もしくはネタバレ気にしない方のみお進みください。
参考にしていただくのは、私がI Told Sunset About YouのOh-aewをイメージしてつくったこのプレイリストです。
17. Sea of Love - Cat Power
フィル・フィリップスが1959年7月に発表した曲をCat Powerがカバーしたものです。2分ちょっとと短い曲で、キスシーンのあとの海辺でのOh-aewとTehの幸せなシーンのイメージ。
Come with me, my love
To the sea, the sea of love
I want to tell you just how much I love you
「愛する人よ、海へおいでよ。愛の海へ。君のことをどれほど愛しているのか、教えてあげたいんだ。」
18. Take Me Or Leave Me - Idina Menzel & Tracie Thoms (Musical Rent)
ミュージカル『RENT』のレズビアンカップルMaureenとJoanneの喧嘩シーンで歌う曲です。奔放なMaureenが「私をとるか、私の元から去るか」と堅物のJoanneに迫る。映画は実は見たことないんですが、ブロードウェイの公演映像を見た時からこの曲がとても好きです。お互いに譲歩しない恋人同士が凄まじい歌唱力でまくし立てるこの歌は映像だけでも鳥肌が立ちます。
キスシーンのあとの浜辺での二人の甘い時間のあとに、Oh-aewがTehに「二人の関係はどうなるの?」と聞くシーン。友達でいようと言うTehに、絶交をいい渡すところが、まさにこのTake Me Or Leave Me精神というか。このシーンのOh-aewの心情についてはずっと考えてしまうんですが、個人的にはTehに時間をあげてもよかったんじゃないかと思う反面、3話の終わりで傷つけられて、ひょっこり戻ってきたら機嫌を取るためだったのかと思ってしまうかもしれません。
なにより、Oh-aewみたいなDivaの心を揺さぶっておいて、キープしようなんて(そうは言ってないか)、傲慢ですよ!まぁ、Tehはこの時の決断にこの後泣くことになるんですが...
19. wish you were gay - Billie Eilish
歌手のBillie Eilishが昔恋していた人が自分の方を向いてくれなくて、「いっそ彼がゲイだったらいいのに」と歌った曲です。Oh-aewの思いとは逆ですが、「興味がないのは私があなたの性的指向に合わないからだったらいいのに」と問題発言も厭わない10代の赤裸々な歌詞。
好きな相手が自分を思ってくれない理由を自分以外に探してしまうやるせなさがBillieの歌声から伝わるのですが、その後実際この曲で歌っていた男の子がゲイだとカムアウトしたそう。
I just wanna make you feel okay
But all you do is look the other way
I can't tell you how much I wish I didn't wanna stay
I just kinda wish you were gay
「私はあなたを気遣ってるけど、あなたはそっぽ向いてばかり(思い返してはくれない)」「好きになるのをやめてしまいたいけどできない」
20. Pale Blue Eyes - The Velvet Underground
別離の後、Tehの象徴する青を見るたびにTehを思い出したりしないかな、と思って選んだ曲。もちろんTehの瞳は青白くはないんですが、Oh-aewのブルーな気持ちとTehのよく着ている青が情景としてこの曲に合うなと思います。
It was good what we did yesterday
And I'll do it once again
The fact that you are married
Only proves you're my best friend
But it's truly, truly a sin
Linger on your pale blue eyes
Linger on your pale blue eyes
「昨日したことはよかった もう一度したいと思ってる」「君が結婚してるのは、僕らが親友だってことしか証明しない それが何よりの罪なんだけど」
「君の青白い瞳にしがみついている」
21. Please Please Please Let Me Get What I Want – The Smiths
悲しみにくれる男にこれを聴いていてほしい、とうのはアメリカの青春映画を通ってきた人たちに共通するのではないかと思っています。短い歌詞に悲壮感がこもっています。
So for once in my life let me get what I want
Lord knows, it would be the first time
「一度でいい、望みを叶えてくれないか。神に誓って、これが初めてだから」
22. Skinny Genes - Eliza Doolittle
ここからの三曲はOh-aewのリベンジソングというか、Tehのことを忘れて受験に集中したいけどまだ好きな気持ちと、4話終盤でお情けをかけられたことに対する復讐をしたいという気持ちが混ざった選曲です。
I really don't like your arrogance
Or your policies
You're ninety-nine percent an embarrassment
Of just one qualities
「傲慢なところも駆け引きのやり方も嫌い」「99%は恥で いいところは一つだけ」
When the night always ends with a fight I'm excited
That you'll wind up next to me
I like it when you
Can I have some please of that
Satisfy my needs
「でも喧嘩をした夜は興奮する 私の隣に舞い戻ってくるとわかってるから」「私を満足させるそれを頂戴よ」
Skinny Genesはかなりセクシーで挑発的な歌詞なんですが、MVも結構性的なメタファーが使われています。
23. Fuck You - Lily Allen
Lily AllenのFuck Youは当時アメリカ合衆国大統領で共和党のジョージ・W・ブッシュに向けて書かれた歌だそうで、同性婚に反対していた反LGBTQ的なブッシュに反抗する歌詞も含まれています。
'Cause we're so uninspired, so sick and tired
Of all the hatred you harbour
So you say it's not okay to be gay
Well, I think you're just evil
「あんたの抱く様々な嫌悪に私たちは飽き飽きしてる」「ゲイはよくないって言うけど それはあんたが邪悪なだけ」
Fuck you (Fuck you), fuck you very, very much
'Cause your words don't translate
And it's getting quite late
So please, don't stay in touch
「ファックユー あんたの言ってる意味が通らないし(翻訳できない) もう遅いから 連絡してこないで」
同性への性的な欲求や恋心を受け入れられないTehに対して、ちょっと意地悪ですが、こういう歌を聴いて憂さ晴らししてほしい。Your words don't translateのところは、タイ語のドラマタイトル「君の心で僕の愛を訳して」にかけています。
24. thank u, next - Ariana Grande
アリアナのこの曲は元婚約者でコメディアンのPete Davidsonと破局した時のことを書いた曲と言われてますが、「ありがとう、次!」というなかなか厳しい歌詞にも関わらず、曲自体はメローな感じなのがいいですね。もちろんBasに告白されて付き合うことになった時のイメージです。あれだけ傷ついてたけど、Basに告白されたらそっちにすぐ行っちゃうんだ!って感じだったので。いつまでも自分たちの関係を否定したがるTehと違い、誠実に自分の思いを告白できるBasにチャンスを与えるのは納得ですが。
25. Grace Kelly - MIKA
I could be brown, I could be blue
I could be violet sky
I could be hurtful, I could be purple
I could be anything you like
「茶色にも、青色にも、すみれ色の空にもなれる 君を傷つけることもできるし、紫色にもされる* 君の望むものになるよ」
紫色は王家や高尚なものとの意味もありますが、この歌詞ではLGBTQ+のコミュニティを象徴する、クィアの文脈としての紫色で使われている気がします。
TehとOh-aewそれぞれが象徴する青と赤の混ざった色でもありますね。二人の煮え切らない関係にフラストレーションを感じ、疑問を抱えながらBasとの関係を続けるOh-aewがいたのではないかなという思いです。
26. All I Want - Kodaline
続けて失恋ソングですが、歌詞がOh-aewの切ない思いにぴったりだったので、絶対入れたかった。
But if you loved me
Why'd you leave me?
Take my body
Take my body
All I want is,
And all I need is
To find somebody.
I'll find somebody like you.
「愛していたのなら なぜ僕の元を去ったの?」「僕が望むのは 君そっくりの人を見つけてしまうこと」
You took my soul and wiped it clean.
Our love was made for movie screens.
「君は僕の魂を取り出して綺麗に磨いてくれた」「僕らの愛は映画のためにつくられたよう」
27. Ignited - Mumbi Kasumba
ケニアのレズビアン映画『ラフィキ』のオリジナルトラックからです。古い価値観に縛られる親や地元の人間を乗り越えて恋に落ちる若い女性二人の話で、去年映画祭で見ました。カラフルで明るい色彩のシネマトグラフィーとは裏腹にケニア社会の同性愛嫌悪を真っ向から描いている映画ですが、とても良い話なので、興味のある方ぜひ。
If there is a reason for love
It's you who ignites this heart
If there is a season for love
You prove it is now
「愛に理由があるなら それはこの心に火をつけるあなた」「愛に季節があるなら あなたが現れた今がそう」
28. Strawberries and Cigarettes - Troye Sivan
この曲はアメリカのゲイのティーネイジャーの映画『Love, サイモン 17歳の告白』(日本ではアマゾンで配信)に使用されていた曲です。インターネットサイトで同じ学校に自分と同じクローゼットのゲイがいるとわかり、メールで連絡を取り合う中で恋に落ち、相手が誰なのか探っていく話です。ロマコメですが、カミングアウト以外にもアウティングなど深刻なテーマも扱っています。
歌手のTroye Sivan自身がゲイを公表しているので、カミングアウトソングとして選ばれることもあるこの曲はストーリー性が高く、初恋を懐かしむような情景が浮かぶ歌詞が素敵だと思い、物語の終盤にあっていると思い、選びました。
29. Don't Dream It's Over - Crowded House
青春映画でかかるこの曲が大好きなんですが、今の所思い出せるのはジェシー・アイゼンバーグ主演の『アドベンチャーランドへようこそ』とローガン・ラーマン主演の『ウォールフラワー』かな。
参考にするために歌詞の訳を見ていたら、割とこの曲は恋愛関係についての歌だと解釈して訳している人が多く驚きました。私が高校生で初めて聴いた時は、もっと政治的な曲だと思ったんですが、人間関係についての歌詞だと言われても納得できます。
There's a battle ahead, many battles are lost
But you'll never see the end of the road
While you're traveling with me
「この先負ける争いもあるだろう でも僕と一緒に旅をしている限り道は続いていくんだ」
Hey now, hey now, don't dream it's over
Hey now, hey now, when the world comes in
They come, they come to build a wall between us
We know they won't win
「ねぇねぇ もう終わりだなんて思っちゃダメだよ」「たとえ世界が僕らの間に割り込んで壁を建てようとしても 彼らが勝つことはないんだから」
Tehが自分とOh-aewの気持ちに向きあおうと決心した時、まだ課題が残る二人だけど、不安定なTehを受け入れると決めたOh-aewの気持ちを表しているようだったので、最後にこの曲を選びました。
そして最終回かと思われた5話の最後に現れた「Part 2」の文字....まさに”Don't dream it's over”ではありませんか...?終わるなんて思っちゃダメだよ、二人の物語はまだ続いてるんだよって言われた気がして、この瞬間泣き崩れました....
永遠と自分のプレイリストの選曲を説明する狂ったブログになりましたが、とりあえずOh-aew編はここで終わりです....またTehの分もあるので、時間があったらそっちも書きます。自分のために書きます。