「プリデスティネーション」を観ながら書いた視聴録
すっかり冷めて固くなった解凍済みの冷凍パスタをほぐしながら、その映画を見る。映画の名は、「プリディスティネーション」。
注意:この記事には映画「プリデスティネーション」及び原作『輪廻の蛇』のネタバレが含まれる可能性があります!
この記事は映画を観賞しながら書いた記事です。視聴後に読みやすいように表現を変えたり、文章を削ったり足したりはしたが、大部分はそのままにしてあります。
原作は『夏への扉』をはじめとする数々のSF作品でおなじみのロバート・A・ハインラインによる『輪廻の蛇』。随分前に読んだものなので記憶は曖昧だが、おおまかな筋は覚えている、強烈に印象に残っている。
しかし、視聴を始めた段階の私の抱いた映画への印象は原作へのそれとはまるで異なった。それも仕方ないだろう。原作は短編だ。そのままやっても、二時間近い映画にはなるまい。ゆえに脚色が施されている。
その脚色こそが私にとっての本作の見所となるだろう。
(追記:)
今回の記事は視聴しながら書いていくことにした。メモを取るよりこうした方が記事に臨場感が出ると思ったからでそれになにより、こうすれば他のものに手を出す心配がない。映画へ向ける集中力を100%にはできないが、50%を切ることもないはずだ。
さて、酒場のシーンを迎えて私の期待は俄に高まった。原作通りの展開になりそうだという期待だ。私は彼の過去(ここでの彼が誰かは映画ないし原作を履修した方ならばすぐに理解いただけることだろう)、彼の出自、その真相が好きだ。
卵が先か、鶏が先か。
この言葉が出た時点で、私の期待に応えてくれる映画なのだと確信できた。
役者の演技は見事なものだった。想像以上に掘り下げられた彼の過去に、私は退屈しなかった。間もなく映画のちょうど半分の地点に差しかかる。
それにしても見事なのは演者だ。あるいはメイクか。面影の残し方のなんと巧妙なことか。
さて、時間的に考えて今、ここが物語の転換点。予想通り彼は過去へ飛んだ。春の伏線回収祭り、いよいよ開幕だ。
☆☆☆
……映画に見入っていた。気付けばもうエンドロールだ。私が昨日、『ユージュアル・サスペクツ』に集中できなかったのはもしかすると、それが未知の物語だったからなのかもしれない。
さておき、記憶が確かならば、爆弾魔は原作に存在しなかった。彼の正体はまあすぐに分かったのだが、それによって物語がより分かりやすくなり、画に迫力が出ていた。テーマ的部分の補強にも繋がっていて、とても良い改変だったと思う。
そしてなにより意外だったのは、原作を想像以上に忠実に映像化していたという点だ。まさかこんなに丁寧に映像化されるとは思ってもみなかった。失礼ながら、追加要素でゴテゴテに盛り付けられた映画を想像していたくらいだ。
総評としては最高の映画だった。原作『輪廻の蛇』が好きな方にも安心して薦められる。
また、ネタバレ上等でここまで来た原作未読の方は是非とも原作の方を読んでいただきたい。