【積読消化録】31日目『閉鎖都市 巴里〈上〉』

ボンソワー!

てなわけで本日はようやく読了しました巴里上巻について書いていこうと思います。例によってあらすじのたぐいを記述するつもりは一切ないのであしからず。

百合あじの強い作品ですね、これは。

いや、主人公の不良娘ベレッタには彼氏がいるので純粋な百合とは言えないのですが。しかし百合です。それでも百合なのです。それを今からご説明します。

主人公であるベレッタは'99年の米国から'44年の巴里にやってきた留学生。巴里という胎界に潜り込んで探るは曾祖父の関与した謎の計画! 世間的には与太話ってことになってる噂の真相を得て、あと祖母のお願いごとを叶えたりするためにちょっと昔の仏蘭西語勉強したり慣れない認識様式に四苦八苦して――なんやかんやあった末にレジスタンスと一緒にどったんばったん大騒ぎ! 独逸軍から逃げることになったベレッタ。その先で、ベレッタは一つの出会いを果たします。

出会った娘の名はロゼッタ。あらゆることをまだ知らぬ、無垢な自動人形。おっとり系の彼女にベレッタはどんどん関わってゆくことになり、日々を積み重ねていきます。そうするうち、ロゼッタもまたベレッタの方に関わってゆき、やがて二人は濃密百合的関係性を見せつけはじめます。

ちなみに、そんな本作は三人称で語られるわけでも実況型の一人称で語られるわけでもなく、文字記録の集積という形で語られます。

それは基本的に日記であり、しかし時には本の一節であったり学生の書いた論文であったり報告書であったり、そしてまた時には手紙であり――ええ、ここまで書けばおわかりいただけるのかと思いますが、ベレッタとロゼッタの逢瀬は日記や手紙に記されたものとして我々読者に提供されます。それはつまり彼女らが一人で、相手のことを思いながら文章を書いたということの証です。エモい。

あと、個人的にはロゼッタの日記に注目してほしいですね。あの演出は天才的だと思います。ベレッタによってロゼッタが変わっていくことの象徴的演出にエモみあふれてうまく言葉にできない。

色々な出来事が動き出すことについての期待も高まり、怒濤の展開が待っているであろう下巻が楽しみです。

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