読書記:「企業法制改革論」(武井一浩著、中央経済社) (2013.1.25日経産業新聞寄稿)
日本の企業法制は大きなビションや国家戦略との整合性に欠けているのではないか。
者はこうした問題意職を持ちながら、日本企業の成長を促すための企業法制は、ミクロレベルで「パイの分配」を規定するだけではなく、マクロレベルでの「パイの拡大」を越識して設計する必要があると説く。
財政・金融規制当局責任者、経済学者、経済団体の立場で企業法制に関わる専門家らと、著者が対談する形式で議論を展開。対談者に共通しているのは、経済環境の変化が激しい中で、柔軟な企業法制が必要との観点である。
法制化による予見できない影響、ビジネス法制に求められるスピード感などについても言及。日本が課題先進国であるがゆえに、解決策は外国にはない。国際競争に勝つには知財戦略が必須といった命点について、著者は専門家の意見を引き出している。貸金業規制法が本難されるべき借り手の不利益を招いたことや、米グーグルの知財戦略など、具体性のある事例に基づいているため、あっという間に読み進んでしまう。