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最近の漫画業界の動きについて

グラフィックデザイナーから漫画家になり、現在初連載作品の単行本が3巻まで出たところの新人漫画家です。
最近の漫画業界の動きに対し、他業種からきた人間としての私見を備忘録的に残しておきます。

ことのはじまり

まず、今回の漫画家業界の動きの始まりとなった事件に関しまして、いち漫画家としてとても悲しくやるせない気持ちになりました。芦原妃名子先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
事件についてはここでは触れません。誰が悪いなどとは思っていないし、私にはわかりかねることです。
個人的に今漫画家業界で起こっている動きは8年ほど前のデザイナー界隈に起こった「会社員orフリーランス」に似ているなあ、と思っております。

出版社連載漫画家orフリーランス漫画家

今のスマホ普及SNS台頭時代において出版社で連載する意義はあるのか?と数年前から度々話題になっていました。それが事件を経て著名な漫画家さんたちも赤裸々な告白をしてくださっている状況です。

特に新條先生、矢野先生の記事それぞれ興味深く拝読しました。
個人的に着目した点について下記に私見を述べます。
※先生方のお言葉を否定する意図はなく、受け止めた上での個人的見解であることをご了承ください

【2/16追記。紅林先生のnoteが数字で理論的に説明くださっててわかりやすかった】


社会的信頼性

どちらの働き方で良い悪いは全くないのですが、こと社会的信頼性を鑑みると商業出版して書籍を出している方が高いように思います。
私は漫画家よりもその他の業種の方とお会いする機会が多いのですが、その上での肌感です。「書籍をだしている」という実績は強いです。
例えば漫画家以外で考えると、一概にYouTuber、インフルエンサーと職業欄に書かれても結局は「フォロワー何人?」で信頼度を測る、かつそれは突出していないといけないように思います。 それを漫画に戻して考えると「FANBOXで稼いでます」「Amazon Kindleで漫画出してます」で社会的信頼度は幾ばくなのか、と。
誰でもできる、ということはその分、レベルもさまざまで、悪く言えば読者0の未熟な漫画をSNSで発表しても「連載漫画家」と名乗れます。

再現性

知人が個人制作の成人向け同人誌(1冊50p)を電子で出し、1万DL以上突破したのをみて、少なくとも商業誌で50pの読み切りを出すのとはわけが違う額が入っていることは容易に想像ができ、感嘆しました。
ざっくりですが商業で50p読切を書いても50万円程度、
しかしその知人はおそらく同じ50pの読切で数百万円は入っていると思います。
同じ量書いてこんなに差があるのであればなんと夢のあることか…と思いますが、その方は商業でもデビュー済みで実力は素晴らしい方です。かつXのフォロワーは数万人。
個人活動(同人誌など)で稼ぐのは商業よりかは容易いかもしれません。が、結局はその実力とファンを身につけているからこそなせることなのでは、と。
年々漫画の参入障壁は下がってきています。発表の場も増え、ライバルはこの1秒にも何人も増えています。デジタルネイティブ世代は検索力、効率化に長け、画力がメキメキ高いです。もうまっかっかのレッドオーシャンでセリフブランディングから何から何までを今から始めるのは少なくとも「容易」ではないです。できる人もいるよ、ひと握りだけどね、的な。
(商業漫画家の大変さも矢野先生の記事で書かれているのでどうぞお読みください)

単行本問題

偉そうなことを書いてしまうかもしれませんが、商業連載して電子ですら単行本が出ないのであれば原稿料がそれに見合ってない限りは、フリーランス漫画家として同人誌やkindleで活動した方が収益にはつながりそうだなと思います。
※もちろん、作家の方々は単行本が出ないことを承知の上で何かを見出して連載されていると思うので悪く言いたい訳では無いです

結局は向き不向き

デザイナーの会社員orフリーランス論争とおなじく、両方にメリットデメリットがあり、どっちが自分に合っているか?なのではないかと。
特にSNS運用方法について、デザイナーの場合は対企業なのでそこまで注力しなくてもよいですが、フリーランスの漫画家となると一般読者(消費者)相手なのでいかにフォロワーを増やすか、に心血を注ぐことになります(かつそこまでやっても矢野先生がおっしゃる通りSNSは市場の一部)。それが私には厳しい。常に数に追われるのはきつい。加えて、「極論サービス終了したら終わりじゃん」と考えてSNSをしています。

商業出版もいまやwebtoonの参入でまた新しい形も根付きつつあります。一番はクリエイターが作品と自分を守りつつ健康に楽しくお仕事できるのか?というところではないでしょうか。私は出版社相手でしかお仕事をしたことがない(連載漫画においては)ので、他を知りません。経験することで見えることは大きいと思うので、自分なりの最適解を模索していこうと思っています。

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あゆずまさき
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