不動産の表示の書き方
登記申請において、難しいパートである不動産の表示について少し説明しましょう。
不動産の表示とは、登記申請書の中でも、以下のBOXのパートを指します。
これらの情報は不動産の登記簿謄本に記載があるので、このパートを作成する際は、不動産の登記簿謄本から各々の情報を一つ一つ拾って転記します。
不動産の表示の登記の書き方は、相続登記に限らず、売買による所有権移転や抵当権の設定・抹消の登記申請の際にも同じように書きます。
司法書士は業務支援システムを導入している事務所が多い為、この不動産の表示のパートはシステムのおかげで今や一瞬で済ませることができます。
自分で相続登記を申請する場合、まずはこのパートで困難を感じることと思われます。
拡大すると、以下です。この法務省の例は一番シンプルな不動産の表示の情報の場合です。一見簡単に見える。しかし、実はいろいろなバリエーションがあって相当ややこしいです。
不動産番号 1234567890123 ←このパートは無くても可
所 在 ○○市○○町一丁目
地 番 23番
地 目 宅地
地 積 123・45平方メートル
なお、法務省によると「不動産番号を記載した場合は、土地の所在、地番、地目及び地積(建物の所在、家屋番号、種類、構造及び床面積)の記載を省略することができる」とのことです。
しかし、実際には、不動産番号も記載し、所在や地番等も記載するのが一般的です。
不動産番号だけを記載して以下余白の申請書は見たことがありません。でも、司法書士ではない個人の申請だと、OKなのかもしれません。
もしも、本当に不動産番号だけの記載でOKなのであれば、そのような記載例を法務省は用意してくれていると、勇気を持って不動産番号しか記載しないのにと思ってしまいます。
不動産番号だけの記載だと、随分とラクさせてもらうことができます。
ややこしくなる代表例は、マンションです。
マンションには「敷地権化されているマンション」と「敷地権化されていないマンション」があります。
だから、対象不動産がマンションの場合、まず、「敷地権化されているか否か」を登記簿謄本から読み取ります。
登記簿謄本の中の「敷地権の表示」という語句を探してください。だいたい、最初の方の欄にあります。
「敷地権の表示」という語句がない場合は、「敷地権化されていないマンション」ということになり、敷地権については考慮しなくて大丈夫です。
「敷地権化されているマンション」の場合、①一棟の建物の表示、②専有部分の建物の表示、③敷地権の表示の3つの流れで記載します。
マンションも、不動産番号を記載した場合は、「土地の所在、地番、地目及び地積(建物の所在、家屋番号、種類、構造及び床面積)の記載を省略することができる」とのことです。ただし、不動産番号を記載した場合であっても、「敷地権の種類」及び「敷地権の割合」の記載を省略はできない点は注意です。
なお、敷地権は1個とは限りません。複数の土地を敷地権として設定されているマンションもあるので、登記簿謄本に記載のある敷地権を漏れなく全て記載しなければなりません。
更に、敷地権は「宅地」だけではありません。「地目」部分が「車庫」や「公衆用道路」等が敷地権として表示されている場合。勿論、これらも敷地権として上記の情報を表示しなければなりません。
そして、「車庫」等に個別で家屋番号がある場合は、その家屋番号の登記簿謄本を取り寄せて中身を調査する必要があります。
「個別で家屋番号があるかどうか」は、市役所等で取り寄せた「固定資産税公課証明書」「固定資産税課税証明書」に家屋番号の記載があります(しかし、親切に「家屋番号」とはタイトルされているわけではないので、どれが家屋番号かは解りにくいです)。