「エンジニアは特別な仕事ではない」ワイナリー共同オーナーをしながらユニコーン企業で働く女性エンジニア
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女性に「エンジニア」という新キャリアを提案するMs.Engineerでは、エンジニアというキャリアを選んだ女性たちのインタビューお届けします。
第二回目は、アメリカに住みながら、Mercari, Inc.(メルカリ米国事業)のソフトウェアエンジニアとして活躍する大島孝子さん。小学生のとき、担任の先生がパソコン好きだったことがきっかけでホームページの運営やプログラミングを始めます。高校ではパソコン研究部で「コンテスト荒らし」という二つ名を持つほど様々なコンテストに出場し、入賞。渡米後に、IoTで当時最大級のハッカソンで全米1位を獲得し、同年にAT&TのWoman in Techを受賞。ソフトウェアエンジニアとして活躍する傍ら、ワイン好きが転じてワイナリー SUNSET CELLLARSの共同オーナーも務め、ソムリエの資格にも挑戦しているそうです。そんな大島さんは、「エンジニアは、特別な仕事というわけではない」と言います。その言葉に込められた背景をお聞きしました。
自分で作れることが楽しくて、その頃はそれがプログラミングだと知らなかった。
ーーパソコン自体に興味を持ったのは、小学生の時と聞きました。
大島:はい。当時、担任の先生がパソコン好きだった影響があり、パソコンに興味を持ち始めました。自分の家にはまだなかったので、パソコンがある友達の家で、ゲームをしたりして遊んでいましたね。
大島:中学生になってパソコンを買ってもらいました。中学2年生頃には、Yahoo!ジオシティーズでホームページを作ったりして遊んでいたのですが、当時使っていた掲示板の色を、どうしても好きな色に変えたくて…。色を変える方法を調べて自力で変えたのですが、その掲示板はPerlという言語で書かれていて、コードを書き換えて掲示板の色を変えていたので、まさにプログラミングをしていたんです。当時はこれがプログラミングだという自覚はありませんでしたが。
ーー高校生では更にプログラミングにのめり込んでいったんですか?
大島:高校ではパソコン研究部に所属していました。憧れていたAdobe製品
(PhotoshopやIllustrator)が使えると知って、ぜひ使いたい、と。当時、子どもだったので、なかなか価格が高く手に届くようなものではなかったんです。
大島:とにかくものを作るツールをたくさん使ってみたい!という感じで。ゲームもホームページも、あれこれしたい中の一つの手段でした。入部してからは他の部員と一緒に多くのコンテストに出場して、「コンテスト荒らし」と呼ばれたこともありました。
ーーコンテスト荒らし!すごい、かっこいいです!
大島:コンテストの表彰式とかで東京に行けたりして…色んな人と出会えて、本州に友達が出来たり。今はこうしてアメリカでエンジニアをやれているので、プログラミングが私を世界に連れ出してくれたというか、プログラミングが世界と繋がる手段だったからこそのめり込んだのかもしれません。
個人の趣味開発から集団開発へ。自信を喪失した新卒1年目。
ーーそれじゃあ、就職してからも向かうところ敵なしだったんじゃないですか?
大島:それがそうでもないんです。サイバーエージェントに新卒で入社したときは、一人前とは全然言えなかったです。
ーーえっ!意外です…
大島:やっぱり、学生が個人で趣味の開発をしていたのと、社会人が集団で仕事の開発をするのでは、かなりギャップがあって。
例えば、学生だった頃は「金曜までにリリースしよう」と仮に目標を立てたとするじゃないですか。開発がスムーズにいかなくても、どうにか金曜日に間に合わせれば良いんです。それに締め切りはあってないようなものなので自分都合でずらせたりしますよね。
大島:でも社会人の集団開発はそうはいかない。そもそも個人都合でリスケできませんし、例えリスケするにしても社内調整が必要です。それに、先輩がすでに書いているコードのルールに則ってプログラミングしていかなきゃいけません。とある変数の名前をつけるセンス一つとっても個人で開発していたときとは勝手が違って…
ーーかなり苦労されたんですね。
大島:はい。エンジニアに向いてないんじゃないかと思いましたね。
Gitというプログラムのソースコードなどの変更履歴を記録するための管理システムがあるんですが、そのコマンドを間違えてデータを手元から消してしまったりとか、自分の作業工数の見積もりが甘くて締め切りが守れなかったりとか…自分の中で設定したゴールに到達できなくて、自信がなくなってしまったんです。
ーーどうやって自信を回復していったんですか?
大島:地道に、日々の仕事のちょっとした成長の積み重ねです。幸いにも、真横に先輩がいて何でも相談できましたし、1on1も定期的にやってもらっていました。それに、その日にやったことのタスクをチェックしたり、本を読んで知識をつけたり、そういう地道な積み重ねで、エンジニアとしての自信を取り戻して行きました。
ーーでは、一人前になるまで、どれくらい時間がかかりましたか?
大島:エンジニアとして食べていけると思ったのは、最初の会社で部署異動したときなんです。これまでとは違ったプロダクト、しかも自分以外の人が作っているものを作っている途中から触らなければなりません。方針や文化をキャッチアップしながら開発が出来たときに初めて「場所が変わってもエンジニアとして食べていける」と思ったんです。
大島:社会人になってから、先輩がいてフィードバックをもらって、自分が足りない部分を知ることができました。ずっとプログラミングをしてきましたが、社会に出てからの方が、エンジニアとしての自覚があるんです。
ーー社会人の集団開発を経験してから、変化したことはありますか?
大島:学生のときは、プログラミング自体の本ばかり読んでいたんです。それが社会人になってからは、リーダブルコードとか、アプレンティスシップパターンとか、プログラミングを通して人との関わり方をどう構築していくかという思考にシフトしていきました。
大島:やっぱり集団開発ってどこまでも難しいのですが、人と働くと自分の想像の範囲で収まらないことがたくさん起こってきます。それが面白いなと思いますね。
ーー他にもどんな勉強をしているんですか?
大島:1つ上のレベル、例えばシニアエンジニアとして働いていくには、誰かに教えてもらうのではなく、自分で勉強していく必要があり、その勉強方法や習慣の型を身に着けておくと良いとアドバイスをもらったことがあります。
大島:具体的には、カバンの中に論文は1個必ず入れておいて、時間が出来たら読む…という感じです。暇になって携帯いじるくらいなら勉強しようと。
昨年はワインのソムリエ登竜門の資格(Court of Master Sommeliers Level 1)をとったのですが、エンジニアとしていつもやっている勉強の仕方で勉強していきました。仕事以外でも自分がエンジニアだなと思いましたね。
エンジニアという仕事が人生の選択肢を与えてくれる
ーー自分の性格や過去経験したことが、エンジニアとして仕事をする上で役に立ったことはありますか?
大島:日本語もコードもそうなんですが、「文章を読む力」だと思います。サービスで障害が起こった時や、開発中に行き詰まった時、焦って困ったりすることもありますが、そういうときこそ一旦読む。エラーの文章や、公式ドキュメントにコタエのヒントが書いてあったりするんです。
大島:エラー文章を何も考えずにコピペして検索して対処することも出来ますが、ちゃんと読んで、原因を調べて直したら、うまくいくんです。だから、しっかりと文章を読む力、大事だと思っています。
ーーエンジニアを選んで良かったと思うことはありますか?
大島:私は高校生の時から、多くのコンテストに出場してきました。表彰式で東京に行けたり、多くの人と出会えたり、そして今もこうしてアメリカで働けています。プログラミングは、自分が想像していた人生よりたくさんの選択肢を与えてくれたと思います。そういった意味ではエンジニアを選んで本当に良かったと思います。
ーーエンジニアに向いていると思う人はどんな人でしょうか?
大島:好奇心が旺盛な人でしょうか。エンジニアにとって、技術を深く知ることが非常に大事ですし、サービスで障害が起きたときも、「なぜ起きたの?」「次はどうしたらいい?」って、自分で深くWHYを続けられますよね。「5WHY分析」ってあると思うんですが、好奇心が旺盛な人は、WHYを追い続けられる思うんです。
大島:そして、好奇心と同じくらい大切なのが、粘り強さだと思います。エラーが出ても、自分で調べて、原因を理解して、またコードを書いて…と、動くようになるまでやりきることが大事です。
でも…向き不向きはあるかもしれませんが、エンジニアって、「特別な仕事」というわけではないと思っています。
ワイナリーの共同オーナーをしながらソフトウェアエンジニアとして働く
ーーエンジニアは柔軟な働き方ができるイメージがあるが、実際はどうですか?
大島:もちろん会社によりますが、柔軟です。私は、同じ時間に起きて、同じ時間の会議に参加する、といったことが苦手で、朝4時とか5時まで仕事をして昼の11時に起きるなどマネージャーと調整させてもらっています。
大島:それに、私の業務はパソコンがあれば割とどこだって仕事ができるんです。ワイナリーの共同オーナーをやっているんですが、パソコンを持ってワイナリーへ移動して、コードを書いたりレビューしたり…といった働き方をする日もあります。アメリカでも日本でも仕事ができるので、場所の制約が少ないですよね。
ーー寝ないでプログラミングすることもあるんですね…!
大島:夜2時にスイッチが入っちゃって、朝4時、5時までコードを書いてることもありますね(笑)
頭の中で構想を練って、書いてみて、直して、エラーがでて、また書いて、直して、動かして…と。最初は、どうしようとかなり悩んでいても、動いたときはめちゃくちゃおもしろいんです。
ーーじゃあ、時間をかけて動かせたときの方が嬉しかったりするんですか?
大島:それはないですね…「なんでもっと早くその回答にたどり着かなかったんだ!」という自分の至らなさを感じてしまうというか、悔しいんですよ。それが一瞬で思いついていたらかっこいいんでしょうけど…。昔から負けん気が強いのですが、それが技術力の向上に結びついているのかもしれません。
ーーエンジニアは男性が多いイメージがありますが、その中で女性エンジニアだからこそ求められていることはありますか?
大島:無いと思います。男女という性差関係なく働けるのがエンジニアという職業です。ただ、もし女性エンジニアが少なくて目指しにくいと思う方がいるのであれば、活躍して成果を上げるというのが私たちのやるべきことかなと思います。
大人だって、「自分でパソコンを開いてやってみよう!」と思った時スタート地点に立てる
ーー迷っている人への後押しメッセージをお願いします。
大島:最終的にエンジニアにならなかったとしても、プログラミングやエンジニアリングを理解しその考え方を持っているだけで、すごく人生にプラスになると思うんです。例えば、手間がかかって面倒な作業があったとして、それを自動化できないかな?とか、いつもやっていることをもっと楽に出来ないかな?と、考える癖ができるんです。それって、どんな仕事でも、どんな職種でも、普通に生活していくなかでも役に立ちますよね。
大島:それに、色んな捉え方があると思いますが、私は自分でパソコンを開いてやってみよう!と思った時点で、スタート地点に立っていると思うんです。私は子どもの頃からプログラミングに慣れ親しんできましたが、「子どもだからできる」のではなく「子どもでも飛び込める世界」です。子どもでも飛び込めるのだから、大人でも飛び込めるはず。プログラミングの門戸は誰にでも開いています。
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