【全日本モトクロス Rd.8 埼玉トヨペットCUP🇯🇵ハイライト】
IA1
IA1クラスはウィルソンのチャンピオンが確定はしているものの、全戦優勝がどこまで続くのか期待がかかる1戦。また今回大きな注目を集めたのがHRCが開発する電動モトクロス「CR ELECTRIC PROTO」のスポット参戦。そしてそのマシンに跨るのは2010年にAMAモトクロス250ccクラスチャンピオンで現在はアメリカホンダモーターのアドバイザーを務めるトレイ・カナード。電動というと四輪では既にFormula Eが世界選手権となって、二輪ではMotoGPの併載でMotoEが一部ラウンドで行われてオンロードの分野では地位を確立しつつあるところですが、オフロードのモトクロスではどのような走りを見せてくれるのか?注目が集まる参戦となりました。
ヒート1(15分+1周)
優勝:ジェイ・ウィルソン🇦🇺(YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM)
2位:トレイ・カナード🇺🇸(Team HRC/HONDA電動)
3位:内田篤基(Yogibo MOUNTAIN RIDERS/KAWASAKI)
ウィルソンが後続を20秒以上引き離す圧勝。2位にはなんと電動マシンを駆るカナードが入りました。
レースはスタート直後2番ポストを回ったところで複数台が転倒するアクシデント。映像で確認できたのは大倉、大城のBellsチームメイトを含む3台?が少なくとも転倒してたように見えました。大倉は残念ながらリタイアとなりましたが、大城は15分という短いヒートで最終的に10位まで挽回したのは流石でしたね。
ヒート2(15分+1周)
優勝:星野優位(レーシングチーム鷹/STAR Racing 166/YAMAHA)
2位:大倉由揮(Honda Dream Racing Bells)
3位:ジェイ・ウィルソン🇦🇺(YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM)
電動モトクロッサーのカナードがホールショットを奪い、ウィルソンは4番手で最初のコーナーを通過。ウィルソンはすぐさまポジションを奪い返しオープニングラップはカナードがトップ、ウィルソンが2番手で通過します。そしてフィニッシュライン後の11番ポストでカナードのインに飛び込んだウィルソンでしたが2台がなんと接触!しかも不運なことにウィルソンのリアタイヤにカナードのハンドルが引っ掛かってしまい2人は大きくタイムロス。ウィルソンはリスタート出来ましたが、カナードはリスタート出来ずリタイアとなりました。
その後トップは大倉そして星野が2位で追う展開。そこから残り6分となったところで星野が大倉を抜いてトップへ浮上!その後は大倉を2秒引き離し今シーズン日本人初のIA1クラス優勝を飾りました。星野にとっては怪我からの復帰戦、本当に嬉しい勝利となりました。2位には大倉、そして3位にはなんとウィルソンが一時は15番手まで落ちたところから圧巻の走りで挽回してきました。最後はトップから3.5秒差のフィニッシュ。連勝記録はここで途絶えてしまったものの、迫力ある走りを見せてくれました。
ヒート3(15分+1周)
優勝:ジェイ・ウィルソン🇦🇺(YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM)
2位:大倉由揮(Honda Dream Racing Bells)
3位:内田篤基(Yogibo MOUNTAIN RIDERS/KAWASAKI)
カナードがこのヒート3もホールショットを奪います。それに続くのはウィルソン。しかしカナードは2周目に滑ってしまい転倒するとヒート2と同じくリスタートが切れず残念ながらリタイアとなってしまいました。そうするとレースはウィルソンがトップに浮上。大倉、内田がそれに続きます。レースはその後3者の間隔は徐々に広がり、最終的にはトップ3は順位変動なくフィニッシュを迎え、ウィルソンは今季20勝目をマークしました。
IA2
IA2クラスはチャンピオン争いが接近して非常に高い緊張感の中で行われたラウンドでしたが、それをさらに激しいものにしたのがドイツからの刺客、ブライアン・スーの緊急スポット参戦。ヨーロッパのトップライダーがオフロードヴィレッジでどのような走りを見せるのか注目が集まりました。
ヒート1(15分+1周)
優勝:ヴィクトル・アロンソ🇪🇸(AutoBrothers/YAMAHA)
2位:ブライアン・スー🇩🇪(Team YAMAMOTO/HONDA)
3位:鴨田翔(Kawasaki PLAZA 東大阪/KAWASAKI)
スタート直後は福村、池田がリードするも残り6分でアロンソが先頭に躍り出て後続を引き離し優勝。スーも最初は8番手あたりを走行してましたが徐々にポジションを上げ残り3分で一気に2位へ浮上。最終盤は鴨田と僅差で争いましたがスーが逃げ切り2位でフィニッシュしました。
ヒート2(15分+1周)
優勝:鈴村英喜(TEAM HAMMER/HONDA)
2位:鴨田翔(Kawasaki PLAZA 東大阪/KAWASAKI)
3位:ブライアン・スー🇩🇪(Team YAMAMOTO/HONDA)
15分が経過しラスト1周に突入するまでアロンソがレースをリードし連勝になるかと思われましたが、ファイナルラップでトラブルが発生しまさかのストップ!リスタートできずまさかのリタイアとなりました。
鈴村は最後まで鴨田、スーの追撃に遭いましたがなんとか逃げ切り初優勝を飾りました。
ヒート3(15分+1周)
優勝:ブライアン・スー🇩🇪(Team YAMAMOTO/HONDA)
2位:ヴィクトル・アロンソ🇪🇸(AutoBrothers/YAMAHA)
3位:横澤拓夢(TKM motor sports いわて/HONDA)
スーがホールショットを奪うとそのまま単独走行へ。アロンソはスタートで出遅れ序盤8番手9番手あたりに沈むもそこから挽回の走りを見せます。3番手まで追い上げ残すは2位走行の横澤でしたがファイナルラップへ突入。最後まで手に汗握る攻防を繰り広げる2人でしたが最後はアロンソが横澤の隙を突いて2位へ浮上。流石にスーは10秒先だったためそこまでの追い上げは叶いませんでしたが、アロンソは見事な追い上げで2位フィニッシュ。スーはスポット参戦で素晴らしい走りを披露し優勝を飾りました。
LMX(レディース)
レディースクラスはこちらも15分+1周のヒートで行われました。
ここまで行われた各レースによって生まれた深い轍が難しいレースを予想させます。注目は本田七海と川井麻央のチャンピオン争い。その差は僅か2pt!
どんな争いを見せてくれるのか?
優勝:川井麻央(T.E.SPORT/HONDA)
2位:本田七海(bLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルド/YAMAHA)
3位:川上真花(bLU cRU YSP大阪箕面/YAMAHA)
川井が見事なスタートで1周目からリードを奪いレースをコントロール。本田も負けじと喰らいつきますが2秒のギャップをなかなか縮めることが出来ません。しかし終盤、周回遅れの攻略に川井が苦戦する間に本田が一気に川井の背中に迫ります。しかし右コーナーを回る際に本田が川井のリアタイヤに接触してしまい転倒!川井は転倒することなくトップを独走、本田はレースに復帰。幸い後続とのギャップをしっかりと築いていたため順位を落とすことはありませんでしたが、最終的に川井が逃げ切り優勝、本田が2位という結果になりました。
ランキング
IA1
1位:ジェイ・ウィルソン 516pt
2位:大倉由揮 275pt
3位:内田篤基 264pt
4位:富田俊樹 254pt
5位:大城魁之輔 221pt
ウィルソンのチャンピオンは確定してますが2位争いは熾烈。大倉が優勢ではありますが内田、富田もまだ狙える距離にいます。最終戦でこの戦いがどうなるのか?
IA2
1位:ヴィクトル・アロンソ288pt
2位:横澤拓夢 260pt
3位:中島漱也 232pt
4位:鴨田翔 221pt
5位:池田凌 198pt
アロンソがヒート2リタイアだったもののヒート1優勝、ヒート3の2位が効いて横澤に対し28pt差とリードを広げることに成功。参戦1年目チャンピオンがいよいよ見えてきました。しかし、最後まで何が起きるのか分からないのがモトクロス。横澤の逆襲にも注目したいところです。
LMX
1位:川井麻央 141pt
2位:本田七海 138pt
3位:箕浦未夢 80pt
4位:瀬尾柚姫 78pt
5位:川上真花 77pt
今回のレースでチャンピオン争いは逆転。川井が優勝したことで本田に対し3ptリードし最終戦に向かいます。この僅かな差ですので、最終戦はもはや買った方がチャンピオンも同然。またランキング3位争いも非常に僅差で熾烈な争いになってきました。チャンピオン争いはもちろん、この3位の戦いも見逃せないですね!
総論
今回は全クラス本当に見応えのあるイベントとなりました。
IA1はウィルソンがヒート2で残念な転倒がありましたが見事な追い上げを見せてくれました。そして星野が嬉しい復帰戦優勝、今季IA1日本人初優勝を飾り多くの方が感動したと思います。
また今回はHONDAが電動のCR ELECTRIC PROTOを実践投入したのは非常に大きかったですね。ヒート2, 3のリタイアは残念だったものの、電動マシンのスピードは本当に凄かった。
先にも述べた通りオンロードでは四輪でも二輪でも既に電動マシンによる国際レースが進んでいるので、この流れはオフロードにもやってくるのではないかと思います。
それを考えたときに、YAMAHAはトライアルで電動バイクを開発してますが、HONDAは電動モトクロスという世界で一歩リードしたのかもしれないですね。
マシンの名前の通り、恐らくこれはプロトタイプだと思われます。
今回の参戦データを基にさらに開発を進めてくると思われるので次の参戦が楽しみですね。
IA2ではスポット参戦のスーが3ヒートとも表彰台に登り最後のヒートでは優勝も飾って実力を示しました。またいつの日か参戦してほしいところです。
ヒート2での鈴村の初優勝も素晴らしかったですね。
LMXは接触はしたものの川井と本田が本当にアツいバトルを見せてくれました。今回のレースでLMXが行われるのはIA1、IA2のヒート1やヒート2を終えた後になるため路面が荒れて轍が深くなっており、そういう面での難しさがあることを感じました。僕自身モトクロスを見始めたのがこの1−2年の話なので、1戦1戦が学びの連続です。今回も今までにない気付きを頂きました。
次戦
さて、次戦はいよいよ最終戦MFJ GP。舞台はスポーツランドSUGO。山の地形を生かしたアップダウンの激しいレイアウト。IA1はチャンピオンが決まってるものの、IA2そしてLMXは最後までチャンピオン争いがもつれ込みました。栄冠を掴むのは一体誰なのか?全者悔いのないレースをして2023年シーズンを終えてほしいですね。
最後の一戦まで、見逃せません!
※サムネイル写真はJMX Promotion公式Xより引用。