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【MotoGP Rd.20 ソリダリティGP🇪🇸決勝ハイライト🏍💨】


MotoGP

ハイライト

24周に渡った決勝レース、様々なバトルとドラマがそこにありました。この24周は単なる24周ではなく、2024年シーズンを総まとめする時間でした。そんなレースを制しトップでチェッカーを受けたのはフランチェスコ・バニャイヤ🇮🇹(Ducati)!予選、スプリント、そしてこの決勝、この週末をパーフェクトな結果で締めくくり今季11勝目を飾りました。

2位にはマルク・マルケス🇪🇸(Gresini/Ducati)が入り、そして3位にはこの1年最もポイントを重ねたこの男、ホルヘ・マルティン🇪🇸(Pramac/Ducati)が飛び込み、念願の2024年MotoGPワールドチャンピオンをその手に掴みました!9位以上でフィニッシュすればチャンピオンになれるという圧倒的有利な状況ではありましたが、それでも2輪はワンミスが即リタイアに繋がる非常にシビアなモータースポーツ。いくらクルージングで良いと言っても気を抜くわけにはいきません。最後まで本人が一番ドキドキだったと思いますがキッチリと3位に入り自身の初タイトルを表彰台で飾ることが出来ました。

一旦レースを振り返りましょう。スタートはバニャイヤがPPから綺麗な蹴り出しでホールショットを勝ち取ります。マルティンは4番グリッドからそのままPPのバニャイヤの背中を追い2番手、M.マルケスが3番手でレースが始まります。

しかし2周目のターン1、M.マルケスはマルティンのインに飛び込み2番手へ浮上。マルティンは9位以上でのフィニッシュで自力チャンピオン決定となるこのレースで無理はしません、3番手へ後退します。

激しい戦いとなったのは4番手争い。このレースがラストランとなるA.エスパルガロ🇪🇸(Aprilia)とバスティアニーニ🇮🇹(Ducati)が激しく競り合います。2人とも簡単には食い下がりません。

一方でトップ争いも僅差でM.マルケスがバニャイヤを追いかけます。バニャイヤはマルティン次第ではあるものの逆転タイトルのために何がなんでも勝利が欲しいところ。ポジションを守ります。

4位を争っていたバスティアニーニでしたが自身のミスでオーバーランを喫し7番手へ後退。表彰台からも遠のいてしまいます。

バスティアニーニの後退で4番手に浮上したA.エスパルガロでしたが、次に襲いかかってきたのはA.マルケス🇪🇸(Gresini/Ducati)。サイドバイサイドでA.エスパルガロを攻め立てます。

後退したバスティアニーニでしたがペースがあることには変わりなく、今度はアコスタ🇪🇸(GASGAS Tech3/KTM)やビンダー🇿🇦(KTM)と激しく6番手のポジションを争います。クローズバトルはどの順位であれ手に汗握りますね。

レースもいよいよ終盤、マルティンは一時バスティアニーニやA.エスパルガロが接近し4番手後退の可能性もありましたがそれを振り切り3番手のポジションを固いものにします。夢の瞬間まで残り5周、このまま無事に終わるか?

トップ3はそれぞれ単独走行になりポジションも固いものになっていきましたが4番手争いは終盤も接戦。A.マルケスがA.エスパルガロに襲い掛かり、この映像には映ってませんが最終的にはA.マルケスが4番手へ浮上します。

そしてレースはファイナルラップに突入。バニャイヤはこのレースPPからスタートしてホールショットを奪い、1度もリードを譲らずトップチェッカー。しかし、チャンピオン決定の瞬間を捉えるべくカメラはマルティンの方を捉えバニャイヤのフィニッシュはまさかのワイプでのお届け(^◇^;)
バニャイヤは完璧な走りでこのレースを制しました。

フィニッシュ後は多くのライダーがマルティンの元に集まり祝福。4輪と違って2輪はこんな風にお祝い出来るのか本当に微笑ましいです。

チャンピオンとなったライダーは大体パルクフェルメに戻ってくる前にコース内のどこかでお祝いの催しがあります。今回はターン12の内側にステージが作られ、マルティンのニックネームである"マルティネーター"の由来となった某ハリウッド映画をオマージュしたセレモニーを演出。特製のスーツに着替え、チャンピオンの特別ヘルメットを手に取り、チャンピオンになったことを噛み締めます。

そして止めていたマシンのゼッケンはなんやかんやしている間に88からチャンピオンだけが使用を許される「1」へ張り替え。たまーに雑なこともありますが、今回は綺麗に貼れてます(笑)。

パルクフェルメに戻ってからはチーム、そして家族と抱き合って歓喜の瞬間。モータースポーツは決して1人の戦いではない、色んな人の力があって1台のマシンが作られ、ライダー(ドライバー)はその想いを一心に背負って戦う。まさしくチームスポーツなのです。そんな仲間と喜びを分かち合う、最高の瞬間ですね。

優勝したバニャイヤはパルクフェルメでマルティンを祝福。お互いをリスペクトしてここまで戦ったのがすごく分かります。

日本勢の結果はYAMAHAのクアルタラロ🇫🇷が11位、リンス🇪🇸はペナルティが重なり21位でフィニッシュ。HONDA勢はザルコ🇫🇷(LCR)が14位、マリーニ🇮🇹(Repsol)16位、レギュラーライダーとしてラストランの中上🇯🇵(LCR)は17位、ワイルドカード参戦のブラドル🇩🇪(HRC Test Team)は22位、ミル🇪🇸(Repsol)はリタイアに終わりました。

本音を言えば中上にはポイント圏内でフィニッシュして欲しかったですが、現状のマシンを考えるとこれが精一杯だったでしょう。FP1では転倒がありながらもトップタイムをマークし最後まで我々を湧かせてくれました。とはいえ、引退ではなくあくまでレギュラーライダーから退くだけ。来季からはHRCのテストライダーに就任し開発に直接携わります。この中上のポジションは非常に重要でMotoGPにおけるHRC復活の鍵になると思われます。来季もどこかしらのGPでワイルドカードで走ることはあると思われますし、次の彼の活躍を楽しみにしましょう。

中上と同じくこのレースでレギュラーライダーから退くA.エスパルガロは途中まで激しく表彰台を争い、最後は5位でフィニッシュ。これで退くとは思えない非常に力強い走りを披露してくれました。フィニッシュ後はピットで多くの仲間に囲まれ、ヘルメットで見えませんが涙は逃れられなかったでしょう。来季からはHRCのテストライダーに就任、彼のここまでの経験を活かしてまたトップグループで戦えるHONDAマシンの開発に期待したいですね。

ポイントスタンディング

この週末を終えての最後のポイントスタンディングはこちら。

マルティンが最終的に508ptものポイントを重ねチャンピオンを獲得。バニャイヤは10pt届かず2位に終わりました。振り返れば年間20戦を戦い決勝レース最多勝はバニャイヤの11勝(スプリントは7勝)、マルティンはなんと僅か3勝(スプリントは7勝)でこれはM.マルケスと同数になります。マルティンが圧巻だったのはその安定感で、スプリントも含めた40レースでリタイアは僅か3回。バニャイヤは8回もリタイアがありました。またマルティンはリタイア以外の37レースで表彰台を逃したのは5回、つまり完走すればほぼ確実にTOP3に位置し、特に2位フィニッシュは16回も数えます。一つひとつのレースで言えば悔しい結果だったかもしれませんが、その積み重ねが今回のチャンピオンへと繋がっていきました。
来シーズンはApriliaへ移籍し、チームもマシンのメーカーも変わりますがこの安定感は今後も脅威になるでしょう。

Moto2

優勝:アロン・カネット🇪🇸(Fantic)
2位:マニュエル・ゴンザレス🇪🇸(Gresini)
3位:ディオゴ・モレイラ🇧🇷(Italtrans)
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4位:小椋藍🇯🇵(MT Helmets)

ハイライト

レースを制したのはカネット。PPを獲得してましたがスタートで大失敗し1周目は9番手まで後退。しかしそこから力強い走りで4周目にはトップへ返り咲き。オーバーテイクの難しいMoto2でこの追い上げは本当に脅威です。カネットの特徴は序盤はハイペースでレースをリードすることも多いですが後半に落ちてきて結局2~4位で終わることも珍しくありません。しかし今回は最後まで後続に対してリードを許すことなく、最後はゴンザレスが差を詰めてきましたがなんとか逃げ切り最終戦を優勝で飾ることが出来ました。以前からカネットの速さには定評がありましたが、今年は年間を通じて本当に安定感が増し強いライダーになったなという印象。来季もMoto2参戦ですが、いつかMotoGPで見てみたいライダーの1人ですね。

Moto2ラストランとなった小椋藍は最後の最後、ファイナルラップでモレイラに交わされ4位でフィニッシュ。表彰台で飾ることは出来ませんでしたが、最後まで力強い走りを披露してくれました。
フィニッシュ後はピットでチームのみんなに感謝を伝えるバーンアウト。このメンバーの想いを胸に、MotoGPでの活躍も期待しましょう。

ポイントスタンディング

このレースを終えての最終的なスタンディングはこちら。

200pt超えを達成したのは終わってみれば小椋とカネットの2人のみ。この2人が今シーズンいかに強かったかが分かります。一方で3位以下は僅差で連なっており、特にゴンザレスは後半戦伸ばしてきた印象があります。4台しかないBOSCOSCUROユーザーが上位に連なっているのも印象的ですね。小椋1人が、ではなくコンストラクターとして非常に強かったのが伺えます。
来季のMoto2ではこのBOSCOSCUROが6台になる予定です。来季も非常に見応えのある戦いを期待したいですね。

Moto3

優勝:ダヴィド・アロンソ🇨🇴(Aspar)
2位:ダニエル・ホルガド🇪🇸(GASGAS Tech3)
3位:アンヘル・ピケラス🇪🇸(Leopard)
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5位:山中琉聖🇯🇵(MT Helmets)
7位:古里太陽🇯🇵(Team Asia)
13位:鈴木竜生🇯🇵(Intact GP)

ハイライト

レースを制したのはアロンソ。しかし決して独走という訳ではなく終盤まで10台が連なる大接戦。アロンソも終始のリードではなく後退することもありましたが冷静に戦況を見極め、ここぞ!というところでリーダーに立ち見事トップチェッカー。アロンソはこれで7連勝、シーズンを通じて史上最多の14勝を挙げる圧倒的な走りを披露しました。

ポイントスタンディング

このレースを終えての最終的なスタンディングはこちら。

チャンピオンのアロンソは2位のホルガドに対しなんと165ptもの差を築く圧倒的なシーズンとなりました。大混戦のMoto3においてこの成績はとんでもないです。アロンソは来季Moto2に昇格、彼の活躍が益々楽しみですね。
日本人では古里がトップ10に名前を連ねました。今季3度表彰台に登りましたが、あと一歩で優勝に手が届きそうなレースもいくつかありました。来季もTeam AsiaからMoto3に参戦するので彼の次の活躍を楽しみにしたいですね。

さて、これでMotoGP2024年シーズンの全てのレースが終了となりました。MotoGPだけでなく、Moto2やMoto3にも様々なドラマがありました。本当に最高に心が熱くなるシーズンだったのではないでしょうか?
数日後には早速ポストシーズンテストが始まり移籍するライダーやMoto2から昇格するルーキーも新しいチームで早速始動します。
日本人では今季Moto2チャンピオンに輝いた小椋藍が来季はAprilia勢のTrackhouseに加入しいよいよMotoGPへステップアップ。
来年は一体どんなシーズンが待っているのか?気が早いですが今からもう待ちきれません!
それまではしばしのお別れ。このハイライトシリーズもMotoGPはこれで終了となります。1年を通じてお付き合い頂き、ありがとうございました!来シーズンまたお会いしましょう!


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