【F1 Rd.17 アゼルバイジャンGP🇦🇿決勝ハイライト🏎💨】
レースハイライト
ドラマ満点の展開となった決勝レース、激しい戦いを制しトップでチェッカーを受けたのは今季2勝目オスカー・ピアストリ🇦🇺(マクラーレン)。前回の優勝はチームオーダーによるスワップで得た初勝利でやや消化不良な感じでしたが、今回は30周に渡りレースをリード。文句なしの勝利を掴み取りました。
2位にはチャールズ・ルクレール🇲🇨(フェラーリ)、3位にはジョージ・ラッセル🇬🇧(メルセデス)が入る表彰台となりました。
スタートはルクレールがポールポジションからホールショットを奪い、後方も各車多少のポジションチェンジはあったものの特に目立つ接触などもなくクリーンな蹴り出し。F2で大きなクラッシュがスタートであったので警戒したのかもしれないですね。
ここ数戦調子の上がってこなかったペレス🇲🇽(レッドブル)もこのバクーは得意意識があるのか4番グリッドからスタートで3番手へ浮上。久々の表彰台へ向けて上々の蹴り出しを見せます。
いつもであればレースリーダーは序盤後続を引き離して2−3秒のギャップを築くものなのですが、今回はピアストリが常にルクレールの1秒圏内に食らいつき虎視眈々と機を伺います。このピリピリする戦い、痺れますね。
一方後方ではまさかの予選Q1落ちを喫し、他者のペナルティで繰り上がって15番手からのスタートとなったノリス🇬🇧(マクラーレン)が少しずつポジションを上げ、8周目にはポイント圏内の10番手まで挽回してきます。
13周目ペレスはピットへ入るとまだピットに入っていないノリスの後ろで合流。レッドブルにとってこれは痛手でした。
マクラーレンはノリスに無線で少しの間だけペレスを抑え込むよう指示します。その結果2番手を走るピアストリが15周目にピットへ向かうのですが見事ペレスの前でレース復帰。マクラーレン素晴らしいチームプレーを見せます。
手に汗握るデッドヒートが動いたのは20周目。ホームストレートでDRSを使ってトップのルクレールとの差を詰めるピアストリ。ここで近づいて翌周で狙ってくるかなと思いました。しかし、ピアストリはぐんぐんとルクレールに接近します。どこで止まるかなと思ってたら、なんとターン1で一気にルクレールのインに飛び込んでまさかのオーバーテイク!ピアストリここでトップへ浮上します。あの距離で飛び込んでくるとは多くの人が想像してなかったでしょう。ルクレールもディフェンスの準備が全くできてませんでした。僕も「おぉー!この距離で行くか〜!」と叫んでしまいました(笑)。
しかしそのピアストリも後続を引き離すほどの勢いはありません。ルクレールももう一度トップを狙うぞピアストリに食らいつきます。さらにそこへ3番手走行のペレスも合流。トップ争いが三つ巴になってきました。やってきたレッドブルがフェルスタッペンでなくペレスというのも良いですね。キング・オブ・ストリートは俺だ!と言わんばかりに水を得た魚のような速さを披露します。
ピアストリがトップに立ったのは20周目でしたが、33周目に入ってもこの攻防。世界中のF1ファンが固唾を飲んで見守ります。言葉を発するのを忘れた人も多かったことでしょう。
2人とも決して余裕はありません。テールスライドさせながら90°のコーナーをクリアしていきます。このタイヤ限界ギリギリのバトル、痺れます。このお互いワンミスも許されず余裕のないバトル、ワクワクします。
ドライバーだけでなくチームも必死でフェラーリはルクレールに「マクラーレンと逆にピットに入れ」とフェイクの無線を入れます。タイヤがギリギリなので通用する可能性のある無線でした。
そしてトップグループの映像にはついにペレスだけでなく4番手のサインツ🇪🇸(フェラーリ)までもが映り込んできます。「面白そうじゃねぇか、俺も混ぜろやー!」なんて声が聞こえてきます(笑)。
25周に渡って続いたピアストリとルクレールの攻防でしたが、ついにルクレールが限界を迎えます。それまで1秒未満だった2人の差は離れ始め、47周目には1.7秒に。これはピアストリ勝った、あとはこの2−4位争いがどうなるかだ。誰もがそう思ったでしょう。
しかしその戦いは思わぬ形で終わってしまいました。50周目のターン1でペレスがルクレールを狙って外側からオーバーテイクを仕掛けるもあと一歩届かず。外側に降ったためインがガラ空きとなり、近づいていたサインツが飛び込んでペレスはなんと逆にポジションを1つ失うことに。一方サインツは伸び悩むルクレールに少し近づきすぎたのかターン2でインを閉めるルクレールに対しアウト側にマシンを振ります。これによって空いたサインツのイン側に今度はペレスが飛び込み、ターン2の立ち上がりで2人はサインツが半身ほど前でサイドバイサイドに。誰もが固唾を飲んで見守っていたと思います。
しかしこの裏ストレートで…2人はなんと激しく接触。素晴らしい攻防でしたが残念なことに2人ともリタイアとなってしまいました(リザルトは完走扱い)。
レースはこのクラッシュによりVSCが提示。周回数がこの周を含めて残り2周だったのでこのままレースはフィニッシュとなり、ピアストリがキャリア2勝目を掴む運びとなりました。
これはあくまで個人的な見解ではありますが、今回の接触はどちらかに一方的な非があるものではないレーシングインシデントだったと思います。
SNSに色んな方が2人のオンボード映像をアップしているので観ましたが、2人ともステアリングは曲げておらず決して牽制もしてません。2人とも「真っ直ぐ」走っていたのです。しかし2人の「真っ直ぐ」は「平行」ではなかったため結果接触となりました。前を走るルクレールの走行ラインを考えればペレスはもう少しだけインに寄ることは出来たし、サインツもインのペレスを見て走行ラインを選ぶことは出来たと思います。細かいことは戦っている本人たちにしか分からないと思いますが、一方でこのバトルでわかるのは2人とも限界ギリギリのバトルをしていたということです。それは車がではなく2人のメンタルの部分です。レース序盤であれば「まだ先は長いから」とここまでのバトルにはなりにくいでしょう。しかし、この最終盤でそんな悠長なことは言ってられません。3位どころかルクレール次第では2位も狙える距離でした。それは戦いを急ぐでしょう。「俺が前だ!」「俺の前には行かせない!」「負けてたまるか!」そんなドライバーたちの心の声が鮮明に聞こえてくる、アツい戦いでした。そんな男たちの意地の張り合いの結果起きてしまったこの接触、僕は全く残念とは思ってません。これもモータースポーツです。人間味溢れる戦い、今シーズンで一番心が震える、いや、震え続ける最高のレースでした。
上位陣の戦いがフォーカスされるレースでしたが、後方は別の物語が。前戦イタリアGP🇮🇹からウィリアムズのシートに座るルーキーのコラピント🇦🇷は8位でフィニッシュしF1キャリア初ポイント(4pt)をマークしました。ウィリアムズはさらにアルボン🇹🇭も7位(6pt)でフィニッシュしダブルポイントを獲得。コンストラクターズを争う上で貴重で、そして大きな10ptをチームとして加算しました。今のウィリアムズは直線番長で、バクーのような全開区間が続くサーキットでは特に力を発揮します。2人ともアッパレな走りでした。
さらに、今回出場停止のマグヌッセン🇩🇰の代役で出走したベアマン🇬🇧(ハース)も10位でフィニッシュし1ptを獲得。これでベアマンはF1史上初の参戦2戦で異なるチームで両方ともポイントを獲得したドライバーになりました(笑)。育成兼リザーブドライバーだからこそ成せる技です。
ちなみに皮肉なことにこれでベアマンはドライバーズスタンディングでレギュラードライバーのマグヌッセンを抜いて16位へ浮上しました(笑)。
来年はレギュラーとなるベアマン、ますます活躍が楽しみですね。
角田裕毅🇯🇵(レーシングブルズ)は11番グリッドからポジションを落とさずスタートしたものの3周目にストロール🇨🇦(アストンマーティン)と接触しマシンを大きく破損。なんとか粘って走り続けたもののダメージがあまりにも大きかったようで14周目にピットへ戻りリタイアとなりました。
ポイントスタンディング
このレースを終えてのスタンディングはこちら。
まずはドライバーズから。
ノリスはフェルスタッペンよりも前でフィニッシュしたものの僅か1ポジションしか変わらなかったのでポイント差も2ptしか縮められませんでした。優勝したピアストリと2位だったルクレールは逆にノリスに近づいてきましたねー!ラッセルも3位表彰台でランキングを1つ挙げました。
フェルスタッペンのタイトル優勢は変わりませんが、少しでも差を詰めてもらってシリーズを面白くしてもらいたいところです。
続いてコンストラクターズ。こちらは盛り上がってきましたよー!
つ・い・に!ついにマクラーレンがレッドブルを捉えトップへ浮上!しかも20ptと大きめのギャップを築いてます。さらにフェラーリもレッドブルに対して31ptとその差は射程圏内。いやぁこれは面白くなってきた。
もしも、もしも今年マクラーレンがコンストラクターズタイトルを取るようなことがあれば、1998年以来26年ぶりとなります。(2007年もドライバー2人のポイントを足すとトップだったのですが、この年はスパイゲート事件によりコンストラクターズポイント剥奪となりました。)
ミハエル・シューマッハの大ファンだった僕にとって1998年のマクラーレンは天敵でしたが(笑)、今年は何がなんでもタイトルを獲ってほしい…
この3強による戦いがどう発展していくのか?ここから先も目が離せません!
次戦
次戦は連戦となり今週末のシンガポールGP🇸🇬、再び市街地レースとなります。セーフティカー出動率100%のマリーナベイストリートサーキットで今年はどんな波乱が待っているのか?チャンピオンシップの行方はどう動くのか?次戦も見逃せません!